雲助蔵出し ライナーノーツより

 

ご挨拶

 手前雲助、この度キントトレコードさんに身請けをされて落語CDを発売することになりました。

 これは浅草見番でやっておりました「雲助蔵出しふたたび」の口演を録音しておいたものです。「蔵出しふたたび」は平成二年から九年にかけて勉強会として開いていました「雲助蔵出し」の第二次として平成二十一年から開かれたものです。

 第一次と違い勉強会の要素は少なくなり、あたしとしてもかなり楽しみながら演じています。また会を追うごとにお客様方にも馴染んで頂いて大いに喜んで頂いている様子が伺える大変に楽しい録音であると思います。

 これまでの演目の中にはもちろん真っ当な噺もありますが、かなりの珍品、掘り出し物、あるいはとても寄席などではかかることがないという不謹慎ネタなども含まれていたりします。これらはまず大手レーベルでは発売はされません。ですがそこはキントトレコードさんで、そうした演目までも事と次第によっては… であります。

 五街道雲助は品行方正でどこかしら堅い四角四面な噺ばかりという印象をお持ちのお客様も多いようです。どうかこれらの珍品お宝CDでそのイメージを払拭して大いに楽しんで頂けたならば噺家としてこんな嬉しいことはありません。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 雲助謹白

 

詳細はこちら http://www.kintoto.com/ 

 

 

CD1

1:九州吹戻し

 もうほとんど演り手のなくなった噺です。名人と呼ばれました初代の古今亭志ん生が十八番として演じたと言われます。その上手さにはかの圓朝師も舌を巻いたと言われ、かねてより大作の評判高く、亡くなった談志師も何度もネタ出しをしておきながらとうとうかけることがなかったという曰く付きの噺です。

中略

 初代志ん生の語り口のせめて片鱗でも感じて頂ければあたしとしては有り難いことです。


 2:人情噺・火焔太鼓

 御存知「火焔太鼓」ですが人情噺としてあるのがミソです。まずあたし以外は誰も演る者がない珍品中の珍品です。

 中略

 典型的な落し噺を人情噺とした洒落っ気を楽しんで頂けたらと思います。


3:新版三十石

 この噺はそもそもが「夕立勘五郎」という題であたしの大師匠である志ん生の作とされています。レコードの吹き込みで演るネタがなくなってしまいその場ででっち上げた噺と言われていますが事実は知りません。

中略

 とことんバカバカしさをお楽しみ下さい。


CD2

1:妾馬(通し〜馬の下げまで)

 寄席でもよくかかるお馴染みの噺だと思いますが、なぜこの噺が「妾馬」という題なのかご存じないお客様も多いようです。「下げ」まで聴いて初めてその題のいわれが分かるという噺です。

中略

 お馴染みの「八五郎出世」ではない「妾馬」という演り手のない珍品をお楽しみいただければと思います。

 

収録会場はいずれも浅草見番です。