課題レポート採点についての考え方
2008.12.11 revised


 期末レポートを評価するに当たって、高い評価を与えるレポートは、次のような点を備えたレポートです。

1 よく勉強した跡がうかがえるレポート。
 課題レポートを出題するとき、私が考えるのは、少しでも学生諸君にそれが学習の機会となればよいということです。ですから、ユニークで独創的な意見を論述するだけでなく、それに至る過程で多くの既存の文献や専門家の意見や論述に目を通して、多様な情報に触れてほしいということです。そのような過程を学習とみなしてよいと思います。ですから、提出されたレポートは、そのような学習の跡がよくでている場合、高い評価を受けることになります。
 具体的には、参考文献が抱負で、また、それからの引用やそれへの言及が正確に注記され、かつ当を得ており、また、アノーティド・アブストラクトが適切であるレポートです。

2 図表や写真などが、適切に活用されているレポート。
 ただし、ウェッブなどから引用するときは、その引用注がないと盗作になります。

3 タイトル、章立てや見出しが論述の内容を適切に反映しているレポート。

 タイトルや見出しは、内容を適切に反映するようにつかることが肝心で、広告や新聞記事のように読者の目を引くために誇張されたり、奇抜だったりする必要はありません。

4 文章がよく練られたレポート。

 自分の意見や論述をよい文章で表現してください。よい文章であるということは、やはり大切なことなのです。だからといって、専門家やジャーナリストの文章をひき写したりすることは、盗作とみなされますから、やめてください。

以上です。もちろん、優れた内容のレポートであることは評価に際して最も求められるポイントです。しかし、それだけでは十分条件ではないことも心得ておいてください。


 
 他方、課題レポートによって成績評価を行うとき、
低い評価を与えるレポートは以下のようなものです。

1 要求したレポートの形式を満たしていないレポート。
 「内容があれば形式なんて重要じゃない」という立場を私は採用しません。もちろん、すでに評価が確立している研究者、ジャーナリスト、作家のレポートや論文なら、たとえ殴り書きされていても読んでみたいと興味を持つこともあるでしょう。しかし、みなさんは、まだ無名の若者に過ぎません。まず、論文やレポートを発表するという社会的行為に付随する約束事に精通していただき、それを守りながら、十分に自分の意見や論述を展開できる力を身につけてください。

2 参考文献のないレポートや論文は、未完成とみなされます。

 あらゆる事実や理論を他者の手を借りずにすべて自分で創り出すことは人間には不可能な作業です。論述するということは、参考文献に目を通し、そこから多くのことを学び、かつ批判的に考察してはじめて自分の意見や理論が生まれます。参考文献の出典についての正確な記述がないレポートは、未完成のレポートとみなされます。
 また、参考文献が一冊あるいは1つのウェッブサイトだけというレポートにも、高い評価は与えられません。複数のできるだけ多様な文献に目を通し、比較検討しながら論述を進めることが、現在学習中の学生諸君にまず求められることだと思います。
 さらに、参考文献リストがあっても、レポートの中に引用註や参考註がないレポートは、その参考文献のどの部分から情報を得たのかが不明で、高い評価を与えることはできません。(インターネットで検索して、書名だけ並べておくといった浅知恵は禁物です)

3 ウェッブページの情報だけに依存したレポートは、ウェッブ情報以外の書籍や雑誌などの重要な情報源に対する目配りがないという点で、低い評価を与えます。

 ウェッブページは、重要な情報源です。しかし、それだけで十分だと考えているなら、その学生の情報に対するセンスは愚鈍なのではないでしょうか。人類が構築してきた情報の資産、そして、今日でもその価値を減じていない書籍や雑誌という重要なメディア対する目配りを欠くことは、勉学にとって致命的とも言える行為だと思います。

4 ウエッブページなどからの、
引用注のないコピー&ペーストは盗用とみなし、著作権に対する侵害行為として、判明した時点でレポート全体を不合格としています。
 もちろん、多くのレポート提出者がいますから、すべてチェックすることはできません。そこで、いわゆる品質検査の方法を準用して、提出されたレポートの全数から無作為に抽出(ランダム・サンプリング)して、著作権侵害の事実があるかどうかを検査しています。それに引っかかって盗用が判明した提出者のレポートを、「0点」として採点しています。この方法では、著作権侵害をする学生の全数を摘発することはできないかもしれません。しかし、もし違反をすれば等しい確率で0点になる可能性があるという意味において、公平さを確保することができる方法だと考えます。もとよりこの方法をとることは、学生諸君が著作権侵害をしないよう促すことを目的としています。このことをよく理解いただき、著作権侵害をしないよう心がけてください。


<問題レポートの例>
・明確な基準もなく、気分のおもぬくままに極彩色のインクで出力されたレポート。
・「〜だ、である」形式と「〜です、ます」とが混在する手記のようなレポート。
・写真や図版を引用しながら、出典が明示されていないレポート。
・斜体や白抜き文字などが統一なく、多用されたレポート。
・☆や★、♪#♭」。ヲ♂などのマークで意味もなく文章を飾ったレポート。
・章立てや見出しもなく、手紙のようなレポート。
・参考文献の記述が我流のレポート。とりわけ、著者名や出版年が明記されておらず、書名だけの参考文献名になっているレポート。
・参考文献リストのないレポート。
・参考文献が1つしかないレポート。
・参考文献がウェッブページからの情報しかないレポート。
・参考文献リストがあっても、引用注や脚注がなく、どの部分を参考にしたか分からないレポート。
・ウェッブページから引用注抜きにコピー&ペーストしたレポート。