なんと全22トラックもあるこのCD、目次をみると音楽にコントにあいうえお作文まであるというびっくりな構成。なのに聴いてハチャメチャかというとそうじゃなくてキッチリとまとまってます。 この不思議なまとまりになによりも貢献しているのがジングルの存在。楽曲やコントを『パヤパヤ』ジングルで区切って切り替えていて、それがなんか懐かしの『オールナイトニッポン』聞いてるみたいな感じがするんです。 パヤパヤスキャットが流れて『こっからCM』、するとコントじみたCMが入ってまた番組に戻る、ってふうにラジオ番組を聴いてる気がしてくるのね。『なるほどーそうきたかー』、『やられたぁ』って感じ。このジングル(#1-#8)は全てMINAKO & THE GIRLS BROTHERS演奏でむろんオリジナルです。 そしてこのCDの特徴はBHBメンバー一人ひとりが曲を持ち寄ってきて、しかも全員別々にレコーディングするという作り方をしているところにあります。だから自分以外の人がどんなことやってるか全然知らなかった(知っていたのは金子さんだけ)ということで、一曲一曲個性的に仕上がってるんですね。ではその個性的な曲を紹介しましょう。 |
直訳すると『流れる骨』(ほんとーか? もしかしたら流れるトロンボーンの音ってコトかも?)というこの曲は全編多重録音によるトロンボーンのみの演奏。トロンボーンのつかまえどころのないホワ〜ンとした音が暖かい。途中遠くでかすかに聞こえるソロがなんだかもどかしい感じ。それにしてもトロンボーンって楽器はこんなにいろんなことができるとは驚きでした。後ろでハモってたかと思うとBASSでリズム刻んだりもちろんメロディだって、と八面六臂。わかばさんエライ! この曲はFJQ用にアレンジを変えてDINNER PARTYでも演奏されました。 |
もうタイトルからしてフッシーよねのこの曲はもちろんボーカリスト小林の魅力全開です。女の子のゆれる心理(!)を歌った歌詞にはさまれた『うふっ』『えへっ』の裏返った声がなんとも…。筆者が個人的に好きなのは間奏部分でフッシー自ら演奏するトランペットソロをボーカルがスキャットでなぞる、という部分。そのあとの歓声にOh,yearで応えるのがまたイイ。全体にサッチモ系(!?)な珠玉のこの曲、DINNER PARTYの歌謡ショウでも披露されました。 |
SADOIさんらしく打ち込みの曲、でもメロディは似てもにつかないし『いったいどこがズンドコ節なのぉ?』と思ったら、なんとベースが♪ズンズンズンズンズンズンドッコ、ってやってました(驚)。なるほどぉ、の1曲はDINNER PARTYでBHBが踊る 曲として使われました。今でも聴くたびにあの踊りがよみがえります(笑)。 |
異常に長い名前のこの曲、『武蔵野の夜』を表すのか哀愁を帯びたトランペットの独奏で始まります。うっとりと聞き惚れていると突然曲調が変わり♪(ラップ)モツモツモツモツモツモツモツ。そう『ハッピーホッピーヒッピーなアイツ』というのはモツ焼きの歌なのです! この曲は強力!強烈!激烈!爆裂!…とにかく一度聴いたら頭から離れない。サビの♪モ〜ツモ〜ツモツモツモツモツシオタレシオタレ(以下略)のフレーズは忘れようにも忘れられない強烈な印象を残してくれます。 でもそれだけではなくカウンター的に入れられるラップ♪ガッツハツシロカシラナンコツ、がとってもかっこよくてオススメです。そうそう、このラップ、2番では『シロ』が『レバ』に変わっていますヨ、お聞き逃しなく。余談ですが後日下神さんご本人の携帯電話の着メロがこれであることが判明しました(笑)。 |
しっとりしたバラードのこの曲、サックスの魅力が余すところなく表現されています。聴きながら『じーん』として思わず涙ぐんでしまう、そんな一曲です。オリタさんの演奏が素晴らしくて同じメロディを吹いていても表情が全く違うのでリピートの度にどきどきしてしまいます。 伴奏はピアノ、そして途中からウッドベースが入ってきますが、このベースのつま弾き方がまた素敵です。あまり上手ではない(失礼)のか楽音よりも弦が弾かれる音の方が大きいくらいなのですがそれがまた曲想とあっていてイイのです。あーみんなに聴かせたい。 |
