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Susan and Mark

A young woman with a white stick carefully got onto the bus . She paid the driver and, while she was using her spare hand to feel the seats, walked along the aisle until she reached the seat he'd told her was empty. Then she sat down, placed her bag on her lap and rested her stick against her leg.
朝のラッシュアワーがやっとすぎて通勤バスに少し空きが出来る時間帯に、白杖を持った若い女性が一人でバスに乗り込んできました。注意深くはしているのですが、動作はスムーズで安心してみていられる感じです。

「おはようございます、今日も宜しくお願いします」スーザンは運転手に明るく声をかけました。それから、慣れた手つきで料金箱にコインを入れました。

「おはよう、今日も元気だね、7番の席が空いていますよ」
顔見知りの運転手は心からスーザンのことを気遣っていると感じ取れる優しい調子で挨拶を返しました。(2018.4.21.)

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スーザンは明るい調子で「ありがとう」と言いながられた手つきで椅子を数えていきました。教えられた席までくると「この席空いています?」と声に出して言いました。白杖のスーザンが乗ってきたときから注意深く見守っていた初老の紳士が「そうですよ、気をつけてお座りなさい」と答えてあげました。お礼を言ってスーザンは腰を下ろしました。

カバンを膝の上に置き、白杖を両足で挟むようにして軽く手を添えて立てました。その様子を確認した運転手は「それでは皆さん、発車します」と言ってバスを出しました。

これが現在のスーザンの日常です。

一年前のスーザンは全く違っていました。同じ路線で事務所に通っていたのですが、キャリアウーマンと言われるタイプの女性で、靴音も軽くバスに乗り込んで、スマートな身のこなしで席に着くといった華やかな女性でした。(2018.5.18.)


It was a year ago that Susan , 34, became blind. Due to a medical error she was suddenly thrown into a world of darkness, anger , and self-pity.
ところが一年前、スーザンは厳しい試練に出会う事になるのです。軽い気持で受けてた目の手術だったのですが、ちょっとした医療ミスが原因で両眼ともに視力を失ってしまったのです。(2018.5.25.)

Once a truly independent woman, Susan now felt weak and helpless, and hated having to trouble everyone around her.
"Why did this happen to me ? " she would ask, but she got no answer.
スーザンは34歳、仕事も全般的に見えるようになってきて、さあこれから自分の力を十分に発揮出来ると、明るい未来を夢見て居るときのことだったのです。スーザンの落胆を想像してみて下さい、あなたがスーザンの立場に立ったらどうでしょう?
この現実を受け入れることが出来ますか?それまで自立した女性達の旗手とも言えるスーザンだったのですが、「何故私だけがこんな仕打ちを受けなければいけないのか、神は私に何をさせようとしているのか、、」
スーザンの怒りと自己憐憫の日々が始まりました。でも、周りには迷惑をかけたくないという思いの強いスーザンは次第に無気力になり、自分の殻に閉じこもりがちになっていきました。


And even though she cried and complained and prayed, she knew her sight was never going to return. Just living each day was difficult. She was happy she had her husband Mark.
スーザンがどんなに嘆き悲しもうとも、どんなに神に祈ろうともスーザンの視力が戻ってくることはありません。スーザンは暗黒の世界を精一杯生きていく他に道はありません。今までの記憶を頼りに家の中を歩くことから始めなければいけなかったのです。(2018.6.01.)

Mark was an Air Force officer and he loved Susan with all of his heart. When she first lost her sight, he watched her suffer and was determined to help his wife get the strength and confidence she needed to became independent again.
スーザンは他の同じような環境の人達と比べるとずっとずっと幸せです。といいますのは、最愛のご主人マークがいつでも傍に居て見守っていてくれるからです。マークは空軍の将校で、家から少し離れた基地に勤務しています。スーザンの失明を知った時、マークも共に悩みましたが、最初の心に決めたことがありました、それはスーザンが再び自立できるようになるまでは自分に出来るあらゆ努力をしてスーザンを元のように明るい女性に戻してあげるということでした。夫のマークはスーザンが自信を取り戻し、人生に立ち向かう強さを持ってほしいと考えて居たのです。(2018.6.8.)

