水戸偕楽園正門、他

水戸市常盤町、偕楽園公園




 日本三名園のひとつ偕楽園は、藩校弘道館と対になった大名庭園で弘道館開校の翌年に造営

されました。「一張一弛」の考えで、弘道館は文武両道の修業の場に対し偕楽園はその合間に

心身を休める場、というものでした。ただ他の大名庭園とは大きく違って、藩主や家臣だけで

なく一般庶民にも広く開放されていました。この精神が受け継がれているのか、現在も庭園内

には自由に入れます。つまり、これだけの名園なのに無料で入園出来るのです。園内の南側は

千波沼を見下ろす景勝地で眺めが良いのですが、北側は梅の古木が多く植えられていて、今で

は梅の名所として広く知られています。

 庭園内の建物としては、中心となる建物の好文亭は戦災に遭い戦後に再建された建物ですが

表門と中門は偕楽園創建当時のままの建物です。




    偕楽園表門


 大名庭園の表門らしく立派な

門ですが、構造は腕木門で割と

簡素です。それより表門が庭園

の西寄にあって、水戸城がある

東側には向いていない事が目を

引きます。この表門の位置を見

ても偕楽園の理念を実践してい

るかのようです。






     中   門


 表門から入ってしばらく行く

と、好文亭の手前に建っていま

す。それまでは林間の道だった

のですが、この門を過ぎると高

い木立は少なくなり、好文亭と

も調和した開けた庭園のエリア

になります。






     好 文 亭


 偕楽園の中心となる建物で、

眺望を良くする為なのか、二階

建てですが通常の三階に相当す

る高さがあります。一方、藩主

も訪れる建物なので二階に上が

る階段の途中には、警護の侍の

控えの間があるなど、城郭建築

らしさを覗わせる高閣となって

います。





    晩秋の偕楽園


 好文亭の二階から千波沼方向

を見たもので、この眺望の良さ

は金沢の兼六園や岡山後楽園に

はなく、また庭からでもよく見

えるので、高所から城下を見渡

す機会の少ない庶民も楽しめる

庭造りになっています。