SKETCH -Book of GROUND ANGEL

2005/01/09(日)
東京・Zepp TOKYO



新年も明けて間もない1月9日。お台場はまだ正月気分を残しつつ賑わっていました。 大きな観覧車の下に降りていくと そこは「ZEPP東京」、脱日常時間の始まりの場所です。
今回のステージはシンプル。 中央後方には大きな鎖で吊された石造り様の円形のスクリーン。その手前には壇上に巻き貝の中に入った男のオブジェ。貝にはエンジェルの羽が生えています。貝に埋もれた男の頭部には石井の顔が投影されています。 よく目をこらしてみると、時々目が開いたり視線が動いたりしているようです。
ステージの両端には、中央へ向かって腕を伸ばし手を握り締めかざす男性のエンジェルの上半身像があります。頭を垂れ何かに祈りを捧げているようです。
それぞれのメンバーの席を見ると一つずつ小さなカンテラがぶら下がっています。時折強くあるいは弱く光ったりします。
下手から、キーボード、ギター、中央の巻き貝のオブジェを挟んでベース、ドラムスといったシンプルなバンド構成です。
中央やや上手がわ、ドラムの前あたりに小さなテーブルが置いてあります。テーブルの上には水の入ったグリーンのワインボトルとコップが。その横に「ソラヲ」がぽつんとたたずんで客席を眺めています。
客電が落ち静寂が支配すると、風の音が聞こえてきました。開幕です。

1.GROUND ANGEL

真っ暗だったステージに徐々に光が差し 円形スクリーンにGROUND ANGELの映像が投影されます。
風にはためくホリゾント。オレンジのライトが照射され、光のエンタシスのようです。

2コーラスめでメンバーが次々に登場。着席すると同時に、それぞれの場所のカンテラが明るく輝き出す。

2.ANGEL THINK

曲の演奏が始まるやいなや ダウンスポットライトで一人一人のメンバーが照らし出される。
ステージの前端のライトが一列に点灯。
メンバー全員を基調とした服装です。みんな黒いシャツや黒のベストTシャツ姿。キーボードはシルクハットをかぶっています。
ギターの近ちゃんはくしゃっとしたシルクハット。ベースの人だけが帽子をかぶっていません。ドラムは黒のウエスタンハットです。
メンバーによる力強いコーラス。重く力強いリズム。
ボイスチェンジされたナレーションが石井の登場を告げます。
いよいよお出ましだぁ!
現れ出でたビュー様は 白いシャツに黒のパンツ茶かダークベージュに近いロングコート。背中には茶色の帽子をしょっています。サングラスをかけ、手には木製の杖状のマイクスタンド。スタンドったって立ちませんけど。やっぱりストレートに「杖」と言った方が良いかも。
きゃー!やっぱりかっこいいわん!サングラスの奥の瞳がみんなを見つめますぅ。あー!くらくら〜。

3.せつない気持ち

イントロが始まると同時に 客席の皆さん一斉に立ちます!
左右のエンジェルがサイドからのルーとバイオレットのスポットライトに染め上げられてなにやらちょっとセクシー!
ベースとドラムがイキのあったコンビネーションで、ヘビーなリズムを刻む。
中央に仁王立ちの石井が大人の男の色気で観客を誘う。間奏部分ではマイクスタンドを肩に担いで
ややアンニュイなポーズが決まってるぅ。
キーボードーのハモンドオルガン風な音色が 「せつない」感じをよく醸し出している。

外の寒風で冷え切っていた身体だったけど、だんだん芯の方から暖まってきてテンション上がってきちゃったぁ。
じんじんさせてねぇ。

4.RIVER

ステージは一転、ダークトーンに沈む。
両サイドスポットからブルーのライト。
キーボードがギターに持ち替えた。一段とアコースティックな音の編成に。
しっとりと歌い出す石井。みんなただうっとりと歌声に身を委ねてシンプルだが豊かな音の波間をたゆたう。
ふと見上げれば、円形スクリーンに月食が映し出されている。ゆっくりと地球の影に浸食されていく月。そして再び姿を表すさまを眺めながら、心は広い宇宙へと誘われ流離いだしていく。
心地よい遊離感。

