桜 の 話(ソメイヨシノについて)
「ソメイヨシノ」はオオシマザクラとエドヒガンザクラの雑種であるために子孫を残す能力がない品種なんだそうなんです。
ですから、花が咲いた後に種子を作ることすらまれだと云うことです。
ではソメイヨシノはどのようにして増えているのでしょうか?
答えは簡単。 人間が接ぎ木をすることで増やしているのです。
これを見つけた江戸の植木屋が「吉野」の名前で売り出したのが始まりだと云われています。
このころから接ぎ木の技術が使われ増やされていました。
つまりソメイヨシノの起源は偶然に生まれた1本の雑種なんですね。
ということは、全て同じ樹だと云うことです。
これがソメイヨシノはクローンだという意味ですね。
いわゆるクローンというイメージとは違いますが、
「クローン=人工的に作られた同じ遺伝子セットを持った個体」だと定義すれば立派なクローンと呼べますね。
ですから、青森で見るソメイヨシノも、沖縄で見るソメイヨシノも同じ個体だといえるわけです。
このことが「桜前線」という独特の予報を成立させているひとつの大きな要因になっています。
全てのソメイヨシノに個体差=個性がありませんから、日本の季節の変化がそのまま桜の開花に繋がるわけですね。
ソメイヨシノの花芽は冬に最高気温が7度以下の低温の日が一定期間続くと花芽が休眠から覚め、
つぼみが成長を始めるそうです。
桜前線というコトバは、日本人にとって桜が特別なものであることだけではなく、
ソメイヨシノが全て同じ個体だという背景があって成り立っているものなんですね。
ソメイヨシノは里桜の代表であり、公園や街路・河川の堤防など各所に植栽されている。葉の展開に先立って花が咲くので、花としては見応えがあります。
開花しても普通果実はできず、花が散るとやがて花柄は一斉に落下してしまいます。
植栽してから15年ほどすると花付きが良くなり、20〜40歳の期間は見事に花を咲かせます。
その後次第に樹勢が衰え、50歳を過ぎると衰えが目立つことが多いのです。
特に管理が悪い場合には樹勢の衰えが目立つ場合が多く、100年も花を咲かせ続けるソメイヨシノは珍しいのではないかと云われています。
このようなことから、かつて花見の名所であったところに久々に訪れてみると、
ようやく生きている程度の桜並木になっていることも多いのだそうです。
桜の名所を維持するためには、20年後の姿を予想しつつ、長期にわたる管理計画が必要なのです。