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Hospital Window
Two men, John and Frank, both seriously ill, shared a hospital room, John was allowed to sit up in his bed for an hour each afternoon to improve his breathing.
病院の一室にジョンとフランクという名前の初老の男が二人、ベッドを並べて療養生活をおくっていました。二人とも重い病気で大変ですが、ジョンだけは一日の内、午後の1時間だけベッドから上半身を起こして過ごすことが許されたいました。これも治療の一環で、そうすることで呼吸機能の衰えを防ぐのが目的でした。

His bed was next to the room's only window. Frank had to spend all his time flat on his back.
フランクは起き上がることも出来ず、一日中寝たきりでした。この部屋には窓が一つだけありました。そしてその窓の傍にジョンのベッドが置かれていました。

The men talked for hours on end. They spoke of their wives and families, their homes ,their jobs, their military service, and places they had been on vacation.

二人は日がな一日おしゃべりをすることだけが、唯一の楽しみでした。家族のこと、家のこと、仕事のこと、軍隊に入った時のこと、それからバカンスで行った旅の話、楽しかったこと、辛かったこと、何でも話し合いました。二人はどんなことでも分かり合える良き友人になっていました。(2016.3.04.)
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Every afternoon when John could sit up, he would pass the time by describing to his roommate all the things he could see outside the window.
ジョンは起き上がることが許されている午後の一時間を窓から外を眺めて見える景色を、寝たきりのルームメイトのフランクに話してあげることに費やしました。

Frank began to live for those one-hour periods when his world would grow by hearing about all the activity and color of the world outside.
日一日と時が経つに連れて、それは生きる喜びとなって行きました。フランクは今まで生きてきた自分の体験、感覚をジョンの話と重ね合わせ、想像力を働かせてあたかも自分が実際に景色を見ているように感じていました。

John described a park with a lovely lake. He said ducks and swans played on the water while children sailed their model boats. Young lovers walked arm in arm among flowers of every color, and a fine view of the city could be seen in the distance.

「あのね、建物の前には美しい公園があるんだよ、湖の畔に造られた公園でね、湖岸には遊歩道があるんだよ、それに添って桜の木が何本も何本もずーっと植えてあるの、今はまだ蕾でね、でもちらほらとピンクのところも見えるよ、ああ、向こうから恋人同士が歩いてくる、、若いっていいなあ、、手を取り合っておしゃべりに夢中だ」(2016.3.11.)

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それから又話を続けました。
「岸部近くにはアヒルが群れて泳いでいるんだよそしてその向こうには女王様のようにすっと首を伸ばして美しい白鳥が二羽、ゆったりと泳いでいるのがみえるよ。子供達が騒いでいる、、何をしているんだろう、アッ、模型のボートで遊んでいるんだ、凄い!速いなぁ、アッ、そっちに曲がると危ないよ!悔いがある、そ~らご覧、ひっくり返っちゃった、フランク、聞こえているかい?子供達は大騒ぎだよ」

「フランク、今日は温かだね、春なんだね、岸辺の道沿いに花が一杯咲いているよ、色とりどりのチューリップが並んでいて今にも咲きそうだよ、その間にはパンジーがあってね、これはもう花が咲いているよ、春霞って言うけれど、遠くの景色は少しボンヤリしているよ、向こうに見える遠くの都市には霞がかかってぼんやりしているんだけど、その分風情か有って絵を見ているようだよ、」

ジョンが話している間、フランクはじっと目を閉じて聞き入っていました。フランクは自分の体験とジョンの話を重ね合わせて、あたかも自分の目で見、自分の耳できいているように感じて居ました。

One morning, a day nurse arrived to bring water for their baths only to discover that John had died quietly in his sleep

この日から何週間かしたある日、いつものように看護婦さんが二人の身体をきれいにしてあげようと温めたお湯うぃ運んで来てくれました。

「フランク、元気?変わりなかった?」看護婦さんが明るく声をかけてくれました。

「有り難う、元気ですよ」 フランクは答えました。
「おはよう!ジョン」 声をかけても返事がありません、まだ眠って居るのかと看護婦さんが覗き込むと、ジョンはすでに息絶えていました。眠ったまま亡くなってしまったのでしょう、フランクも気付きませんでした。(2016.3.18.)

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John's body was taken away by the hospital staff. As soon as he could, Frank asked if he could be moved next to the window. The nurse made the switch, and after making sure he was comfortable, she left him alone.
何人かの人たちがやってきてジョンのイタイは別の部屋へと運ばれていきました。少し一月を取り戻した部屋に看護婦さんがフランクの様子を見にやってきました。
「大変だったわね、フランク、大丈夫?」看護婦さんは尋ねました。
「大丈夫です、有り難う、ジョンもきっと感謝していると思うよ」
「あのねお願いがあるんだけど、、ジョンのいた窓際へ僕のベッドを移してくれない?」
フランクは」『恐る恐る尋ねました』。
「いいわよ、ちょっとまっててね、今すぐ誰かを呼んでくるからね」 そう言うと看護婦さんは部屋を出て行き、すぐに何人かを連れて戻って来ました。そしていとも簡単にベッドを移してくれました。そして、手際よくベッドを直し、「じゃあね」と手を振って出て行きました。


Carefully, he moved onto one elbow to take his first look at the world outside. He slowly turned to look out the window beside the bed. It faced a blank wall. Frank told the nurse how his roommate had described such wonderful things outside this window. The nurse said John was blind and could not even the wall. She said, "Perhaps he just wanted to encourage you".
フランクは期待に胸を膨らませ、肩肘をついてゆっくりと身体を起こし、窓の外に目をやりました」「アッ!?」
底にはなにうもありません、ただコンクリートの壁があるだけでした。フランクはかんごふさんにジョンがどんなに素晴らしい世界を彼に語ってくれたかを事細かに話しました。
看護婦さんは言いました。
「ジョンは眼が見えないデスよ、壁さえも見えなかったんです、多分ジョンはあなたを元気づけようと思っていろいろな話をしたのでしょう。きょうは撮ったもイイお話を聞かせて貰いました。感動しました」そう言って看護婦さんは『静かに』病室を出て行きました。終わり(2016.3.25.)

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