この曲は「ガンダムシード」に用いられていましたねぇ。エンディングでかかると じーんと来ちゃいました。そういえば石井もデビュー20周年ですが、ガンダムは25周年を迎えてしまいました。昨年は25周年記念のボトルキャップを必死で集めちゃいましたよ。ついでにスペースコロニー型のコレクションステージまで買っちゃいました・・・いい年して わたし何やってんでしょうねぇ。

などど思いは千々にさまよい歩くうちに2度目の月食が終わり、しみじみとした余韻を残しながら曲が終わる。

5.フラストレーション

近ちゃんがアコースティックギターに持ち替える。しっとりした曲の次はぐっとアップテンポに。
わたしの中では今回のツアーの中でのキャッチーな楽曲です。
早口で語る歌詞が内面のいらだちを巧みに表現している。ちょいと攻撃的な詞と裏腹にメロウな曲が良いなぁ。情感をとがった言葉に乗せるのが、いかにも石井ワールドの面目躍如!と言ったところでしょうか。
ハイトーンのキーボードソロが 心をかき乱す。

☆MC〜メンバー紹介”エンジェルマンズ”

ようこそsketchへお越し下さいました。寒い中をよく来て下さいました。ねぇ。だっせー男ばかりのバンドなんですけども・・・
なんかあせあせしてるよ おじさん

今日はカメラが入ってますからね いつも以上に気合いを入れてね・・・大幅に盛り上がってまいりましょう〜

あっ!カメラを意識して舞い上がってるのね、大丈夫ですかぁ

一生懸命やりますけどもね、盛り上がるかどうかは皆さんにかかっていますからね。

ヲイヲイ私らに責任転嫁ですかぁ

皆さんに託しますから 最後まで宜しくぅ〜!!
米米のときはねぇ大所帯でしたけどもねぇ 今回こういうシンプルな構成でね、4人になっちゃったので心細い気もするんですよ。ぜひ皆さんにサポートして頂かないと不安の中でね・・・へっへっへ
でもいいでしょ?こういう編成も。
では紹介しましょう

ドラム みやがわつよし

もうドラムが破けちゃうんじゃないか!ってくらいの力演(?)カメラがはいってるから?

ベース こまのてつひろ

ぎゅいーんと引き始めたと思ったら、ぷっつん!突然終わっちゃいましたぁ あらら。

彼めちゃくちゃ上手いんですよぉ〜 もうバカみたいに上手いの「バカテク!」

そうなんだぁー

キーボード しながわまこと

あっという間に終わり なんの曲だっけ?と考える暇もなし

短けー! 

あっ石井さんもそう思った、やっぱりね。

ギター、そして今回は編曲もやってくれました、バンマス こんだきよと

近ちゃんはちゃんと弾きます。クラプトンの「Layla」のリフです。かっちょいい!

今回は近田君にいろいろやって貰ってね、いろいろ連絡しあって(携帯で話す仕草)
そういえば俺まだ携帯持ってないんですよ。
凄いですよねー、今の携帯はどんどん進化してますからね。カメラが付いてたりね、カメラぐらいじゃまだまだですね。そのうちエアバッグとか付いてたりしてね。万が一の時に安全ですよね。それとか、デジタルじゃなくってアナログにしちゃうの。こぅ赤い糸が出てるの携帯から。でね恋人と繋がっててね糸電話でね。

ありえねー!なんかおぢさん暴走してきちゃいましたよ。だいじょーぶかぁ

あるいは電話線が繋がってないと使えない携帯!

って、それ携帯言わないし!

それか、味付きで舐めると美味しいとか、テントが入ってるいざというときに便利ですよねー。

重くて持てないから!!もう暴走モード全開です。誰一人ついて行けません。

何話してるんでしょうね俺。まぁ人生いろいろですから(苦笑)

って あなたは小泉かぁ〜!!
で煙に巻かれたように「ハランバンジョー」へ突入。

6.ハランバンジョウ

中央スクリーンに 白黒フィルムのパリの町並みが投影される。近ちゃんのギターソロがファンキーにうなる。
石井いつもより濃ゆい歌い方ですか?力強く元気のわいてくるリズムです。先ほどのMCで寒くなってた客もいっきにヒートアップですぅ。

