THE CLASH

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DATA
Rleased 4 .8. 1977



Vocal/Guitar Joe Strummer

Vocal/Guitar Mick Jones

Vocal/Bass Paul Simonon

Drums Tooper Headon


ダムドがパンクバンド初のアルバムをリリースしてから遅れること3ヶ月、デビューライブから約10ヶ月、クラッシュのキャリアのなかで燦然と輝く、そしてロックの歴史のなかで語られないことはない、このアルバムがリリースされた。賛否両論CBSという大メジャーからリリースされたものとしては初のリリース。

ちなみにジャムのアルバムが同年5月のリリース、ピストルズは契約がもめにもめ、やっとヴァージンからリリースされるのが同じく10月であった。

こうして見れば1年のうちに後世に絶大な影響を与えるレコードが相次いで発売されたことになるが、それぞれに個性的であり、特にクラッシュはそのストイックでストレートなアグレッシブな姿勢をこのアルバムで印象づけた。

わずか3回の録音で完成させたというだけあって、後期のもののと比較すれば音は悪い。しかしそれがパンクバンド勢いや緊張感を感じさせ、時代を超えてこの頃の雰囲気が良く伝わってくる。無駄なものは削ぎ落とし、伝えたい激情をストレートに伝えたいという心意気。パンクは肥大化して停滞していた伝統的なロックを否定し、自分たちのやりかたで表現しようとすることがその行動原理だと言われるが、このレコードを聞くことはそれをまさに体感することになる。私は心臓のばくばくしているような音が聞こえるようなレコードが好きだ。その音こそピュアでリアルでストレートな真の表現だと思うからだ。このレコードはジョーの痙攣したような動きが見える。リアルである。

当時のロンドンパンクスが「アナーキーアンドデストロイ」という爆発する方向性のない怒りだったのに対し、クラッシュは政治的イデオロギーが明確なバンドだったと言われる。確かにこのレコードのなかにも「White Riot白人の暴動」「I'm So Bored With The USA反米愛国」といった曲のなかで政治的と言われるメッセージがあるものの、それほど政治的ではない。パンクはロンドンの土着的文化にその根の一端を持つともいわれるが、どちらかといえばそのような自分たちの生活のなかにおける現実社会の矛盾、内的世界との外的世界のあつれき、観念的というよりより具体的な日常を歌っている。生におけるけだるさ、漠とした不満、それは確かに政治を含めて社会システムからくるものもあるが打ち勝つのだ。そんなものに負けるな、やられるくらいなら攻撃してやる、自分自身が前に進もうとしなければいけない、そんなメッセージが歌になっている。

政治的と呼ぶより、社会的と言ったほうがよいかもしれない。ピストルズがどうしようもない状況をやけっぱちでヒステリックに表現することで、やりきれなさに抗議したのに対し、クラッシュは個人的日常を社会にある病巣と結び付け、それを怒りをもって直視し、強い意志をもって進むことを伝えたかったように思える。ロックがそれを一番リアルに伝えることができたので、クラッシュのパンクは出来上がったのであろう。

具体的にいえば「White Riot白い暴動」のなかで、「いかに間抜けになるかを教え込まれ、監獄に生きたくないために言われたことだけをやっている」という一節がある。「Remote Controlリモート・コントロール」のなかでの管理社会のなかで無力化されている様子と合せて考えれば、社会システムに漫然としたがっていることが、今の虚脱感、無力感の原因となっており、自分たちが変えよとしなければ、自分も社会も変わらないことを伝えている。

"Hate And War"のなかではさらに、現代はHate And War(憎悪と戦争)状態でありそのなかで生き抜いてゆかなくてはならない、そこから抜けだそうなんてできないから、積極的にしぶとく立ち向かうのだ、とミックが歌っている。これなどはかつて"Love And Peace"が合い言葉だった時代が終わっていることを宣言し、過去との決別だ。

「1977」では、1977年にはビートルズもローリングストーンズもいらない、と歌っているが、それは本当か。

「ストーンズの2枚目のシングルが俺の人生を変えたといえる。古いラジオからその曲が最初に流れてきた時のことを今でもよく覚えている。退屈な学校生活をおくっていた俺には"Not Fade Away"が自由の道のように聞こえた。ストーンズは間違いなく最初のプロトパンクバンドだった。最初のアルバムを聞けばそれがよくわかる。」ジョー・ストラマー(NMEのインタビューにて)

「Police And Thievesポリスとコソ泥」はジュニア・マーヴィンの曲。レゲエである。このバンドとレゲエの関係はここから発端として深化してゆくが、この件については項を改めることにする。

クラッシュの歌はやさしいから好きだ、って言っていた人がいるけど。

やさしい、すごくやさしい、生真面目なやさしさ、頑固者のやさしさ、正義感からくるやさしさ、いろんなやさしさがこもっている。


1.Janie Jones

2.Remote Control

3.I'm So Bored With The USA

4. White Riot

5.Hate And War

6.What's My Name?

7.Deny

8.London's Burning

9.Career Opportunities

10.Cheat

11.Protex Blue

12.Police And Thieves

13.48Hours

14.Garage Land

15.Clash City Rockers


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