Finally, Susan thought she was ready to return to her job. But now she was too frightened to take the bus. Mark offered to drive her to work each day.
日々スーザンの様子を見守っていたマークは、もうそろそろ復職を考えても良いのでは無いかと思うようになっていました。しかし、スーザンはバスに乗るのをひどく怖がっていました。スーザンが元のような明るい笑顔を一日も早く取り戻すにはまず仕事をはじめてみることだと思って居たマークは毎日の通勤の送り迎えを僕がするからと言って、スーザンが第一歩を踏み出す決心を後押ししました。

At first, this seemed to be a good idea. Soon, however, Mark realized that it was difficult, and cost a lot of money.
初日は心配していたことが嘘のように何事も無く過ぎました。一週間もしないうちにマークは「これは大変な事だ」と気付きました。それに、少し出費もかさみました。

How could he tell Susan that she had to take the bus again ?
マークはスーザンがもう一度バスに乗って通勤することが一番の解決策だとは思いましたが、そのことをスーザンにどう伝えたらいいかと悩み続けていました。

そんなある日、マークは勤務の都合でスーザンを時間通りに迎えに行くことが出来なくなりました。マークはタクシー会社に電話をしてスーザンを家まで送ってくれるように頼みました。

その晩のことです、マークは落ち着いた声で自分の勤務の実状を話し、スーザンに以前のようにバスで通勤することを考えて欲しいと話を切り出しました。(2018.6.22.)

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When mark told her , Susan said, "I'm blind ! How am I supposed to know where I'm going ? I feel like you're leaving me ?
マークが話し終えないうちにスーザンの顔色が変わってきました。「私はめがみえないのよ、どうやって目的地まで行けると思うの?自分が今居る所さえはっきりとは認識できないのよ、あなたの話を聞いていると、あなたが厄介者の私から離れようとしているように思えてくるわ!」

Mark's heart broke to her these words, so he promised Susan that each morning and evening he would ride the bus with her until she got the hand of it .
この言葉を聞いて、マークは気が滅入ってしまいました。しかし空軍将校であるマークは自分をコントロールする術を心得ていました。静かに明るい声でスーザンに約束しました。

「スーザン、心配しなくても大丈夫だよ、僕が一緒について行くから、、君が慣れるまで朝は一緒にバスに乗っていくし、帰りはバス停で君を待っていて一緒に帰るから、、」

スーザンの目から大粒の涙がこぼれました。 (2018.6.29.)


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Each day, for two weeks, mark, dressed in his uniform, accompanied Susan to determined Susan to and from work.
その後2週間は繰る日も来る日も毎朝、マークは空軍の制服に身を包みスーザンと一緒にバスに乗ってスーザンのオフィスまで送っていきました。帰りにはスーザンと時間の調整をしてスーザンのオフィス近くのバス停で待ち合わせ、一緒にバスに乗って帰宅するようにしました。

He taught her how torely on her hearing to determine where she was, and how to get used to her new environment. He helped her become friends with the bus drivers who could watch out for her , and save her a seat,. he made her laugh , even on those not-so-good days.

マークはスーザンが周りの音を聴くことで、自分が今どこに居るのかを判断できるようになって欲しいと考えたのです。彼女が新しい環境に慣れるためには体験を重ねることが第一だと思って、二週間のバス通勤をスーザンと共にしたのでした。

その上、その上、マークはスーザンがバスの運転手お仲良しになれるように心を配りました。マークはスーザンと一緒にバスの乗ったとき、新しい運転手さんにはかならず声をかけてスーザンは眼が見えない事、またマークはスーザンがバスの運転手と仲良しになるなれるようにきバスに不慣れであることを告げ、座席の位置をスーザンに教えてくれるように頼みました。また、知り合いになった運転手さんには日頃のお礼と、スーザンの近況を伝えました。慣れない日常生活の日々をおくっていれば、ストレスが溜まってブルーな気分になるときもあるのは誰でもです。そんなスーザンの気持ちを受け止めてマークはスーザンが元気に飛び回っていた頃の生活の一コマを思いださせるような話題を持ち出してスーザンを笑わすように努めたものでした。

(2018.7.27.)

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Each morning they made a journey together, and mark would take a cab back to his office. Although this cost more money and was more tiring than driving her, mark knew Susan would soon be able to ride the bus on her own. He believed that she would never give up.
スーザンが一人でバスに乗ってオフィスまで行けるようになるまでのマークが考えたことをもう一度振り返ってみましょう。

マークは最初、スーザンを自分の車に乗せて毎日の送り迎えをすれば良いと単純に考えていました。けれども、実際にそうしてみると、時間、労力b、費用など総ての面で長続きしないぞとすぐに気付きました。そこで2週間は自分が付き添ってバスで通うのが良いだろうと考えつきました。というのはスーザンが負けず嫌いで決して諦めない性格であることをみぬいてのことでした。

スーザンの降りるバス停で一緒に降り、そこから空軍基地までタクシーを使うことにしたのです。そして、前述の通りバスの運転手さんとの関係を作り上げ、スーザンを励まし続け、ついに以前にも増した二人の関係を作り上げたのです。(2018.7.03.)

