ラストラン



蒲原鉄道は大正11年(1922年)新潟県最初の電気鉄道として発足し、77年間地域の人々の足となり、文化の運び手として走り続けてきた。

雪国の山間部を主な路線とするこの鉄道には、豪雪による線路埋没や、山崩れなどの災害がつきまとうのは当たり前だったし、自家用車の発達による乗客減は赤字を積み重ね、廃線は宿命的だったといえる。

人と物の行き交う戦争の時期を越えて、大正、昭和、平成の時代を、ただただ走り続けて来たこの電車が、ついにその役目を終える日は来た。平成11年10月3日、全国の鉄道マニアとふるさとの多くの人々に惜しまれながら、最後の警笛を深く長く引きながら、舞台から消えた。

記念写真集の刊行にあたり、社長は「この一枚一枚の写真が、ふるさとのあの日、あの時を語りかけてくれる思いが致します」と語っている。

また一枚、ふるさとの歴史のページがめくられて、忘却のかなたへと暗転していく・


雪の中を



山と谷に添って



除雪中の旧式ラッセル車

  

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