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THE CLASH JAPAN 1982
PHOT BY SHO KIKUTI
THE CLASHの最初にして最後の伝説の来日公演の10日間を追っかけた写真集が発売された。2004年5月31日にマーブルトン発行で中央公論新社の発売により3000円(税抜き)だ。間違いない、これは買っておけ、できれば数冊。
1月24日渋谷公会堂、1月27日中野サンプラザ、1月30日新宿厚生年金、2月1日中野サンプラザのライブの模様、ライブ会場の外でのファンとの交流の様子などどれも渋く、カッコよく、当時の息づかいまで聞こえてきそうな感じがする。本当にこういう時代があったのかと思う反面、それがすでに20年前で、未だに彼らを超えるような存在がでてこないにも嘆息する。
それにしてもそろいもそろってクールに写真に収まっている。菊池氏のセンスが良いのは言うまでもないが、それに応える被写体がはなつオーラは映画スターよりも映画的である。ドキュメントであるのに、どこか芝居がかっている。このうえの表紙の写真などはなんとうことだろう、歴史上の人物の風格さえある。いやまちがいなくそうなのだが、この時の彼らはいくつだった?これは間違いなく存在そのものが歴史上の事件であった。
この10日間の追跡そのものは当時のミュージックマガジンに掲載されるために撮影されてものだろう。「逆説が人生のエネルギーなんだ」というタイトルの来日ツアーレポートがそれだが、このタイトルですでにジョー・ストラマーの当時の体温の高さが伝わってくる。一種の熱病、彼と彼を直接的間接的に囲む人間は彼の熱に伝染した。その時には思いもしなかったが、それが熱病だったことはその後の展開をみればわかるだろう。あんなに熱い時間が流れることはもうなかったのだから。
その時の掲載コンテンツには今野雄二の文章に写真が差し込まれていた。この今回の写真集にもその文章は収録されている。今、読むと雰囲気がずいぶん難しい感じがして違和感があるが、当時はこんな感じの文章ばかりだった。そのほかにもディスコグラフティなどもあり、しかもそれらはみな英訳つきで、編集者がこの写真集を日本にとどめておくことに抵抗があったことをしめしている。世界的なロック遺産であり、歴史の貴重な証明でもあることは内容を見れば明らかだ。
ミュージックマガジン 1982年3月号 巻頭特集「逆説が人生のエネルギーなんだ」