シングル FET アンプ






 このアンプは新井晃先生によりMJ誌に数

回に渡って発表された回路をOPTレスにア

レンジしたものです。

 本器の場合の出力は最大でも2.5W程度

ですが、小出力の割に発熱が多いので放熱に

は十分注意して下さい。FETの熱係数は負

ですが、ケミコンが熱により劣化すると音質

にもろに響いてきます。

 その意味でも出力のカップリングコンデンサーにはオーディオ用と称するケミコンを使って下

さい。初段と段間のコンデンサーは、いくつか変えてみたのですが、私には音の違いが分からな

かったので、普通のマイラーとフィルムを使っています。またJ49は入力容量が大きいので、

その改善の為と動作安定の為に自己バイアスとしていますが、さらに入力インピーダンスを充分

に下げる事で高域特性の改善を図っています。その煽りで前段のドレイン抵抗も低くしなければ

ならないので、やや損失の大きなJ72を使っていますが、今は入手不可なので、代りには未実

証ですがJ74でも使えると思います。

 この入力容量ですが、一般的にFETの入力インピーダンスは高いという固定観念があるので

ドライブインピーダンスを軽視しがちですが、入力容量の問題もあるので注意が必要です。2S

J49のデータシートでは900PFとなっているので、ドライブ段の送り出しインピーダンスは、

かなり下げてやらないと可聴帯域から高域の低下が始まってしまいます。



 このアンプを組み立てるときの注意点としてはやはり放熱対策で、終段の石とドレイン抵抗は

とにかく熱くなります。私は普通の半導体セット用のケースに組んだのですが、長時間使用する

とカバーを開けないと熱が篭ってしまう程でした。出来れば真空管セット用のケースに組んだ方

が良いでしょう。

 また念入りな電源リップル対策も必要で、シングルアンプなのでリップル分がそのまま出力に

出てしまいます。定電圧でも良いのですが、今回はなるべく簡単にする為に電源チョークとして

 東栄変成器梶@TEL:03−3255−6589  FAX:03−3255−6597

製の"0.1H 3A"を使いました。電圧に余裕がある場合はLM333などの3端子レギュレー

ターを使っても良いでしょう。



 諸 特 性


 実機は発熱対策の為に止む

終えず少々電圧を下げている

ので、最大出力付近の特性は

上記の定数の場合よりも控え

目の数字になっています。


無歪出力1.5W THD1.3%

NFB 12dB

DF=10 on-off法1kHz 1V

利得 22.3dB(13倍)1kHz

残留ノイズ 0.5mV


 となり残留ノイズがやや

大きいのですが、実用上は

問題ありませんでした。


 歪率特性は各周波数ともよく揃っているのですが、100Hzだけは残留ノイズの影響が出る

低出力領域になっても下がり続けているのは、歪率計のノッチフィルターによりリップル成分が

取り除かれているようです。

 次に周波数特性ですが、先に述べた対策が功を奏したようで高域まで素直に伸びていて、高域

のカットオフは160kHz/−3dBとなりました。また低域に付いては出力コンデンサーの

容量が1000μFなので10Hzでも少し低下していますが、いまは大容量でも小型で高性能

な電解コンが容易に手に入りますから、これを2200μFに増やせば、10Hzまでフラット

になると思います。




 雑  感

 40W 近い消費電力のわりに前章の試作器と変わらない出力なので、非能率なアンプだと思われ

るでしょうが、上記のように特性も良くまた調整箇所も少なくて製作が容易な事など、出力を欲

張らなければ中々魅力の有るセットだと思います。

 ただケースに付いては、既に述べているように真空管セットのようなパンチングカバーの弁当

箱シャーシに組むべきでした。そして出力抵抗や放熱器などはシャーシ上に取り付けて、充分な

放熱対策を心がけた方が良いと思います。



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