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10代のころから比べれば、得るものよりも失うものの方が多いのが、年をとることだと感 じることがばかりが多いが、待てばこういうよいこともあると心の底から思える日もある。 10代のころにすでに失われてしまった経験というのがいくつかあって、もはやどんなに長 生きしても実現不可能だと思い、あと10年早く生まれていたらと悔やんだことがあった。 その中でサンハウスはいつでも上位だった。 丁度15年前、まだアナログ盤が9割以上を占めていたころ、鮎川誠がかつて在籍した伝説 のバンドが一夜だけ復活して、そのライブがレコードになった。かねてからシナロケなどを 中途半端に聞いていたのだが、そういう触れ込みにつられてレンタルレコードで借り聞いた のであった。始めはボーカルの声と歌詞がちょっと癖がありすぎてなじめなかった。だけど、 ギターの気合いが半端ではなく、「鮎川はやはりすごい」などと納得して悦に入ったものだ った。 これが野音のライブだったが、後にでるCDよりも曲が少なくて、ぬすっと、とか、やらない か、などはカットされていた。その当時、サンハウスの時代の音源は廃盤であり、このライ ブアルバム以外、サンハウスを体験することはできなかった。しかし、このライブだけでも サンハウスにとりつかれるには十分だった。パンクバンドというにはブルース色が豊かなん だけど、そのスピリットというかポップセンス、アンチモラル的な発想、むき出しの叙情性 、クラッシュがもっていたやさしさと同質の感じ、などは全くもってパンクだと感じた。ギ ターの切り込み方、ボーカルのあおり方はストーンズ、フーが出てきたころの衝動をさらに 過激にしているのであり、77年前後のロンドンのバンドと同じセンスだ。グラム的な要素、 ボウイよりもボラン的とも言えるが、それももっている。もちろんブリティッシュハードロ ックでもある。しかし核にあるのは強烈なブルースであり、それを繰り返し激しく、その時 々の心の中で起こる衝動にあわせて外部にだしてくるという、聞いているものの脳波と同調 しゆさぶってくるようなやり方はこのバンド特有の独特な臭気だ。繰り返し聞くうちに、菊 のボーカルが手招く底知れぬやみの奥底にもおそれず入れるようになった。日本もロックの 最も濃い部分を味わったような気がした。 それから手にはいる範囲でレコードは聞いたし、シナロケを通じてサンハウス的な音を探す ことになる。菊のバンドのとか鮎川のソロとかそれなりに強烈ではあったものの、やはり生 で聞いてみたい、ストーンズを日本でみられるようになって、みたことのないバンドで見て みたいのはフーとサンハウス、どんな格好になってもいいから見たい、そう思って10年近 くが過ぎた。 そして今日を迎えたのであった。本当に信じられなかった。今年の夏に福岡で復活したのは ドールで見た時、背筋に走ったぞくぞくした感覚は、驚いたのはもちろんだが安心もし、最 後に無念と悔しい思いが来た。 オリジナルメンバーで復活、ということはまだやればやる気があるってことが、みな五体満 足で、バンドができるのだ、ということがわかったので安心した。サイトを覗いてみてわか るが、その前にも新宿ロフトでシークレットをやっていた。
2.爆弾
3.ミルク飲み人形
4.風よ吹け
5.借家のブルース
6.スーツケースブルース
7.すけこまし
8.ぬすっと
9.魅惑の宵
10.夜は恋人
11.ねずみ小僧の歌
12.
13.ビールス・カプセル
14.あての名のない手紙
15.地獄へドライブ
16.ふるさとのない人達
17.なまずの歌
18.i LOVE YOU
19.ロックンロールの真最中
20.もしも
21.もう我慢できない
22.からから
23.レモンティー
24.やらないか