7.MY LOVE

ピンクのサイドスポットとグリーンのライトがポップでお洒落〜な感じを出しています。
軽快なリズムに乗ってみんなの心も弾みます。ステージ全体が明るくなるとノリもテンション上がります。
ポップなサウンドが外の寒風もなんのその、すっかり吹き飛ばして暖かくしてくれる感じ。

8.夢の迷い道で

バイオレットのピンスポットのあたるなか中央の円形スクリーンにモノクロの映像が投影。
ダブルフレームになっている。自然の景色が映し出される。フレームを持って歩く石井の姿、歌う姿も映し出される。
内側のフレームの映像は石井の視点&心象風景だろうか。黒い帽子にマントをはためかせ歩く石井。水上で歌うかと思えば 一転大地と空のフレーム。
どこまでも続く道。
この道は石井の進む道なのか?誰もいないまっすぐに伸びた道。
風が吹き抜けていく冬の景色を 伸びやかなシンセサイザーの音が表現している。

アナタノソラ(朗読)

歌い終わって 水を一口。マイクスタンドの杖をはずす。

えー、今年俺20周年なんですよ。

ひゅーひゅー と祝福の声(?)

20周年ですから 立ち話もなんですから どうぞ座って下さい。ねっ20周年なんだから。

どういう関係があるんですかぁ!まっとりあえず座りましょ。

ステージ下手に小机がセットされる。
昔の木造校舎にあったような、懐かしい感じの木製の机です。
ゆっくりと机に向かい静かに腰を下ろす石井。

20年もステージに立たせて頂いているっていうのも、皆さんのおかげだと思うんです。
嬉しいなぁと思うんです。そんなに居ないですよ、こんなに20年も こうやって見に来てくれて、聞きに来てくれて 歌っていけるっていうのは。
でも やっぱ俺を生んでくれた母親に感謝しますよ。やっぱね。
いろいろ親不孝もしましたのでね。
で20周年となっておふくろに詩を書いたんですよ。
20年間おふくろの歌って無かったんですからね。
おふくろの歌書きました。
アナタノソラっていうんですよ。朗読します。

机の上にはツアーグッズのオルゴールが。

あっそうだ!オルゴールかけますか。販促にもなるし(笑)
販売促進ね。

オルゴールを取り上げ 静かにねじを巻く。

しみじみと「天使の羽音」のメロディーが流れ出す。

本を開き、朗読を始める。
スクリーンにも言葉が映し出される。
息をひそめて 聞き入る観客。
静かに 穏やかに 会場全体に言葉が染みこんでゆく。
最初の頃よりもずっと自然に 気負わず朗読している。 それがまた、いっそう聞く者の心に深く届く。

9.アナタノソラ

朗読が終わると 座ったまま歌い出す石井。
ステージはセピア色に染まる。木漏れ日のような はたまた夕日のような 心安らぐ色調。
R&Bのずしんと ハラワタに響くサウンド。ソウルフルな女性コーラスが入る。
ゴスペルともとれるようなコーラスが めっちゃイケてる。マチコ&よしえねぇさんでしょうか?
ヘビーなブルースのリズムに乗せて スピリチュアルな言葉が 熱く噴きこぼれてくる。
母への熱い想いを 歌い上げる石井。ともすれば甘くなりがちな詞だけれど ブルースに乗せることでぴりっと引き締まった曲になってていい!
ピアニカによるソロがバンドネオンのように哀愁を帯びた音色で 色彩を豊かにしてくれる。

大人になると素直に母への愛を口に出来るなんて凄いなぁ。なかなか照れくさくて 思っていても言えません。普通。
母へのオマージュ。「母に捧げるバラード」ならぬ「母に捧げるブルース」ですか?
今までにない男臭いサウンドが新鮮です。

10.天使の標的

両サイドからのブルーのライト。中央からのバイオレットのダウンライトに浮かび上がる石井。
ソフィスティケートされてハイセンス雰囲気が良い。甘い歌声が女心をくすぐる。いつもより高音が伸びやかで素晴らしい。
うっとーりして聴き惚れてしまいました。

スケッチ・写真館
一転 演歌チックなBGM。

スケッチ写真かーん!!このコーナーはお客様の中から抽選で1名様を選んで ステージに上がって頂いて お客様と一緒に このデラックスなデスクで(どこが!)写真を撮るという企画で ございます。

ステージはアーティストの命。その命の上にのって頂きましよう。

えー!いいなぁ。当たるといいなぁ でもわたしったらくじ運悪いからなぁ・・・その分男運は良いけれど・・・ってそんなことはどうでもいい!!

