Tatuya Ishii & Asato Shizuki Special Project Concert Tour 2002

MOON

−観劇録−(第五部・最終)

 

 幕が上がるとステージではすでにイントロが始まっている。中央に姿月&石井の姿、その左右には今回のダンサー藤浦さんとUMEさん。中央の2人は黒のインナーに白のスーツ姿だ。姿月さんは、身ごろの切りかえ線にパイピングを施し、脇線をシェイプしたスレンダーなラインのブレザー(釦なし)に、中央折り線にパイピングの施されたパンツ。対する石井さんは、肩にパットがあるもののほとんどウエストを絞っていないまっすぐなラインのブレザー(シングル一つ釦)とハイウエストで広めの吊りパンツ、姿月さんとの共通点はスーツの色と、石井のパンツの左右に施されたパイピングのみ。
 白でダボラインじゃデブに見える(それでなくても髪長くて頭大きいのに)…石井ファンの嘆きをよそに(笑)、対照的な二人によるデュエット【MOON RIVER】が始まった。
 映画のオリジナル曲とは対照的に、十分すぎるぐらいショウアップされたMoon Riverは、3拍子から4拍子にテンポアップ、8小節ずつを交互に歌い、最後の8小節をデュエットする。歌っていないところは姿月、石井それぞれフリが入っているのだが、姿月バージョンに比べて石井バージョンのカンタンなこと! 振り付けしたMINAKOさんの苦労が忍ばれる(笑)。ちなみに、そんなフリでも左右逆になっちゃったりする石井兄(7日)、いや、みなまでは言いますまい。
 おまけに1番と2番の感想では「さぁ皆さんご一緒に」のかけ声と共に"Can't Take My Eyes Off of You(邦題:君の瞳に恋してる)"の有名な♪チャーラ、チャーラ、チャーララッチャッチャのフレーズが飛び出し(オリジナル同様トランペットだし〜)、♪I love you ba...ならぬ♪I love you, Moon river〜とつながるという趣向。
 またそこんとこのフリが、「右手を斜め45度に構え、右足の蹴りとシンクロして肘を屈伸する、左も同様繰り返し」というもので、笑えます(筆者はげらげら笑いながら踊ってしまった)。2度目に回ってきたときは♪チャーラ、チャーラ、チャーララッ(Hoo! Hoo!)とこぶしつきかけ声まで登場し、踊るやら笑うやら。石井さんはすっとぼけた顔をしてやってましたが、姿月さんは満面の笑みですこぶる楽しそう。
 曲の後半はソロ回し、光田さんのキーボードソロ、近田さんのギターソロ、金子さんのテナーサックスソロ、そして、出色は藤浦さんのタップソロ(ステージ下手側階段上に特設タップボードが設置されていました)にUMEさんのラップ!!
 続いてはMoon Stonesオリジナルの【MOON DANCER】、♪Welcome to the Moooooon!の声と共に始まるイントロ、石井さんはCDほどあからさまな宝塚歌唱法はしていませんでしたね。途中の台詞「さぁ、私の手をとって」「よろしいかしら」はやっぱり姿月=男、石井=女、でした。石井、姿月さんの台詞のときからしなをつくって準備万端、姿月さんの指しだした手にすがりついて「よろしいかしら、アゥン」。
 でも、6日は台詞のきっかけ溜めすぎて、姿月さんの次の歌い出しがぎりぎりになっちゃった(1拍遅れた気もした)。それを気にしてか7日の台詞はきっちりオンタイムオッケー。ところがここで安心したのか、姿月さんパートが終わって次の石井、♪欲望渦巻くホニャラララ〜、と一瞬の歌詞忘れ(♪探す旅は、からは持ち直し)。この日は確かテレビの収録が……9月に放送されればわかりますけど(笑)。
 筆者的ツボは♪過酷をきわめて、の石井のカクカクした動き。CDを聞いたときから想像していただけにうれしくて。いや、いいんですけど。あと♪きっと君も見てる、のダンサーフリはパントマイムでした。きっと(右手で指さす)君も(左・右と順に指さす)見てる(両手で窓枠を掴んで開けながら首を突き出す)というあたり、MINAKOさんらしいわかりやすい振り付けににんまり。さらにこのアテ振りは都合3回あるんですが、首を出す方向が全部違う。1回目は左側、2回目は右側、なんと3回目は窓を下に引き開けて上から首を出す、というフリなのでした。
 2曲終わって、姿月さん&ダンサーの2人がハケてゆきます。残された石井、はじめてのMC(笑)。「MOONいかがでしたでしょうか?」とお客の反応を気にしつつ、次の曲紹介へ。
 次の曲は、なんとかなるさ、という曲でして。例えば貯金のできない人が500円ずつちまちま貯めてもちっとも貯まらない。なるようにしかならならない、いっそのことこういうところでぱーっと使っちゃえ、という(笑)意味の曲でございます。それではワタクシの個人的踊りと共にご覧になっていただきましょう。【Que Sera, Sera】
 個人的踊りとはこういうのだったのねぇ、あーあんなにいい曲なのに。心の片隅ではそう思いながらも大爆笑。♪Que sera, sera, whatever will be, will beのサビの部分と、間奏が全て『個人的踊り』に彩られております。
 思い出せる限りでご紹介。
 まず最初の間奏部では「さぁご一緒に」の声と共に幻のパートナーと共にワルツを。しかしパートナーのその回し方は速すぎる!おまけに客席に投げ入れ、投げ返されるのを受け止めるなんて。
 次に「芸者さん」の声と共に幻のふすまを開けて、閉めてお辞儀(なつかしー!)。さらに7日になると「踏み台昇降」と称して階段上り下り、さらに「反復横飛び!」と叫んで左右に!(は、腹いてぇ)
 6日には♪what will be, will beのところで毎回腿上げを披露していましたが7日は中止。きっとキツかったんでしょう(笑)。あと意味なしツーステップやムリムリのT字ターンもございました。よく歌いきったわ〜、ほんとに。歌っているとき以外、全部動いていたからね〜。それによくタイミングに遅れずに歌えたわ〜。これはかなーり自主練なさったことでしょう。
 これにて全員退場。この後はアンコールタイム。
 
