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太陽光発電パネル

環境省が「太陽光発電」のパネルを各家庭に設置することを奨励するために、アメリカの真似をして「グリーンニューディール作戦日本版」を実行することにしたと新聞が報道していた。公的な建物や公園に太陽光パネルを設置し、民間の「太陽光発電設備」の普及を促すということらしい。

既にドイツではこれを奨励し、高い値段で太陽光発電電力を買取りすることによって、パネル設置家庭が大幅に増えていると聞いた。日本ではまだ買取りの価格が安い上に、設置コストが高く、普及は今ひとつの感じだったが、今年に入ってからあちこちで「太陽光発電システム」という言葉を聞くようになった。

3年前に家を建てた時、電気で全ての家庭のエネルギーをまかなうという「オール電化システム」なるものを勧められたが、調理器具の使い勝手が悪いのと、ガスに比べると火力が小さいことがどうにもイヤで、ガスを使うことにした。床暖房と浴室にもガスを使ったが、エコウイルという僅かながら発電もできて、設置の援助特典つきの契約にして、少しはコストダウンをはかった。

しかし、夏に使うエアコンはやはり電気なので、夏場はかなりの電気代、冬場はかなりのガス代ということになっている。二人暮しにしては光熱費が以前よりかさむように思えたが、生来大雑把なおババは、この先長くもないであろう人生を、あまりエコエコと言いながら暮らしたくはないという不遜な考えと、屋根にパネルをのせるのはミバが悪いし、カッコワルイという単純な気持ちから太陽光発電には興味がわかなかった。

太陽光発電に関心をもったのは「連れ合いジジ」だった。地元で開かれた「太陽光発電」の説明会にそそくさと一人ででかけ、資料を山ほど貰って帰ってきた。毎日計算機と首っ引きでなにやら深刻そうな顔で計算し、図面に四角い発電パネルを書き、模型の屋根にパネルのヒナガタまで作ってのせてみながら首をひねり、何を言っても上の空の返事をするという状態がしばらく続いた。

そして、ある日、エコ会社の営業マンが玄関に現れたのである。説明会で熱心に聴いているジジを彼らが見逃すはずはなかった。さあそれからはトントン拍子に契約まで引っ張られ、屋根の上にパネルが乗っかることとなった。設置費用は、たいまい×00万円である。自治体の補助も少しあるらしいが、ケッコウな値段である。

いよいよパネルを上げる場所の設定になって、設置会社の意見とジジの意見が真っ向からぶつかってしまった。家の建ち方と太陽の動きを計算した会社は、東面の屋根にパネルを設置するというのだ。家の角度が真北から外れているので、東面の方が太陽が当る時間が長いのだそうだ、当然西日の差す西面に設置すると思っていたジジは納得がいかない。

元来朝寝坊で、陽が高くなってからしか起きないジジは、どうにも西日の方が長く強いように思うらしく、やはり西面だと言ってきかない。再度電話をかけては同じ事を言う。会社の方もそのたびに説明にきてくれるのだけれど、「思い込んだら命がけ」みたいな人だから、なかなか引き下がらない。(相当なガンコジジィと思われたに違いない)。

困った会社は、「朝の太陽は結構強いのですが、気温がまだ低い時ですから、光が弱いように感じられるのでしょう」と言った後で、「ご主人の言われるようにパネルはどのようにも設置出来ますが、その場合は、発電力が小さくなっても文句は言わないという念書にサインをしていただきます」、、、と言うのだった。そこまで言われるのだから、東面の方が有利なんでしょう、もう納得したらどうですかと、たまりかねて傍からババも口をはさんだ(東屋根の方が目立たなくて有り難いと思ったし、、)結局ジジはしぶしぶ東面でOKし、工事が始まった。

正味2日、電気工事と屋根工事に5人の人たちが来て、あっと言う間にパネルがべったりと東面の屋根に張り付いた。工事完了、認可の後はすぐに発電可能である。そして、発電して余った電力は、中部電力が買ってくれるということになった(余るほど発電力があるのかどうかは、今はワカリマセン、、)。

発電を示すモニターは、可愛いデスプレィで発電量を示し、クルクルと太陽マークが廻っていて発電してますヨという感じで、見ていて楽しい気分にさせられる。浜松は晴天率が一番の土地だから、さぞかし発電も快調なことだろう。(いまだにジジは西屋根の方が効率がいいのにと、ブツブツ言いつづけている)。当面ジジはモニターの前に立って発電量を監視することになるのだろう。モニター凝視時間が増えることになるが、少しでも興味のもてることができたのだとすれば、それはそれで「バンザイ」ではないか。

これで二酸化炭素排出を抑えることに少しは貢献できるのだろうか、、真剣に発電量を計算していたジジは、毎月の電気代を合計し、10年分を把握したのだろうか、設備投資金の回収が出来るまでには、ざっと計算してみても、少なくとも20年はかかる。

電気代がパネルでまかなえ、余分の電気をお買い上げいただいて、設備の償却がトントンになるにはかなりの年月が必要なのではないかしらん、、、それまでに、どう考えても二人の寿命は尽きていると思うのだけれど、、でも地球温暖化防止に僅かながらも役に立ち、後でここに住む人が良かったと思ってくれたなら、それだけでいいのかもしれないけど、、

などと何だか妙に落ち込むような話題もおまけについてきたような、、

あんまり乗り気ではなかったおババは、複雑な気分で発電モニターをながめている。

(2009.4.13.)

   
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