カリフォルニア在住の社会学者・石朋次さんのご冥福を心からおいのりします。

 石朋次さんは、カリフォルニア大学バークレー校大学院博士課程で社会学を専攻するかたわら、サンフランシスコで日本人移住者の組織化やJPRN(Japan-Pacific Resorce Network)の中心的指導者として活躍された気鋭の社会学者でした。石さんとはサンフランシスコで活動しておられたころに知り合い、社会学やマイノリテリ研究や人権運動をとおして交流が深まりました。まだ大学院生だった頃、夫婦で石さんのご自宅に泊めていただいたことがあります。

石さんとは、『世界人権問題叢書2−多民族社会アメリカ』(明石書店、1991年10月)の編者をされたとき、私も分担執筆者として論文を加えさせていただきました。

その編著の中で、石さんは多文化社会についての興味深いモデルを提示しておられていました。そのモデルの紹介を拙著『ハワイ』(岩波新書)の中で、石さんの紹介とあわせて、させていただいいた記憶があります。多文化社会としてのアメリカ社会研究の先駆的な業績でした。

その後、石さんは、脳腫瘍を発症され、長い闘病生活の中でも、優れた研究、社会的活動をつづけられました。その石さんが、8月26日にバージニアさんら家族に見守られつつ他界されました。

石さんの旅立ちが安からんことを心から祈ります。

山中速人