WELL COME VOICE 2003 EVENT
Skinship Tour II

OCEANGEL CONCERT Report

Part 2

 こういう雰囲気のメドレーをどうしてもやってみたかったんですよ。こういう場なんでマニアックでもいいかなと思って。ふつうのコンサートだとできないんで、知らない曲ばっかりになっちゃうから。なかなかよかったでしょ? ああいう曲はフェイクを入れれば入れるほどよくなるのはわかってるんですけど、どういうふうにいれたらいいか悩むんですよ。気に入っていただけたら幸いです。
 僕はご存知の通り秋生まれでして、そういえばエリツィン(?)とかも9月22日生まれで、シュワちゃんも9月22日だそうですね。全部なんかタイプが似てますね。…シュワちゃんといえば、州知事に立候補してね。アメリカ人は有名人が好きですからね。どうなんでしょうね。
 秋はねぇ…次の曲のために言わなきゃ行けないんですよ。でもこう揺れてるとね(苦笑)。しっとり、さもうれなくなる。
 秋が嫌いな人はいないですよね。どんなに夏がすきとかいっても。だいたい俺は秋とか春とか移っていく時期が好きなんですよ。これから秋がどんどん深まっていきますね。寂しいですよね。
 昔、遠距離恋愛をしていたときがありまして、24,5歳のとき、米米が始まった頃ぐらいかな。どこどこというとわかっちゃうか。栄の通りのとこでジョージウィンストンがかかっていて、ふられちゃったりすんですよね。帰るに帰れなくて歩いてたのを思い出しますね。寒かったなぁ。10月の終わりかなんか、そんぐらいの時期で。みんなコートを着ていたから。
 そのころの曲を聴くと思い出すよね。部屋でもいいし、目をつぶればどんな臭い部屋にいても(客:笑い)、そのころの自分に戻ることができる。そんな歌、聴いてください。
 浮かび上がる【AUTUMN】の文字、ステージは全体にオレンジ色に満たされる。電子ピアノの伴奏のみで歌い出す。ストリングスが入り、アコースティックギターがはいり、次第に曲が形作られてゆく。♪君がくれた最後の手紙の裏には、2番の入りではチェロだけが伴奏をつとめ、♪どうしてすぐに、からはストリングスの4弦が合わさる。
 (筆者感想:この夜いちばんの驚きがこの曲だった。みごとに歌い上げていた。うまく表現できないのがもどかしいが、曲の解釈が全然違って聞こえた。この曲は、つぶやくような歌い出しから次第に歌い上げ、また治まって静かに終わってゆくというのが過去の歌い方だったのだが、この夜は後半に行くほど声がのび、鳥肌が立つほどの歌い上げ方だった。声量で押している歌い方ではないのだが、響いてくる。とんでもない表現力だと思った。思うに歌い方の技術があがったことで表現の幅が広がり、ああいう歌い方ができるようになったのだろう。アートヌードでずっと聴いてきた曲だけに、筆者もその変化を感じ取れたのだと思う。ほんとうにうまくなったと思った)
 曲の終わりとともに、波の音がインサートしてくる。ときおりカモメの鳴く声も聞こえる。天井下がりに【天使の羽音】の文字が浮かび上がる。ストリングスを中心にした静かなロングトーンに石井の声が被さる。マイクにエフェクトはかかっているのだがそれもわずかで、ほとんど生声のままが聞こえてくる。♪愛して愛され、ではチェロが支え、♪夢ならさめずに、では4弦が支える。♪この星空は、から続くサビの高音はGROUND ANGELのために吹き込んだものは裏声で歌われていたと思うのだけど、それが地声になっているのに気づく(声域もさらに広がっているのかもしれない)。♪変わる〜ことはない、あたりでマイクをかなり離して歌っている(声量が上がるので当然ではあるが)。
 (筆者感想:この曲も印象ががらりと変わった1曲であった。1本の細い線(=恐れ・祈り)という印象から、すべての状況をを引き受けた上での新たな祈りというか、それでも祈る、願う、そんな力強さを感じる曲になった)
 今歌ったのは『天使の羽音』という曲で、去年GROUND ANGELという催しを横浜の赤レンガ倉庫でやったんですけど、そのときに使った曲です。そして今年もGROUND ANGELをやることになりました。3月3日から…じゃなくて2月3日、あれ? 12月3日から、去年と同じ横浜の赤レンガ倉庫でやりますので、皆さんよろしかったら見に来てくださいませ。それとこのGROUND ANGELが11月中にシングルで発売されます。
 …さて、あと残り2曲になってしまいました(客:え〜)。さみしいな。こういう雰囲気のあるコンサートはいいですね。…次の曲は、僕の思い入れの深い曲で自分としては気に入っているんです。それでは聴いてください。
 【未来〜まだ見ぬ時代よ〜】が始まった。石井の恋愛詩でない曲はもともと好きなのだけれど、この曲は歌詞のストレートさでは抜きんでている。どこを切ってもメッセージ性にあふれていて胸が痛くなってしまう感じだ。
