マルカントワーヌの記録 (Cybertic Mysterium 2)

マルカントワーヌの記録 (Cybertic Mysterium 2)
龍喝


私は息を切らしたまま このファイルを書こうとしている
それはまったく驚愕するに余りある 凄惨な光景だった
私が 驚きに身うち震えながらもこの事実を書き残そうと決意したのは
その犠牲者が 他ならぬ 私が最も愛する恋人だったからだ
私は 彼女のために 彼女の名誉と史実を守るために
今 ペンを握る


私と彼女は 夜も更ける22時頃 モ×パルナス×番街を歩いていた
細かく雪が舞う そう 今夜はラ・ヌイ・ド・ノエル…… (*1)
私達は 翌朝が銀世界に彩られたノエルになるものと 期待していた
私の×手にはデコレーションケーキ 左手には彼女の肩
「ほら 雪が強くなってきた……
私は彼女の肩から手を離し 舞い落ちる雪を手に受けた
「……ッ!?
何ということだろうか! 雪は ……その雪粒は
私の手に×すような激×を残し 手を素通り×て落ちたのだ
「どうしたの? マルク……
彼女はあどけない笑顔で うつむ×た私を×く
苦痛に×む私の顔を この時ばかりは彼女に見せたくなかった
私は 彼女の肩や髪の毛に降り積もった「雪」を払いのけようとした
「ね、ねぇ…… 痛いよ! 何だか痛い!
もちろん 私の手はズタズタに×かれ 血が飛び×り始×ていた
「いやよ!! 痛いよ! やめてっ! ヤメテッッ!!
訳が×からぬ×ちに 痛さに耐え×ねて彼女は私を突き放し×
その時……!!
《#▲◎#※¥&##△+*……!!
妙な会話が ど×からか聞××たと思っ×途端
「雪」が 巨大×固ま××なっ× 彼女に降り××だ×だった
叫び×を上××暇も×× 彼×は瞬××に 肉塊××してし×った
私は×の場にへ××込んだ
何が何×××から×まま 私の×の前××たわる肉塊×見××
だくだ×と 涙があ××出るの×った
《#$θ★**π!! %@##★☆−¥!!
《&**λ@=▽↓■☆π!!
その間にも 妙××話は断続的に続いていた
私は涙に濡れそ×った顔のまま 空を見×げた
空では 巨大な金属の橇に乗り 穴の開××袋を必死に抱×ている
得体の××ない生き物がいた
袋の穴×らは 大量の「雪」粒がこ××落ち×き×いた
彼らは相変わ×× 何やら××ながら 袋を橇××に戻すと
不思××金属音×××に轟×× 一目散に空×闇へ消×××った
彼ら××方を目×追って行く×ちに 「雪」×一粒 こ×目に刺×込み
それ×後は 何も見えなく×× 何も覚えて×ない
従って 私が書き残××事実は こ×までで××


私は 彼女の墓の前に立つとき
何と言って声を掛けれ××いのか 戸惑ってしまう
何を祈れば彼女が休ま×のか 未だ分から××いる
あの悪夢のラ・ヌイ・ド・ノエルから も×何年もたつというのに
彼女への想いも 彼女への慰めも 未解決のままなのだ

私は あの悪夢のラ・ヌイ・ド・ノエル以来
「空の民」には会っていない
しかし 会いたくて会いたくて あの夜に雪を受けた右目が疼くのだ
夜な夜× 私の左手が 「空の民」を追い求め××まよい飛ぶのだ
何もか××からないまま 存在を覆された彼女×ことを思うと
私の身×のあらゆる部分が 哭くのだ

私は この記録を 彼女×の墓碑銘とする
彼女の不遇の悲しさを ×っと万人×知っ□□□□ために
そして 「空の民」へ×復讐□□□□
私は□□□□□□ □□□□


     筆者・註:
      (*1)ラ・ヌイ・ド・ノエル:仏語でクリスマス・イヴのこと。
      ※ 本文中の×印は、作者自らが書き潰した、あるいは水分によ
       り(恐らく作者の涙?)インクが流れてしまい、判読不能な文
       字を示す。
      ※ 本文中の□印は、紙片が破損または欠落して読めない文字を
       示す。紙片最後部は引きちぎられた跡があり、この本文以降に
       詩文が続いていたのかどうかは、現段階では不明である。

              (この詩は注釈も含め全てフィクションです)

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