とスタッフが くじ引きの箱を持ってきました。

この金色の箱の中に、先ほど入場の時にちぎったチケットの半券が入っております。この中から1枚を引きます。

箱の中に手を入れる石井。

ああっ!やめて!そんなにかき回したら わたし淫らになっちゃうわん(*^_^*)

などと言いつつ 半券を引きます。
ドラムロール ドロロロロロロ!ジャーン!

当選者を読み上げる石井。みんな固唾をのんで聞き入ってます。わくわく。

当選者は!えー、石井竜也 1月9日 日曜 17時開場 18時開演

そんなとこまで読まんでええっちゅうねん!はよ当選番号を読まんかい!

1階17列32番!

きゃー!いいなぁ!!

では当選された方は急いでステージまでお越し下さい。
カメラマンはプロのカメラマンにお願いしています。篠山紀信の一番弟子です。本物のプロの方です。ベレー帽もかぶっています。伊集院さんと言います。本物です。

そんなこと言ってるけど めちゃめちゃウソくさーい。スタッフの人じゃん。カメラだってちっちゃいデジカメだしぃ(^o^)

早く上がってきて下さい。わたしもの凄くアセっています。何とか繋がなくてはいけません。
素晴らしいことを言うのには短すぎる、一発芸には長すぎる びみょーな時間です。
わたくし 今回は歌が8分でしゃべりが2分ですが しゃべり出したらしゃべりが8分で歌が2分となってしまいます。汗をかいています。私ここは「ダイエットコーナー」と呼んでいます。汗の半分をここでかいてしまいます。
どうか早く来て下さい。

そうこうしている間に ようやくラッキーな当選者登場。ツーショット写真を撮る。
1枚目は普通にしているが、2枚目になると そっぽを向いて撮る石井。意地悪なんだからぁ。

このお写真を大きく引き延ばして私のサインを入れてお送りいたしましょう。大変貴重なものですよぉ。
でも値段を言うのはよしましょう。

では とっととお帰りを〜 帰りはもうゆっくりでいいですよぉ〜 へへへっ

11.浪漫飛行

ブーンという飛行機のエンジン音。おお!もしやこれは!あの名曲!
一斉に皆さん立ち上がります。
手拍子します。踊ります。
円形スクリーンに 時計の映像が。ぐるぐるぐるぐる 時計の針がめまぐるしく回っています。
時の経つのは早いなぁ というメタファーなのでしょうか?
マルチ画面になって時計がいっぱい。ますます目が回りそう。
本日 ようやく石井様 舞台袖までお出ましです。今までずっと中央にお立ちでしたが
上手 下手に移動しながら 観客を煽ります。
客席前方は ワーキャー状態に。分かっちゃいるけど やっぱり少しでも近づいてくれると嬉しいのよねぇ。猿山の猿のように騒いでしまうのよん。
最後は男らしく 拳を突き上げてFINISH!

12.つれて行くよ

畳みかけるように 懐かしい曲の連発です。
オレンジのライトで ステージが一気に明るくなる。
手拍子も一段と大きくなってくる。

13.心の言葉

新曲だぁ〜 聞いてくれぇ〜!