 6日、7日と、結構まともに揃った(ときもある)”アンコール”コール、皆様の声援あってか、満面の笑みで階段上に登場した姿月さん「どうもありがとう」とごあいさつ。続いて、俳優陣を順に紹介していきます。スマイル役の壌晴彦さん、ペテロ役の藤浦功一さん、ゼウス役のジェームス小野田さん、ヒガシ役のUMEさん、そして「ビッグビッグスター、石井竜也〜!」それに対して「ビッグビッグビッグビッグ…スター、姿月あさと〜」と返すびゅーちーです。
 ここで【ENCORE】を短縮バージョンで披露。ダンサーもハケて「あさと、やっと2人きりになれたね。お客もいるけど。バンドもいるけど」(6日)って、姿月さんとの2人トーク。
 6日はなんとか姿月さんから話を引きだそうとするびゅーちーですが、間が持てない(笑)のか、一言しゃべらせてはオトすという展開に。
 「俺とやってみてどうでしたか?」「変な人だなって…」「変な人、もうちょっと言い方があるでしょう」「すごいすてきな方だなと思ってたんですよぉ」「思って、過去形なんですね」「いや、大ベテランの方じゃないですか…」「それって『年寄り』って言ってません?くっ!(顔を伏せてバンド脇のタオルのところへ行って涙を拭くフリ。戻ってきて)まだまだまけねーぞ!若いもんにゃ!」ってな展開。
 この間ずーっと姿月さんは大口開けて笑ってらっしゃいました。いやぁ楽しそう。というより笑うしかないかも?!
 そうそう、姿月さん「最初の打ち合わせの時すっごい緊張して行ったんですよ。そしたら『俺はピエロだからさぁ』ってずーっとふざけてて打ち合わせになんなかった」って言ってましたね。それに対する石井さんの答えが「だってすごく緊張してらしたみたいだから、それをほぐそうと思って。ほぐそうほぐそうとしてやり過ぎちゃうってのが俺なんですよ」
 7日は姿月さんの楽屋話(って全部ウソ)をずらずら〜っと。「宝塚時代の習慣がまだ残っていて、赤絨毯やらバラの花びらやらたいへんなんですよ。スタッフ泣いてますよ」とか「食事もね〜フランス料理じゃなきゃやだって」とか「部屋もプールつきでないとだめだ」とかなんとかかんとか(笑)。
 「俺なんか体力づくりにサウナ行っちゃったりして」という言葉に、姿月さんも「石井さん、リハーサルの時に『俺さ、サウナ行ったんだよね。運動しようと思って』って言うんですよぉ」と逆襲。これに悪びれず「汗かくのは全てスポーツだと思ってますから」って、おいおい。
 最後にまとまらなくなっちゃって「もしかして俺に警戒心もってません?」「はい」「いいじゃないですか、後腐れがなくて(ふきだす)何言ってんだ俺」って展開もあったりしました。
 というわけで最後の曲になりました(客:え〜?)。7日には「これが聞きたかったんだ」ってやり直させられること2回(笑)。3回目には客電までついちゃう念の入れよう、でも「段々面白くなくなってきますね」って、3回もやらしといてなんなんだよー!
 ラストは【愛と青春の旅立ち】、ミュージックフェアで某・天童さんとデュエットしたあの曲でした。姿月さんの高音がきれいだったなぁ。
 曲が終わり幕がおります。再び開いたときには階段にオールキャスト&ミュージシャンが勢揃い、そのままステージ前方に1列に並んでカーテンコールです。下手に一礼、上手に一礼、そして真ん中に一礼。客席からも惜しみない拍手が送られました。
 再び閉幕。しかし拍手は止みません。もう一度開けられた幕の向こう側には姿月さんと石井さんの2人の姿、幕が下りきるまでしっかりとおじぎを続けてくださいました。



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