骨の主張

骨の主張
阿ト理恵


私脈はこわれることをくりかえし
物質的に循環することをこばむ
骨は密度を欲しがっており
くぎることのできない私は
曲線と直線の交わる一点からも
はずれて
保証はいりません
牛乳を飲んでおりますから

叱ってという法則は
なにかと交わることを拒否しながら
軽くなってゆき
骨を洗ってまってます
目玉は失ってもかまわないのです

垂直にわずらった私は
あなたにたどりつくことはなく
縁にはすでに朔も策も柵も索も作も昨も割も削も錯も剥も裂も咲く花の蕾みすらなく
昔植物だった髪が水底へ私をさそい
不均音律は
骨を
鍛える
気、絶える
奇、耐える
骨は
熱を出しながら
私をつくってゆき
デジタル資源の無駄使いだとしても
骨はひたひたと
私ひたひた
デジタルになったり
紙になったり
キーボード打つ手と
鉛筆持つ手はいっしょなのです

分別のある耳はもぎり捨てて
日課はすでになにもなく
だれも私に課せることはできず
掟は破られるためにあり
こわれる快感に
満ちた骨を舐めながら
私はすでにわずらっており
あなたが望めば盗みもできるのです

ブランコに乗ることすら遠い昔のことで
滑り台にからだをゆだねることなど
もうできるはずもなく
私はいつもここにいて
視線は乾いてゆくのです

とりあえずビールなどと言って
しかしながらビールが一番おいしく
平べったい会話にはうんざりして
口を銀行に預けてもいいくらいで
だから
私は
骨だけでいいのです

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