グリーンとバイオレットのモザイク状のライト。
スクリーンに石井一家の写真のスライドショー。赤ちゃんの頃から、だんだん成長していく様が
次々とモノクロ写真で披露される。滅多に見られないお宝写真ですね。

親しみやすいメロディーに覚えやすい歌詞。シンプルなんだけどストレートに気持ちが伝わる とってもいい曲です。心の中にじんわりと染みこんでいく。
「アナタノソラ」もそうだけど 大人になって 素直に心の中の気持ちを表すのって 照れくさいし、勇気がいることだけど 決してかっこ悪いことじゃなく むしろ男らしいってこんな事も指すのかなぁと思いました。今までになかった 石井の新たな一面を見た思いですね。

歌い終わって一言

こんど2月23日に新曲として出ますので ぜひ ダウンロードなんかせずに(笑)買って下さい。


一人芝居(銀座の雨の待ち合わせ編)

お座り下さい。

みんな 言われるがままに 座ります。

難しいのは男と女ですね。なかなかうまくいかない。
女の方は男の心がわからない。男の方もやっぱり 女の心がわからない。生まれも違うし 育ちも違う 感じ方も違う。うまいことがっちり結びつくなんてないんじゃないかと思いますね。
すれ違い ねえ・・・
わかろうとするからいけない。わかろうとしちゃいけない。わかろうとすると余計にわからなくなってしまうんですね。人間って完璧な人なんかいないんです。
ただ認める。 他人を認めるっていうことは 難しいことですよ。そんなこんなで 考えさせられる ここ1,2年なんですけども。
(笑)

をいをい そんな意味深な事を 自分で言うなぁ!

BGMにすんごーくロマンチックにアレンジされた「テンシノササヤキ」が流れます。「冬ソナ」なんかメじゃない。フランス映画みたいに素敵な雰囲気なんです。

銀座。
冬の銀座は寒いですねぇ。
服部時計店。和光のところの時計。あれが7時を回っている。
男が一人 三越の前で待っている。
寒ーいところにあのライオンがこう(ライオンの姿を真似る)座っているんです。
そのすぐ近くに 男がたばこを吸って じっと自分の彼女を待っている。
さっきから携帯を鳴らすんですが、彼女は家に忘れてきたのか 会社に忘れたのか 持ってきてないのか出ません。
仕方ねぇや・・・
30分が 45分 1時間になり 煙草も 2本が3本になり とうとう1箱煙草を吸い終えました。
男の足下がしんしんと冷えてきます。
銀座に雪が舞い降りる。
風が びゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと 心にまで吹き込んでくるんです。
寒いんです。
「やっぱりアイツ仕事の方が大事なのかなぁ」そんなことを思いながら 男は立っている。
2箱目の煙草を開ける。
1時間半がすぎる頃。
「さて 帰るか なんか残業か何かあったんだろう」仕方なしに男は地下鉄へと降りていく。
すると!!
その三越の向こう側ちょっと路地に入った奥で 女の子は待っていたんです。
寒い中を 1時間半過ぎました。なかなか来ない男のことを。
自分の彼氏がなかなか来ない。100メートルくらい向こうに行くと 電話ボックスがある。
そこまで歩いて行く間に 彼が来たらどうしよう・・・ここが女心ですね。
なかなか行けないんです。
零下45度くらいに感じる。
2時間になりました。
わたしの涙 凍ってないかしら・・・
安物のブーツなんでしょう。水がすーっと染みこんできてる。もう足の先が冷たい。ただでさえ冷え性なんですから・・・
指先がこうしてられない(指を伸ばした仕草)こういう風になっている。(指を縮こめて曲げる)だからちょっと膨らんでいる(細かいなぁ)
諦めます・・・
そして女の子は トボトボと自分の家路を辿っていく。
駅を降りて徒歩17分。 1ヶ月17万5千円のマンション。
雪がしんしんと降り積もる路地を曲がって 自分のマンションのそば。
ふと マンションの前に立っている 一人の人影。
あら 誰かしら・・・

(呆然と立ちつくし 手からぽろりと傘が落ちる仕草)

持っていた傘が ふっと風に舞う
3回バウンドして行きます
(傘がくるくると回る様子をする)
あっ!あの人だわ!
男はびっしょり濡れて 寒そうに それでもじっと彼女を待っている。
煙草も もうすっかり消えてしまっているのに くわえたままです。
ひょっとしたら 死んでんじゃないかしら?
そんなことを思いながら・・・
(彼女が駆け寄る仕草)
「ごめん!」
近寄っていきます。
男は肩の雪を払って・・・じっと見つめる
女の子がもう一歩近づこうとしたその時
(はっと 立ち止まる彼女 男は腕を伸ばし 人差し指をたて 指は 彼女の唇とおぼしきあたりにそっと触れる・・・)
カメラが回ります

