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  遠州灘の風はスゴイ!


今年は暖冬ですと気象庁は言います。このところ毎年々同じようなことで、「酷暑」と「暖冬」の繰り返し、早い話、地球全体が暑くなっているということですよね。分りきったことを言うのがお役所ですねん。

風が吹くと体感温度が下がるなんてのは誰でもが知ってはりますよね、でも、北海道から出稼ぎに来ている建築屋のおっちゃんが「浜松は北海道より寒い」と言ったということですから、その「空っ風」の威力がしれようというもんです。初めて遠州灘の空っ風をお迎えするわけでっさかい、覚悟してそれなりに気を張っておかねばなりまへん。

ここ浜松は温暖で野菜や花がたくさん作られるときいて来ました。「遠州灘の空っ風」に耐えて、生育する花や野菜はえらいと思っていましたが、多くの野菜はハウスの中での栽培ですから、空っ風に耐えて生きるものはそう多くはないのでしょう。

でも、ハウス脇の露地栽培の蕪や大根は、大半が風に吹き倒されたようなカタチになりながら土にしがみついていますから、きっと根っこの味が濃いのでしょう。各家の玄関前の小さな樹などは、みんな東南の方へ傾いて斜めになっていますし、当家の猫の額ほどの庭にあるクレストの若木は、くくりつけられて転倒はしないまでも、上の部分が北風に押されて、もう曲がってきましたもんね。

知り合った皆さんが言わはります、「今年は暖かくて、風も弱いね」、、と、そのたびに、「ほんまに?よかったわぁ!ビギナーズラックやね」と答えていましたが、この幸運ももう期限が切れます。全国的に季節風が強くなった夜などは、流石にものすごいうなり声、超ド級の北西風に大窓のシャッターが少し泣き声をあげました。

びゅ〜の合間にバ、バ、バ、、ド、ド、ド、、が混じってくるあたりから強風注意報が出るようです。洗濯物が竿にひっからまり、二重三重にくくりつけておかないと、すっ飛んでいきそうになってきます、そうなったら取り込んだ方がいいのです。何故って、ホコリがつきますやん!それに、柔らかい衣類が好きな連れ合いのヨレヨレクタクタのパンツなどが他所さんへ飛んで行って、思わぬ恥をかかんともかぎりませんしね(笑)

この頃の家は窓のサッシが進歩し、技術的にビシッと作られていて、こんな大風でもガタッともいいません、まったく優れものです。二重三重に防御されていて、雑音はもとより紫外線もカット、夏にガラス越しの光が差し込んでも暑くてたまらないということがありません。昔とはえらい違いです。そのぶん、冬は差し込む太陽で日向ぼっこして暖かくなることはないのです、何事も二ついいことはありまへん。

風の強い日には雲が吹き払われて、キーンと晴れ渡りますから、近くの浜名湖周辺へ車を出します。ガーデンパークの近くまで行くと、平地にもかかわらず「富士山の白い頭」が見えるんです!ほんのおシルシ程度ですけど、はっきりと見えるのですよ!冬の空っ風のお陰ですね。

すぐ近くのファームには新しい野菜と花が勢ぞろいしていますから、来たついでに、ついつい買い込んで、野菜食ばっかりになって、連れ合いを嘆かせることになってしまいます。たまりかねた連れ合いは由井まで車をとばし、「桜海老」を買いこんできました。今夜は「天麩羅屋」を開店しなければなりまへんなぁ。

後片づけが終わり、ゴミを捨てようと勝手口を開けようとしましたが、北向きのドアが押し返されて開きません、エイヤッと力を込めて押し、外へ素早く出ます。ガラガラガラというけたたましい音をたてながら足元に何か転がってきました。外流しに入れてあったバケツが飛び出して転がっていたのでした。吹き上げて飛び出させる風って、スッゲー!たまげました。

風の神さん、冬は精一杯暴れまわって、ビュ〜バババ、ドドド、、と駆け回って下され!こちらもしっかりとウインドブレーカーを着こんで、「空っ風の笑い声」を、それなりに楽しむことを勉強しまっせ、、でも、なんやしらん、これって、少しやぶれかぶれに聞こえますなぁ。

「風の笑い声」が「風の嘲笑い」に聞こえるようになって、外へ出られなくなったらその時は、その時はもうアカン時ですのやろね(笑)
2007.1.18.

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