航海 ジョーとリリーの物語

プレミアム試写会レポート 後編
2002.8.26 東京キネマ倶楽部




試写会配布パンフレット で紹介されていた「炎の航海」あらすじ

「炎の航海」ダイジェスト版の試写が終わり、ステージは再び明るくなります。

 下手からマイキーが登場、
「今回の『炎の航海』企画・脚本を担当された、石井竜也さんです」
 上手からふつうに登場したびゅーちーは、ダークグレーのロングジャケットのスーツ姿にお着替え、もとい、お召しです。シャツは黒のシルク、開けた首筋にはいつもの牙型のチョーカー、それにしても見れば見るほど先ほどの笠木健一さんにそっくりです(笑)。
 びゅーちーしゃべろうとするがマイクが入っていない。スイッチを確認して「あ、はいりましたね」ということでトークの始まりです。

「さっき後ろで笠木さんとすれ違ってね、怒ってるんですよ。『おぼえてろ!』って言われまして。おぼえてろ、って言われてもねぇ。なにがあったんでしょうかね」
「石井さんと笠木さんは別人なんですよね」
別人ですよぉ。でも似てるらしいですね。『笠木さんですか?』って聞かれるんですよ。でも僕は不服なんですけど」
「なぜですか?」
「だってあの人、入ってくるとき、肩で風切っちゃってね。それだけじゃないですよ。赤い絨毯ぱーっとひかせて、スタッフに。そこをこうやって(ふんぞりかえるまね)歩いてくるんですから。そのくせ弁当とかの小さいことにうるさいんですよ」
「例えばどういう」
「入っているちくわが小さいとかね(くすっ)。もうチームワークがとれないんですから、あの人がいると。退きで撮りたいのにアップだって言うし。彼もわがままですよね」
「さて、今回の映画ですが。コンセプトは?」
「アクションシーンを中心とした、昭和を彷彿とさせる雰囲気をだしたかったんですね」
「昭和というとどのあたりの…」
「昭和30年代、20年代ぐらいですね。あのころって日本が一番アメリカにあこがれてた時代だと思うんですね。だからジャズとかスイングとかが流行っていたし。カリビアンジャズとかもそうですね。今度リリースする『コ・ウ・カ・イ』もそのあたりのカリビアンジャズっぽいところを狙ってます」
「だからさっきギブミーチョコレートって言ってたんですね」
「ねぇ、ほんとに。もう放送できないようなこと言ってますよね」
「あのぐらいはしょうがないですよね。で、今回のDVDには続きがあるんだそうですね」
「少し展開があるんですけれども。『つづく』みたいな感じですかね」
「今回のDVDでは主題歌・脚本を担当されたそうですが」
「僕も映画を撮ってますから、顔を出させていただいてます。笠木さんとはご一緒してないんですけど。見えないようなところにこだわってますね。ボタン一つとっても」
「どこのボタンですか?」
「ここの(自分のスーツのボタンを指す)ボタンです」
「なるほど。で、制作費のほうなんですが、どのくらい?」
「あいまいなんですけど、監督が言うには『うにゅーぅぉく』ぐらいかかってるらしいです」
「え?」
「うにゅーぅぉくぐらい」
「50億ですか?」
「いや、だからうにゅーぅぉく」
「うにゅーぅぉく、ですか。では制作日数は?」