(といいつつ あたかもカメラが回っているかの如くに 石井が立てた指を中心にして回ります
このアングルは 「猟奇的な彼女」の監督クァク・ジェヨンが多用する手法ですね(笑)
というのは余談ですが まるでそこに二人が存在するかのような 見事な一人芝居 観客は魅入られたように 息をのんで しかし時々くすくす笑いながら 見入っています)

徐々に 二人の距離が縮まって ゆっくりと男の唇が 彼女の唇を押さえている指に近づいていく
ほら もう少しで 二人は口づけを・・・

(ひゅーひゅー!観客が沸きます)

次の曲を・・・

あーん いいところだったのにぃ い・ぢ・わ・る

小さく「あー 恥ずかしいぃ

14.SCENARIO

スタイリッシュな曲です。グリーンのライトに彩られる石井のヴェルベットボイスに酔いしれる。クライマックスのサビのシーンではオレンジのスポットライトがクロスして照射され かっこいい。
近ちゃんのギターソロもクールで素晴らしいです。


15.TRAUMA

レッドのピンスポット。グリーンとバイオレットのバックライト。ステージ前方のラインライトも点灯。マッチョで力強さが溢れる曲。今まで繊細なイメージの強かった石井だが 今回のツアーでは 男臭いイメージがある。オカマチックなてっぺいちゃんも好きだったけど、力みなぎる石井というのもなかなかイケてますね。へーこんな面もあったのねぇ。って惚れ直しちゃうじゃなーい。

MC

えー 2月23日に心の言葉・アナタノソラが発売になります。3月24日にも今回のツアータイトルと同じなんですが「SKETCH」というアルバムが出ます。
皆さん宜しくお願いいたします。
今回 特別仕様でこの
(とソラヲを取り上げる)ソラヲと言うんですが、これが付いているんですよ。
この顔んとこに好きな写真を入れられるので 皆さんの好きな写真を入れて 自分だけのソラヲを作って楽しんでも良いんじゃないかなと。楽しんでみて下さい。
さて、今回のアルバムなんですけども。苦労したんですよ。
何がってですね、今回アレンジを近ちゃんが、総合プロデュースを金ちゃんがやってくれたんですよ。義理の弟ですけどね。
で スタジオでレコーディングしてたんですよ。大スターがね。大スターですからぁ。
(笑)
こう〜 気持ちよーく歌って 作ってたんですよ。
そしたら 金ちゃんから電話が掛かってきて
てっぺいちゃん ちょっと話があるから うちに来て」って
スターを呼びつけるんですよ。
で 行きました。行ったら 近ちゃんもいて 金ちゃんと2人で 4時間説教ですよ。
ビーチを二人で歩くなんて曲やめなよ 幾つになったと思ってんの?もっと地に足のついた生き方しなきゃ。正直に自分を見なよ」ってコンコンと・・・
まぁそれで いろいろ考えまして このアルバムが出来た訳なんですけどもね。
でもね 有り難いですよ。この年になるとね 忠告してくれる人が居なくなっちゃうんですよ。でも近ちゃんと金ちゃんがダメ出しをしてくれる。有り難いです。
3回目でやっとOKでした。
(笑)
新潟からの帰りに 車中でずっと聞いてたんですけど 涙が出るんですよ つーっと。
いい曲が多いなぁ・・・これ買おう!!ってね。
(笑)

16.闇に光が

ハード&ヘビーなロック。ズンズンと心に響く。
女性コーラスが素晴らしい。
今回は 今までになく マッチョで男っぽい 曲が多いですね。
正統派ロックという感じ。

17.LINE

前の曲に引き続き ロックです。
パワフルなリズム隊がぐいぐい引っ張る。真っ赤なライトがあたってパッションな雰囲気。
スクリーンに英字新聞の映像が。外国の町を歩く石井の姿。すべてモノクロ。
次々に流れる景色。どうやらGROUND ZEROの光景のようだ。
足を踏みならし 心に刻むメロディー。
シンプルなステージで、ダンサーもいないし、派手な演出もないけれど ストレートに心に届く石井の思い。
さながら 石井の音楽における 「ヌーベル・キュイジューヌ」といえるかも。
その本家の解説を真似て言うならば
ヌーベル・キュイジューヌの「革命」の崇高な目的のひとつ、「素材の本質」。
細心に選び抜かれ、正確に演奏されて、はじめてその素材の本当の風味が現れる。
賢明な聴き手たちが、こうした本質的で、シンプルで、純粋な音楽に多大な関心を示すに違いない
なんてね。

