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The Cookies

A young lady was waiting for flight in a boarding area of a big airport.
まだ20才を少し過ぎたくらいの、見るからに健康そうな女の子が大きな空港の搭乗待合所にキャリーバッグを引いて足早にやってきました。ポシェットから搭乗カードを取り出し、出発便の確認をすると「フ~ッ」と大きく溜息をつきました。「まだまだ時間があるなぁ、、どうしましょう」

She had to wait for many hours, so she decided to buy a book to
pass the time. She also bought a bag of cookies. She sat down on a comfortable seat, in the VIP room of the airport, to rest and in peace.
ちょっと考えた後で華やかに並んだお店の一つに入って行き、一冊の本とクッキーを買いました。待っている人たちのために椅子もあちらこちらにあるのですが、ゆっくりと本を読めるような場所はありません。「そうだ、VIPルームに行こう」VIPルームは外の喧噪とはかけ離れた静かな空間でした。小さなテーブルをはさんでゆったりとしたソファが並んでいました。その一方には、仕事の旅の途中といった幹事の上品な紳士が座っていました。女の子はテーブルの反対側のソファに座り、すぐに本を読みはじめました。テーブルの上にはクッキーの袋が置いてありました。袋は開けられていて、中からクッキーがこぼれそうになっていました。

A man sat down next to woman, so that the cookies were between them. He opened his magazine and started reading. When the woman took the first cookie, the man also took one . She was angry but said nothing.

紳士はビジネスマガジンといった種類の雑誌をパラパラとめくり、気になっている記事を選んでは読んでいるようでした。女の子の白い手がすっと伸びて、クッキーを一ツつまみ上げました。紳士はちらっとそれを眺め、自分も一つクッキーをとって食べ始めました。「なんて図々しい人なんでしょう」女の子はそう思いましたが、口に出しては言いませんでした
。(2016.4.01.)
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She thought : "What a nerve ! I should hit him!" And then each time she took a cookie, the man took one too. It made her very angry but she didn't want to cause a scene.
「なんて人なんでしょう、手でもぶたないと分からない人なんだわ、、」彼女はそう思いましたが黙っていました。それから、彼女が一つ抓むたびに男性も手を伸ばして一つ食べました。

When they got to the last cookie, she thought : "Ah, what will this rude man do now?"
Then , the man took the last cookie, divided it in half, and save one half to the woman. This was too much. She couldn't sit there any longer. She quickly put away her book, and angrily went back to the boarding area.


彼女はそれが気になって本も読めなくなってしまいましたが、怒って口論になるのもイヤだと思い、じっと我慢していました。
とうとうクッキーは最後の一つになってしまいました。この失礼な男はどうするんだろうと横目で眺めていますと、男性は是を取り上げてパチンと二つに割り大きな方を彼女に差し出しました。
「もう我慢できないワ!」彼女はパタンと本を閉じてすっと立ち上がり、その場を去ってしまいました。
男性は何事もなかったようにクッキーを口にすると、読みかけの本をパラパラとめくり始めました。

彼女が
搭乗ゲートに着くと、すぐに搭乗が始まりました。ボーディングカードを提出したり、自分の席を探したり、手荷物をハットラックに載せたりする忙しい作業に追われ、クッキー事件はすっかり忘れていました。自分の席を整えるとやっと落ち着きました。(2016.4.08.)
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When she finally sat down in her seat on the plane, she looked i n her purse for her glasses.
It made her very angry but she didn't want to cause a scene. When she finally sat down in her seat on the plane, she looked i n her purse for her glasses.

To her horror, she saw her untouched bag of cookies. It had not been eaten nor opened!
彼女は、自分の眼鏡を取り出そうと膝の上のかわいいリュックを開けました。「アッ!」とっさに自分の犯した過ちを悟り、息の止まるような思いをしました。リュックサックの中にはまだ封も切られていない色鮮やかなクッキーの袋が、まるで自分の存在を主張するかのように、チョコンと入っていたのでした。

She felt so ashamed. She realized that she had been completely wrong about the man. She had forgotten that she had put her cookies in her purse. The man shared his cookies with her, without being angry or bitter. It's always easy to see other people's mistakes, bet the woman know she would never judge people so quickly in the future.
「あの方には本当に悪い事をしたわ、悪いのは完全に自分なんだもの」彼女は消え入りたい思いでした。その紳士は嫌な顔一つせずに彼女の間違いを正そうともせず、彼女がクッキーを食べることを受け入れていたのでした。他人の間違いはだれでもすぐの見つけるものですが、自分の間違いは気付きにくいものです。彼女はこのことから他の人のことを簡単に決めつけてはいけないという教訓を学び、一生心にとめておこうと思ったのでした。終わり (2016.4.16.)

追記
彼女がターンテーブルで自分の荷物が出て来るのを待っていたときです。少し離れたターンテーブルにその紳士は立っていました。彼女がジッと見つめていると、紳士も彼女に気がついたようでした。彼女は深々と頭を下げました。すると紳士は軽く手を上げて自分の荷物を持って何事もなかったかのように立ち去って行きました。彼女はその後ろ姿をジッと見送っていました。

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