 そして最後の曲【夢の迷い道で】。エレピのイントロから始まる。さっきまで石井一人にライトが当たり、全体に暗い印象だったのが、ここでライトブルーの照明に満たされふわっと明るい印象になる。この曲並びと照明まわりがほっとさせてくれる。石井が途中(わざとだと思うが)ふわっと揺れてみせる。
 歌い終わると、エンディングを待たず石井は退場した。
 メンバーが全員退場すると同時にアンコールの手拍子が始まる。8分の表と裏というタイミングになって、表組と裏打ち組の2部制になっていたのが、ある瞬間一気に揃ったのには驚いた。観客の人数、会場の広さなどの関係もあるだろうが、音頭なしに一瞬にして5百人のリズムが揃うというのはなかなか考えられない。本当にびっくりした。
 その手拍子で再登場した石井、開口一番「揺れるよね」。
 後ろでメンバーが「揺れて譜面が読めなくなった」と言ってました。こういうときは小さい文字を追っかけると酔っちゃうんでね、そういうときは遠くの方を眺めているといいですよ。
 船の上で歌うというのはロマンチックでいいですね。ずーっと歌っていたいな(歓声)。次の曲は新曲で、次のアルバムに入れてみたいと思っているんですが。【ふたり】という曲です。聴いてください。
 『ふたり』はストリングスを中心とした、でもリズムはきっちり入っているアレンジ、歌はメロディアスで、石井の中低音の魅力が十分に発揮されている。終わりにジャズボーカルっぽいフレーズが登場するが、ロックなアレンジでそこが十分に生かし切れていないのがちょっとだけ残念な気がする。
 イメージとしては、石井お得意の波のように相似形のフレーズが繰り返されるという感じの曲で、♪この恋が蜃気楼のように消えそうだから こうして君を抱いていたい いつまでも♪という歌詞(ただしうろ覚え)だった。
 曲が終わり、石井がこの日初めてサングラスをはずす。とたんに上がる「わ〜♪」の歓声に再び装着しようという素振り。全員、間髪入れずに「あ〜(がっかり+やめて)」のリアクションがこれまた一糸乱れぬ揃いぶり! まさしくコアなファンならでは。
 次はストリングスのイントロですぐにわかる【君をつれて】。船の揺れにもかかわらず本当に声が出ている。個人的には♪はるかな道〜、の後半のクレッシェンドにやられてしまった(それと♪も〜ぅを〜いちど夢を、の「ぅを」の鼻に抜ける声)。
 エンディングであっさりと席を立つ石井、これはもう一回あるかも?ということでまたもや手拍子をする観客たち。
 三度登場した石井、月刊ワイドショーの話を始める。タイミングを合わせて、天井下がりに「月刊石井竜也第9号、船上にて先行発売中!」の文字が浮かび上がる。それに反応する客たちに「?」な石井、お客の一人がそれを読み上げてみせる。「あ、そう」。
 あと愛知万博のショーをプロデュースすることになりました(客:大歓声)。これもみなさんが応援してくださるからこそだと思います。
 この船の旅で、みなさんがあったかく包んでくれている感じがしました。
(中略−いや、すごい字で、ね。判読が)
 もうこれが最後の曲です。
 2度目のアンコールは【蒼い朝】、アルバム『H』とは隔世の感があった。声に余裕が感じられ、八分の力で歌っている感じがする。ふっと息混じりの声を使ったりフェイクも十分効いている。ここ1年半ほどの成長ぶりの集大成を見せられた気がした。
 ここでまたMC。
 月刊ワイドショーをやっててね、世間のことがわかるようになってきて、ニュースとか見るようになりましたね。近頃ドラマが低調だって言われるけど、飽きてんですよね。現実の恋愛の方がよっぽどドラマチックですもんね。
 それと10月5日からTBSラジオで「舞台裏物語」という30分番組をやることになりました。これは有名人の裏物語を語りながら進めていくというもので、1回目はサイモンとガーファンクル、白石美帆ちゃん、高見盛(たかみざかり、と発音)と、節操のない組み合わせでやりました。よかったら聴いてください。
 あと先ほど言いましたが、シングルが11月19日水曜日に発売され、12月3日水曜日にアルバム『羽』が出ます。同じ12月3日に横浜の赤レンガ倉庫でGROUND ANGELと、『羽音』というコンサートが始まります。
 これは演奏してくださるのがほとんど女性というコンサートで、チェンミンも協力してくれてます。セットも作りましたから。船の舳先のようなところに女性像があるという、ほんとにきれいなセットですんで、期待していてください。
 それでは最後の曲(客:え〜?)。いや、用意してなかったんですけど練習はしてきたんです。
 ラストは【SUMMER ENDS】、照明もぐっと明るくなり、揺れにもかかわらず脚でリズムを取りつつ石井は歌う。新曲の時など終始視線を譜面台からはずさなかった石井だが、ここでは完全に客席を見て楽しそうに歌っていた。(どうも最後でタガがはずれてしまったらしい筆者は、サビでお手振り踊りをしてしまった)。
 これにてライブは終了。微妙に揺れる船の上で、歌声に酔わされたひとときだった。


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