クリスの祭りってやっぱりクリスマスのこと? いやいやクリスさんの祭りなのです。だってDecember 24って言ってますもの(クリスマスは25日よ)。ラップで構成されたこの曲は全体に抑えた感じでメキメキおじさんからは想像もつかない感じ。インサートするトランペットも切実な響きでちょっと暗いカナ? 詩の内容はクリスさんに七面鳥を捧げるっつうか、♪今朝シメたのさこの手で、とか♪食べておくれよ、ナマだけど、とかちょっとグロいけどまぁそこはそれ、ご愛敬ってことで…。(苦しまぎれ) |
曲名で『あれ?』と思った方は相当のファンです。そう、この曲はアルバム『BHB1』に入っている曲のリメイクなのです。あちらはスイングする感じでしたけれどこちらはメロメロのラブバラードに仕上がっています。ボーカルはもちろん金子さん。かすれた裏声の♪LA BOOM〜、に胸がきゅーんとしちゃう。 途中英語の歌詞が加えられていてこれも素敵。 ♪Please keep yourself sitting by me.(そばに座っていて) ♪My heart remains the same forever. (僕の心は永遠に変わらない) ♪When the night has come, the star is shining on my heart.(夜になると僕の心に星が輝く) 『きゃー!』でしょ? そしてこのフレーズがきっかけでピアノとソプラノサックスの伴奏が高まって…『もうどうにでもして』。 アルバムの最後を飾るこの曲で『いろいろあったけどもう全部許しちゃう』みたいな気分にさせられてしまうのでした。 |
そして忘れてならないのが曲間を飾るコント群&あいうえお作文たち。それぞれがまたメンバーの特徴をとらえているというかなんというか。これも彼らの芸域(!)の広さの表れなんでしょうね。 【メリークリスマス】は小林さん扮するインチキ外人神父とオリタさんのまじめ一辺倒男のやりとりが楽しいコント。これはDINNER PARTYの初っ端に披露されました。続いて【コント1(盗聴)】はオリタさんとミナコさんのカップルの電話を盗聴している小林さんという構成。盗聴に気づいた2人がクリスマスを楽しめないヤツだと言うと『なんだとこのヤロ』と馬脚を現してしまうってところがミソ。これもフッシー歌謡ショウの冒頭で流れました。 【コント2(鉄板は代えて…)】は小林、河合、下神3人の会話。シモちゃんの『ミュージシャンはシオかタレどちらが大事かよーく考えればいいんだ。そしてその都度鉄板を代えればいいんだよ』ってどういうコト? これがシオタレ…の引きになるとは。 【コント3(しおとつい)】は金子さんの独り言。『昨日、おとつい、しおとつい…しおとついはさきおとついの親戚なのか?』(はぁ?) 【コント4(星に願っても…)】は今度はシモちゃんのモノローグ。これも『クリスの祭り』からの続きで、『星に願っても願いなんかかなわねーぞ。誰か助けてくれ』って暗いよー(笑)。 |
あいうえお作文は2種類、司会を務めるオリタさんと残り4人&ミナコさんで作文を作ります。まずは【ビッグホー】、『ビビっときたのよあなたの視線に(小林)』『ついて行くわよあなたになら(金子)』『グッときましたあの一言に(河合)』『ホットな気持ちでメリークリスマス(ミナコ)』と順調に進んでいきます、が最後になって『なんでおれだけ横線なんだよ!』とオチる。 もうひとつは【クリスマス】。お題の華やかさとは裏腹になんだか悲惨な状況に…。『苦労をかけてごめんね(小林)』『利子は増えるばかり(金子)』『好きな気持ちがあればこそ(河合)』とここでちょっと持ち直したかと思われたが『町金融に手を出した(ミナコ)』あちゃ〜。キメは『水道が止められた(下神)』 やっぱりオチはシモちゃんなのね〜。 |
こんな楽しくて面白くて感動するCDはめったにお目にかかれないわよ。DINNER PARTYに行けなかった全国のみんな、行けた人を捜し出してゼヒお友達になりましょう! |