「4年前ぐらいにお話をいただきました」
「そこは笠木さんとあってますね。で、いかがでした?」
「手応え的には傑作というか、快作(怪作?)に仕上がってます。リターンズを超えるという。ものすごいアクションシーンが満載ですから」
「例えばどんな」
「キリンといっしょに走るんですよ。そいでキリンに勝っちゃった。人じゃないですね。それからリリー役の青空ひかりさん、泣いてたな。『強引だった』とか言われて」
「はぁ」
「…あれは最後の撮影の日かな? ぱっと見たら泣いてるんですよ。で聞いたら『強引に強引に強引に』ってそればっかり言ってまして。あの日、なんかスタッフがやたら多かったんですよね。ぼかしは入れたみたいですよ。とことんやる方だから。そっち出身の方ですからね」
「今後は続編とかは考えていらっしゃるんでしょうか」
「そうですねぇ、パート2とかがあればやらせていただきたいですね。タンカー爆破したいって言ってたんですよ、笠木さん。タンカー爆破したら、相当なお金ですよね」
「ということは、次回作も笠木さんでいこうという」
「…ほんとは使いたくないんですよ。あの人、お弁当とかバイキング形式になってることありますよね。そんとき自分が取る(料理をよそうまね)とバーン(蹴るまね)って、全部捨てちゃうんですよ」
「なんでそんなことするんですか」
「僕もわかんなくて聞いたんですよ。そしたら理由は『全部俺のものだと思った』って言うんですよ。そんなはずないじゃないですか。あんなにいっぱい。おかげでスタッフが食べられなくなっちゃって、たいへんですよ」
「大変な方なんですねぇ。それで本編の方ですが」
「それなりによいものができてますよ。すごかったのは爆破シーン、新宿が全部爆破されるんですよ。新宿で大ロケーションですよ。警察2千人ぐらい動員して。すごかったですよ。爆薬2万トンって言ってましたからね。もう都庁なんてないですよ。都庁建て直し」
「それを1回で」
「そうワンテイク。…いや2テイクだったかな? 建て直しで。そのシーン、カットになっちゃったけど(客:笑い)」
「今回のプレミア映像ですが、先ほどの予告編のほかにもあるそうですが」
「そうです。すごいですよ。いわゆるメイキングっていうんでしょうか。それが30分ぐらい。制作記録映像というか。役者さんの衝撃的告白も収録されてます。夜の性生活までしゃべってますよ」
「そのほかにも『コウカイの三姉妹』という映像があるようですが」
「これはね、ミナコさんという人が、インドの方なんですけどね。オターリ・ペ・ミ・ナーコという人が、今回のコウカイの振り付けをしてくださいまして。その振り付けビデオとでもいいましょうか。これがね、キャメラ一台で撮ってるようにしか見えないんですけど、実はレールひいて、クレーン使って、こんなんなって撮ってるんですよ。ところが、正面からふつうに撮ってるようにしか見えない、というね(客:笑い)。CGもすごいんです。もうハリウッドが買い付けに来ましたから」
「それでは、そのプレミア映像をダイジェストでお楽しみいただきましょう」
「イタタタタ〜、見せちゃいますか。♪よせばいいのにぃ〜(ムード歌謡ムンムンで歌う)(←客:大ウケ)
「それではごらんいただきましょう。どうぞ!」



