When I was an animal doctor, I had been called to examine a 7-year-old
Irish wolfhound named Belker. The dog's owners, Ron, his wife, Lisa, and
their little boy , Shane, were all very attached to Belker and they were
hoping that Belker would get better.
私が獣医をしているときのお話です。
ベルカーという名前のアイリッシュウルフハウンド犬の往診を頼まれました。
ベルカーは7才、人間で言えばずいぶん年老いたおじいさんです。ベルカーといっしょに住んでいる家族はその家のご主人ロン、奥さんのリサ、それにまだ幼い息子シェーンです。
I examined Belker and found he was dying .
家族はみんなベルカーが大好きで、すぐに良くなって欲しいと思って居ました。診察をするまでも無く、べルカーは老衰でこれ以上良くなる望みはないと思われました。聴診器を当てて心音を聴いてみましたが、小さな音がそれも不規則にきこえてくるだけです。ベルカーはいまにも息が絶えそうな状態でした。(2016.11.18.)
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I examined Belker and found he was dying. I told the family we couldn't do anything for Belker, and advised them to watch over him and to be with him at the end of his life.
私は注意深くベーカーを診察しましたが、老衰でこれ以上よくなる望みはないと思われました。私は家族にそのことを告げました。そして、「ベーカーの最後の時を皆さんで静かに見守ってあげて下さい、もう苦しむことはないでしょうから、、」と話しました。
After hearing my words, Ron and Lisa told me they thought it would be good
for 6-year-old Shane to watch Belker's last moments. They felt that Shene
might learn something from the experience.
私の話をじっと聞いていたロンとリサがこう言いました。
「先生、有り難うございました、私たちは6才の息子のシェーンがベーカーの死を看取ることが出来るのは彼にとってとても良い経験になると思うのです、彼はベーカーの死からきっと何かを感じ取ってくれると思っているのです」
I started to feel sad when Belker's family surrounded him. Shene seemed so calm, while he was patting the old dog for the last time, that I wandered if he understood what was happening. That night, Belker died in peace.
家族全員でベーカーを取り囲み、じっと最後の時を見守っている様子を見ている内に、私の心にも深い悲しみが伝わってきて、つい涙ぐんでしましました。
シェーンは静かに年老いたベーカーの背中を撫でていました。その姿があまりにも穏やかなので、私は6才のシェーンが本当にベーカーの死ぬことを理解しているだろうかと疑問に思いました。
その晩、ベーカーは静かに息を引き取りました。(2016.12.02.)
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The little boy seemed to accept to Belker's death without any difficulty.
幼い子供のシェ-ンはベーカーの死を素直に受け入れて居るようでした。
We sat together taking about the sad fact that animal lives are shorter
than human lives. Shane < who had been listening quietly, spoke in a
high voice,
"I know why".
ベーカーの周りに座っていた大人達は家族同様にかわいがって暮らしてきた犬の命が人間に比べてなんでこんなにも短いのだろうと、独り言のように言っていました。その時です、それまで静かにベーカーの背中を撫でていたシェ-ンが突然、甲高い声で言いました。
「僕、知っているよ!」
We were all surprised and turned to him . What he said next surprised me
even more.
あまりのことに私はシェーンの顔をじっと見つめました。両親は何を言い出すのだろうとシェーンを見ています。
He said, "People are born so that they can lean how to live a good
life- like loving everybody all the time and being nice , right ?"
「あのね、人はね、どんなことが良い生活なのかを勉強するために生まれてくるんだよ、いつでも、どんな人にでも優しく出来るとか、悪いことはしないとか、そういうことを勉強するんだよ、そうでしょ?」
The 6-year-old continued,
"Well, dogs already know how to do that, so they don't have to stay
as long as people".
「でもね、犬はもうそうできるの、だからね、人間のように長く生きる必要がないの、、」
この言葉に深く心を打たれました。そして、シェーンがベーカーの一生から学んだ多くのことがらを役立てて、きっと良い大人となり、周りの人々を幸せにしてくれるであろうことを確信したのでした。終わり (2016.12.10.)
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寿命が短いことがアイリッシュウルフハウンドの特徴だそうです。小型犬や中型犬の平均寿命は12歳から15歳程度といわれていますが、超大型犬のアイリッシュウルフハウンドは、長くて8年程度しか生きないのだそうです。犬は、大型であるほど短命なのですが、この犬は臓器が小さく、体中に血液を送る心臓に大きな負担がかかるので長くは生きられないと言うことです。 |