ぺるけ式 ミニワッター Vr





  去年の夏は7月始めからの猛暑で、真空

 管アンプだと、たとえミニワッターでも灯

 を入れる気にはなれませんでした。

  そこで猛暑の時の臨時アンプとして発熱

 の少ないトランジスターアンプを作ろうと

 思ったのですが、幸いにもぺるけさんの発

 表したミニツアラーアンプVr3が音が良

 いと評判だったので、手持ちの石で組んで

 見ました。


 自宅で使うので、電源は電源トランス式として石は同程度のコレクタ電流の石の中からhfeの高

い石を選別して使いました。ただ選んだ石が放熱板に取り付けるような形状ではなかったので、銅板

で放熱フィンを作り、終段の石に被せて発熱に対処しています。またCRだけの平滑ではハムノイズ

が多めだったので初段にも平滑回路を追加しています。

 本アンプは手持ち部品の有効活用という目的もあったので、電源トランスも手持ちの中から選んだ

のですが5Vでは巻線電圧が低かったようです。しかし残留リップル対策と左右分離を兼ねる平滑抵

抗の値を下げる訳にはいかないので、電源電圧は上下で11V程度しか得られませんでした。


 またバイアス用のダイオードは手持ちの関係で汎用の整流ダイオード(10E1?型番不詳)を入

れたのですが、電源電圧が低かった所為か終段の石はそれ程熱くなりませんでした。それで回路図に

もDの型番は記入できなかった訳で、ここは適当なDを入れるよりはオリジナル通りにUF2010

を使うようにした方が良いと思います。

 これ以上の事は、私の中途半端な説明より本家ぺるけさんのページを読んだ方が早いと思いますの

で、そちらを参照して頂きたいと思います。

  http://www.op316.com/tubes/mw/mw-12v-p3.htm


 諸 特 性


 電源電圧が低い所為で最大出

力は0.7Wでクリップとなりま

した。また残留ノイズの関係で

最低歪率もさほど下がりません

でしたが、100Hzの特性だけは歪

率計のノッチフィルタが効いて

下がり続けているので、ノイズ

が少なければ他の特性カーブも

同様になるものと思います。そ

れでも本機はスピーカー専用な

ので全く問題ない特性です。



無歪出力0.72W THD 1.1%

DF=100 on-off法1kHz 1V

利得 12.9dB(4.4倍)1kHz

残留ノイズ 0.4mV



 次に周波数特性ですが、これは見事なほどフラットに伸びています。OPT付き真空管アンプでこ

の特性だったら特筆ものですが、半導体アンプでは当然なのかも知れません。あるいはオリジナル通

りに入れた補正が効いているのでしょうか、以下のグラフのように10〜230kHz/−3dBと

いう優れた特性が得られました。



 特性としては最大出力0.7Wという事でスピーカー用としては非力な感じもしますが、使用を想

定する夏場に大きな音で鳴らしたのでは余計暑苦しく感じると思うので、実用上はこの位の出力でも

問題ないと思います。またON-OFF法で測ったDF値は、ミリバルではほとんど針が動かないの

で、仕方なくデジタルテスターで読み取ったのですが、精度も疑問ですし、半導体アンプでは計測す

る意味がないようです。

 一方、本来の性能とは関係ない話ですが、本機は省エネを意識したアンプとして直接の消費電力以

外に部品の製造過程の省エネも考えて、再利用品を積極的に使うように心がけました。例えば半導体

アンプに付き物の基板スペーサーなどは、使い終わったキャップ式ボールペンを輪切りにして使いま

したし、終段の石に必要な放熱板も、アルミではなく銅板を丸めて放熱フィンとして被せました。

 またCR部品もほとんどジャンク品ですが、特別にチェックして使った訳ではないのに部品の不良

に因るトラブルは皆無でした。・・・最近の部品はあまり故障しないようですね。


 雑  感

 本機は設計者ぺるけさん指定の石ではなく、あり合せ部品の寄せ集めで組んだので、オリジナル通

りの性能は望まず「音が出れば良し」と思っていたのですが、やはり設計が良いのでしょうか、得ら

れた特性も肝心の音も十分常用に値するセットとなり、当初の狙い通り、盛夏で真空管アンプを点火

するのが厭われる季節には打って付けのアンプとなりました。




目次へ →