18.GARDEN ROSE

次の曲は NEWアルバム「SKETCH」に入っている曲なんですが、育ちのいい女の子を口説き落とすという曲でして。金ちゃんに 「地に足が着いていない!」と言われた曲なんですが・・・
意地で入れました。やりたくて仕方なかったんです。聞いて下さい。ガーデンローズ。

あらら やっぱり 浮ついたのが好きなのねー。今高尚なことを言ったばかりなのに・・・こっちの立場がないじゃん!

スクリーンにバラの花。最初はモノクロだったのが 後半ではだんだん色づいていき 美しいカラーに。徐々に色づき開花していく様は まさに女の成長を意味してるの?
色とりどりのバラは 過去の女性遍歴?
なんて考えすぎですかねぇ。

19.OH! MY ANGEL


お馴染みのナンバーに 一気にテンション急上昇!

20.壮絶夜舞酒家

畳みかけるように 「壮絶」
石井 ノリにのって オブジェの台に登っちゃいました。台上から みんなを煽る煽る
今回はダンサーなしですが さすがに皆さん「ISHIST」きっちり踊ってます。
一糸乱れぬ踊りっぷりには 毎度ながら 惚れ惚れしますね。

最後は イェー!イェー!のかけ声で ハイテンションのまま終了です。
メンバーも退席。

あー汗かいた。
ちっょとひと息。

アンコールを促す手拍子が鳴り響く間 ステージのライトは落ちて 貝のオブジェの男の天使の顔に 石井の顔が投影されている。時々きょろきょろ目を動かしたり 瞬きしたりしている。

(ENCORE)
ステージ一面に星を模したライトが点灯。
メンバーが再登場。静かにイントロが始まる。

21.テンシノササヤキ

石井が再び登場。
黒のジャケット着用。背中には白い羽根。黒に白のパイピングが施された帽子。ここにも白い羽根。
手には光る玉。
静かにステージ中央に立ち 光る玉を持ったまま歌い出す。
スクリーンには 石畳の上を風に舞う 白い羽根の映像。
間奏部分で 玉をオブジェの台に静かに置き しっとりと歌い上げる。
うっとーり。

☆MC

えー、今年は愛知万博のプロデュースをしてまして。曲も演出も振り付けもしていますからね。CGありダンスあり歌ありの楽しいショーですから ぜひ見に来て下さい。
プロデューサーとしての石井を認めて頂いたと言うことで 有り難いと思っています。
さて、今年、去年今年といろんな事がありましたよねぇ。地震とか津波とかねぇ。
先日 新潟でコンサートをやりまして。今年初めてね。
バスを乗り継いで来てくれましてね。大変だったと思うんですが。
やる前はね、どうしようかなぁ トークショーとかにしようかなぁ と思ったりもしたんですけど 普通にして良かったと思いましたね。皆さん喜んでくれて。
こういう仕事をしてて良かったなぁと思いましたね。精神的な力添えしかできないんです。
歌ってあげるしかできないんですけども・・・
凄いですよ 新潟の人は 家が 自分ちが倒壊してるのに チャリティーで津波の被害にあった人になんかしてあげたいって!
本当に辛さを知ってるからこそ 言えることだと思いますね。
7万とも10万とも言われてますけど 海の中にいっぱい流されたわけなんですよねぇ。
あの家族を失った12歳の男の子にどう伝えたら良いんですかねぇ。
新潟の駅で コンサートが終わって帰ろうとするときに 3歳くらいの男の子を連れたお母さんが来て
「わたしも悲惨な目に遭っちゃってー でも 石井さん津波にあった人たちを力づけてあげて下さい」ってそう言うんですよ。神様みたいな人ですよね。
シューマッハーも10億円寄付したとか言ってますけども。メンタルな面をケアしなくちゃいけないと思うんですよ。
去年 障害者のスポーツ大会に出さして頂いたんですが 力づけるとかそんなんじゃないですね。
車いすの人とか 耳の聞こえない人とかがいて 凄く喜んでくれるんですよ。
もう そういうの見てたら 助けるとかおこがましいですよ。
助け合う むしろ助けられる。いい笑顔にね。
手をたたく ありがとう。どういたしまして こちらこそ って感じですよ。
人と人の気持ちの中に優しさがあって それさえあれば絶対にうまくいくと思うんですね。

