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浜松の西の方に「ト○キ×」という豚肉の専門店がある。地元の人にも人気で、美味しい肉だと評判も良かった。浜松新参者ジジババは、ナビを使って肉を買うために数回は行っていたが、その隣に併設されているレストランには足を運んだ事がなかった。何だか入る気のしない雰囲気だったからだ。 連れ合いは大阪人、肉といえば牛肉をさすという国(笑)だから、本来あまり豚肉は好みではない、おババは田舎育ちだから子供の頃から豚肉にはなじみがあるが、あの脂がどうにも好きにはなれなくて、どっちかといえば肉嫌いな方だ。 日本で初の世界ナンバーワンのソムリエになったT氏がこの店の豚肉を推奨したうえ、ワインのアドバイスもしたというネットの記事をアメリカで読んだという息子は、正月明けに帰国するやいなや「ト○キ×」へ行ってみたいという。田舎の豚肉屋で、さしたる目立つところでもないよとジジババはあまり乗り気ではなかったが、まずは遠来の客?の意見を尊重し、早速出かけた。 何回も買い物に行ったことがあるにもかかわらず、ジジ運転手は道を間違え、助手席のババナビでようやくたどり着いた。古びた倉庫のような豚肉販売店の横にレストランがある。これがチョンボの始まりだった。 勇躍してお店に入ってから、「エッ?」と思った。子供と若いファミリーが多く、しかも真ん中に料理が大盛りになって並んでいて、いわゆる「バイキング形式」なのだ、、、変やナァ、、と思いつつ席に着くと、70歳以上は2割引と大書してあるから、ジジのぶんはちゃっかりと引いてもらった。先に料金をはらうシステムで、しかも物凄く安い金額だ。 少し違う、、周りはガヤガヤとした雰囲気で、とても世界一のソムリエが指導した店とは思えない、、この時点でもう連れ合いはいや〜な顔をし、不機嫌になっているのがアリアリとわかったけれど、仕方がない。 料理を取りに行って、「此処は違う!」と確信した。豚肉が売りの店に、トンカツがないからだ。ここはトンカツが評判なのに、オカシイ、、テーブルに戻ると、連れ合いはそれでも皿にいっぱいいろいろな食べ物を盛ってきて、食べ始めている、息子は印ばかりの食べ物を取ってきて座るなり「絶対変だ!!この店ではない!」と言う。ババもそう思う! 「間違うたんヤ!出よう!」というと、息子は即座に立ち上がった、連れ合いは黙ってモクモクと食べ続けている。「お皿かして!返してくる!」というと「もったいないじゃないか!」と怒っている。でもこんな料理ではないはずだから、兎に角一旦は出ましょう!」と強引に皿を取り上げて返却口に戻して、ほうほうのていで店を転がり出た(笑) 看板をみても「ト○キ×」と書いてあるし、間違っているわけでもない、、 隣の豚肉やへ寄って聞いてみようと行ってみると、その豚肉やの側面に2階へ上がる階段がついていて、そこにも「ト○キ×」レストランと書いてある、薄汚れた小さい看板で今までは目につかなかったらしい。早速2階へあがってみた。入り口付近には隅っこにガラクタがおいてあったが、入ってみると田舎にはめずらしい本格的レストランが開けていた。テーブルのしつらえもまあまあで、格調も少しある。 「ここヤ!」と思わず叫んだ、息子はネットで見た写真と同じだからここだと、嬉しそうに言いながら、入っていく。注文を取りにきたオバちゃんに息子は「ここの豚肉はどこのものですか?」と聞いているが、おばちゃんはニコッとしただけで何も言わない。たまりかねておババは「この近辺の豚ですよネ?」と言うと、そうですねェといいながらはっきりとは言わない、「何で豚肉で売っている店で、豚肉の出所や産地を答えられないのだろう」と息子は機嫌が悪い。 しかし、それより何より、店が二つあるのかどうかを聞かないといけないから、又オバちゃんに聞いてみた。すると「あっちの店も、こっちの店も同じ経営で「ト○キ×」です」という。それはないヤロ、、と思ったが、地元の人はアッチは農家のレストランでファミリー向け、こっちは高級豚肉のレストランだとみんな知っているから何のトラブルにもなっていないということだった。 出てきたヒレカツもロースカツも美味しかったが、連れ合いは一向にすすまない、、、 「どうして食べないの?」 「さっき食べたから、もうハラいっぱいやねん、、」 「だからすぐに止めたらよかったのに!美味しくないのに何で意地になって急いで食べたん?」 「皿イッパイに食べ物があるのに、もったいないヤンカ!!!」(戦中派デス、、) すぐに怒鳴る、、、 「でも、店がややこしかったんやから仕方ないじゃないですか!」 「不味くても食べなアカンって、思うたんヤ!!」 間違った店の方の食べ物をそうそうに返却してきたおババと息子は、分厚いトンカツを美味しく頂いて、ワイン庫の中身も確認して、満足して下の売り場に降りた。売り場の壁には、大きな浜名湖の絵がかけてあり 「浜名豚」と大書してある。どうして浜名豚ですって言わなかったんやろか、あのおばちゃん、、 「豚肉、買って帰る?」 「いらん!!!」 、、、そうですか、そうですか!へんなものを詰め込んで、おなかがヒスを起こしているんやろね」 連れ合いの豚肉嫌いはこれで拍車がかかるんやろナ、、ここは豚肉の産地なのに、困ったことになったもんです(笑)。 2008.1.20 ホームトップ> 旅 エッセイ 花 浜松雑記帳 料理ワイン |