試写会配布パンフレット p4-5

 ということでプレミア映像の始まりです。メイキングといえどもあなどれない。うん十年前にあった『スターの横顔』とかあんな感じの白黒映像。記録映画風の映像に、アナウンサーが音声をかぶせるみたいなつくり。「今ヤングにモテモテの映画スター、笠木健一さんの…」って感じの寒サムなナレーションがそそります(笑)。

 そのほかには、役者さんの撮影後インタビューやら、『コウカイの三姉妹』という振り付けビデオやらが上映されます。ちなみに『コウカイの三姉妹』とはMiMiちゃん、NaNaちゃん、CoCoちゃんの三姉妹が、それぞれ自分の担当を振り付けてゆくというもの。見てるだけで楽しいです。そうそう、お客さんの手が微妙に動いていましたヨ。みんな考えることは同じなのね、練習しようって(笑)。


上映が終わると再びマイキー&びゅーちーが登場し、トークを繰り広げます。
「今の映像、ジェームスキャメロンがもってったらしいですよ。うちでも使いたいって」
「ナレーションは石井さんが入れられたそうですね」
「いや、笠木さんのお父さんが入れたんですよ。なんでもNHKのアナウンサーをやってらしたみたいで。あれは笠木さんのお父さんがいれたんです」
「『コウカイの三姉妹』のあの方は…」
「オターリ・ペ・ミ・ナーコさんですね」
「オターリ・ペ・ミ・ナーコさん、ですか」
「ええ、こないだお話しする機会があって知ったんですけど。どうやら親父とおふくろがおなじらしいんですよ。偶然なんですけど。インドの方なんですけどね。なんだか親父とおふくろが同じってことで。びっくりしたんですけど」
「石井さん、コウカイに引き続き、9月19日にニューアルバムも出されるそうですね」
「そうなんですよ。これなんですけど(アルバムを2枚見せる)」
「これ、ジャケットが違うじゃないですか」
「はい、2種類あって1つにはハンパチーフというのがついているんです」
「ハンパチーフ?」
「まぁ半端な人間なんで、今回ハンパチーフというのをデザインさせていただいたんですけど。」
「タイトルは」
『THEATER』といいます。僕はこれまでショウをつくってきた人間ですんで、ミュージカルみたいな、ストーリーの感じられるものがつくりたかったんですよ。全13曲で起承転結があるというふうな。といっても物語仕立てというわけではないですけれども」
「このアルバムのポイントは?」
「ポイントは、薔薇ですかね。笠木さんにあやかってジャケットに薔薇を入れちゃったりして。ハンパチーフにも薔薇をデザインしたんですよ」
「そのハンパチーフは何に使うんですか?」
「半端なんで使えないんですけど、コースターかなんかに使っていただけたら」
「ということで9月19日リリースのニューアルバム『THEATER』をどうぞよろしくおねがいいたします」(2人お辞儀、客:拍手)
「石井さん、9月22日からは秋ツアーもあるということですが」
「ええ、NYLON CLUBといいましてアルバム『THEATER』中心で、昭和30年代の俳優に扮してやってみようと思います」
「というわけで9月22日からの秋ツアー『NYLON CLUB』、どうかよろしくお願いいたします」
(2人お辞儀、客:拍手)
「で、石井さん、ここでひとつお願いがあるんですが」
「え?バック転はもうできませんよ」
「そうじゃなくて、ここでひとつコウカイを歌ってもらうというわけには、いきませんでしょうか(客:拍手)」
「マイクがスタンバっているから嫌な予感がしたんですよ(中央にレトロなスタンドマイクが立ってます)。わかりました」
「今度の『NYLON CLUB』ではダンサーが変わるんですよ。いつもやってもらってるマリーザとコータローがスケジュールがあわなくてだめだったんで。それでHIDEBOHとSUJIっていうダンサーの方とやるんですけど、この人たちはタップダンサーなんで、タップのソロがあるんですよ。こないだテレビで2人とやったんですけど、かっこよくて。タップって芸なんで、みんなそっち見ちゃうんですよ。俺がこんなことやっても全然だめで、みんなダンサーを見ちゃう。やめときゃよかったって思いましたよ」   

試写会配布パンフレット p6-7

というわけで晴れて「コ・ウ・カ・イ」大公開!!!
 呼び入れられたHIDEBOHさんとSUJIさんはグレーのスーツにインナーはローズレッドのシャツ&タイ、ボルサリーノを深めにかぶってかっこいい!  コンビのタップシューズもきまってます。
イントロでピストルを両手で構えてふりまわす、というフリがあるんですが、めっちゃいい。ぐるんぐるん振り回して、顔の前で「ふっ」と吹き消す、きゃーん、絶対覚えて踊るぅ(じたばた)。
 もちろんびゅーちーも負けてません。探偵ジョーを彷彿とさせるその表情、ズキューン、と胸を撃ち抜かれます。ちょっと官能的な、影のあるびゅーちー、眉間のしわも愛おしいわぁん♪
 間奏部のサックスソロにかぶさるタップシューズの音、タップソロではビューチーはちょっと奧にひっこんでダンサーを引き立てます。そんときステージ左上の張り出しに注目!「ノンスモーキー石井」さんが拳銃を手に登場!
 あう〜ん、どこ見ていいやら迷うよぉ。って思っているうちにあっという間に曲が終わってしまいました。♪もっともっと、見ていたかったよぉん。

終演後は新田さんの誘導に送られながら(出口への通路がエレベータしかないので)会場を後にしました。はぁ〜おなかいっぱい。楽しかった&すてきだった。
 でもNYLON CLUBまでまだ1月近くあるよー。どうすりゃいいのさ、この身体!
 すっかりしっぽりナイロンクラブ、もといTHEATER、もといコ・ウ・カ・イに染まってしまってもう後戻りはできないわ。は、早くコウカイを……(ばったり)。


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