さて 今回 NEWアルバム作りで 近ちゃんにもアレンジを頼んで 大変だったわけですが 石井もデビュー20周年ですよ。

わー!(パチパチパチ)

下手へ歩いていき 絵のない額縁だけのフレームを持ってくる。
額縁の中から顔を出してしゃべり出す。

昔 親父に言われたんですが、 30過ぎたら 自分の顔に自信を持てって。
それがなかなか出来ない。
人間生きて行かなきゃならない。いい人生を送って 強く生きてく。
ポジティブに生きていかなきゃ 切り抜けられない。
強くならなきゃね。
俺も絵描きだから それぞれの時代で自画像を描いているんですが、
10代の頃は写実的ですね。写真のように描こうとする。
20代は自分をよく見せようと カッコつけて描く。
30代になるとやっとありのままの自分を描こうとする。
40代になると自分を取り囲む人々の優しさまで描きたいと思うようになるんですね。

どうです いいでしょ。

まるでレンブラントの描く「帽子の男」みたーい。すっごくさまになってます。

米米の時にもやりたいと言ったんですが 縁起が悪いからやめろと言われて やっと実現できたんですよね。

でもね きっと完成なんてしないんですよ。
死ぬまで自画像を描き続けると思います。聞いて下さい 「未完成の自画像」


22.未完成の自画像

帽子を取って 額縁の中で歌い出す。
力強く明日は立ち上がるぞ!っという気になる パワーがみなぎる曲。
スクリーンには空の映像が 夜明けの空かしら?
熱い気持ちが伝わってくる。

また明日から 頑張ろう!って思っちゃいました。

最後にメンバー全員 ステージ前に出てきてご挨拶。

生「サンキュー

客電がつき 場内アナウンスが流れ始めた。
「本日は石井竜也コンサート「SKETCH」にご来場頂きまして ありがとうございました。これをもちまして 本日の公演はすべて終了いたしました・・・」とお馴染みの台詞。

足早に帰っていく人もいる。しかしなんだか立ち去りがたく 手拍子をしながらステージを見つめる人人人

と!何だか疲れ切った様子で 石井再登場!
期待に満ちた「きゃー!」の歓声。
ところが ステージに置きっぱなしになっていた額縁を持つと 「へへっ」と笑いながら とっとと舞台袖へ引っ込んでしまう

あ〜あ〜 落胆のため息があちこちで漏れる。

すると!
またまた石井登場!!やったぁー!嬉しいー!

メンバーも戻ってきて 配置に付く。

んー もう帰っちゃった人は しょうがないよな じゃもう一度聞いて下さい「心の言葉」

再ENCORE
心の言葉

何だか嬉しくて ついつい一緒にサビの部分を歌っちゃう

と!「♪こころの言葉を君に贈るよ〜♪」のところで絶句
ええっ!どうしちゃったのぉ

気を取り直して 歌い始めるが また絶句
すっかり声も裏返っちゃうし 震えるし どーしたんでしょ?

さらに必死で歌い続けるも 再び絶句

「♪こころの言葉は声にならなくて〜♪」って本当に声にならない・・・

今まで 歌詞を忘れて絶句したりっていうのは 何度も見ましたが
こんな石井は初めて見ました。
きっと凄ーく心に響く出来事があったに違いありません。

(その絶句の訳は #3 ISHYSTALKで明らかになりましたが)

思わず「頑張ってー!」と声をかけてしまいましたよ。

何だか じーんとして こちらまで胸が詰まる 素晴らしい再アンコール曲でした。

最後に 深々と頭を下げおじぎする石井の 鼻の頭は真っ赤でした。

心にしみる 「絶句 TOKYO」の一夜でした





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