Finally , Susan decided that she was ready to try the trip alone. Monday morning arrived, and before she left, she threw her arms around Mark.
月曜日、今日は生まれ変わったスーザンが第一歩を踏み出す日です。スーザンは玄関脇に夫と二人で立っていました。夫の顔を見上げると、マークは優しい笑顔で見つています。スーザンは万感胸に迫る物を感じ、マークの両腕の中に飛び込みまし) そしてありったけの思いを込めて夫を強く抱きしめました。(2018.8.24.)

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She thought of his loyalty, his patience, his love and her eyes filled with tears. That morning for the first time, they went their separate ways. Each day went perfectly . She was doing it ! She was going to work all on her own.!
スーザンはマークの誠実さ我慢強さ、深い愛を思うとき、自然に涙ががあふれ出てきました。そして、

”Thank you Mark ! I love you forever ! "

と、心からの感謝と愛を伝えました。その日、スーザンは一人でバスに乗って仕事に出かけ、無事に仕事を終えて帰宅しました。門の前にはスーザンのことを気遣ったマークが立って出迎えてくれました。その日は二人にとって新たな門出の記念日として忘れられない一日となりました。

この日を境にしてスーザンの顔は輝きを増していきました。スーザンはその日一日を完璧にこなすように努め、それを成し遂げていったのです。もう大丈夫!(2018.8.31.)
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On Friday morning,
緊張した一週間も今日で終わりになります。明日葉土曜日、仕事に行かなくても良いからマークと少しのんびり出来るわ、今日一日頑張ることにしよう、、スーザンは自分自身を励まして出かけました。バスがすーざんのオフィスの近くにあるバス停に停まりました。

その日はバスの乗客も少なく信号もスムースに通って来たので時間に余裕が出来て時間調整の停車が必要になりました。運転手はそのことを乗客に告げ、少しリラックスした顔つきになっていあmした。

as Susan was paying her fare, the driver said , "Oh, you are so lucky,"
スーザンは運転席まで来て運賃箱にコインを入れました。運転手がいつものように「有り難うございます」と言うのをかと思っていたら、「あなたは本当に幸せな人ですね」とスーザンに話しかけてきました。(2018.9.14.)
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Susan didn't know if the driver was speaking to her or not.

スーザンは咄嗟のことで、運転手さんが自分に話しかけているのかどうかが分かりませんでした。
「エッ?私ですか」
運転手は続けました。

So she asked the driver, "Why do you say that?" The driver answered. "It must feel so good to be taken care of and protected like you are ". "Susan didn't know every morning for the past week, that gentleman in the uniform has been standing across the road watching you when you get off the bus. He makes sure you cross the street safety and he watches you until you enter your office building. Then he blows you a kiss, and walks away. You are very lucky".
「ええあなたですよ、あなたのように大事にされて守られていたら有り難いと思わなければ罰が当たりますよ」
スーザンは運転手がなぜそのように言って居るのかが分かりませんでした。
「どうしてですか」スーザンは尋ねました。
「あのね、この一週間毎朝、空軍の制服を着た紳士が道の向こう側に立って、あなたがバスから降りるのを見守っているんですよ、それから、あなたが安全に道を横切ってオフィスに入るのをじっと見ているんです。それを見届けると、あなたに投げキッスをして立ち去っていくんです、本当にあなたは幸せ者ですね」(2018.9.21.9)

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Tears of happiness ran down Susan's cheeks. For although she couldn't see him with her eyes, she had always felt Mark's presence. She was so lucky, for he had given her a gift more powerful than sight , a gift she didn't need to see to believe-- the gift of love that brought light to the darkness.

スーザンはその言葉を聞くと、今の自分がどんなに幸せかということをしみじみと感じ、涙が溢れてきました。
彼女は自分の目でマークを見ることは出来ませんがマークがいつも自分の傍にいることを感じ取っていたのです。視力を失ったスーザンですが、視力以上の素晴らしい贈り物をマークから贈られていたのです。それは目に見えませんが全身で感じ取ることが出来るマークの愛の深さです。その力は見えないスーザンの目の奥底に毫光のような明るい希望を与え続けているのです(2018.9.28.)  終わり
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