既に何度も述べていますが、今回の14GW8での高域発振はかなり手ごわくLM317にCを
抱かせる方法以外では、たとえ止まっても、カットオフが下がって使い物にはなりませんでした。
一方で、このように定電流素子にCを入れると、差動動作では無くただのA級動作となるのですが
どの辺りの周波数がその分かれ目になるのか気になるところです。そこで上記の歪率カーブの他に
正弦波を入れて、クリップ付近での波形の変化も見てみたのですが、やはり10kHzまでは差動
らしい頭の潰れ方でしたので、肝心な可聴帯域は問題なく差動動作をしているようです。
雑 感
前章の16A8の場合も同様だったのですが、三極五極の複合管で全段差動を組むと高域発振を
起こし易いのは、両ユニット間のシールドが五極管ユニットのカソードに繋がっている為で、その
カソードがアースから浮いてしまう差動アンプでは、シールドの役目を果たせなくなるからです。
それで初期のセットでは補正Cをべたべたと付けて発振を止めていたのですが、本機では上記の
ように高域特性を損なう事なく発振を防止し、また定数見直しにより有効に高域を伸ばす事が出来
ました。冒頭では「前章のアンプも不満があった訳ではない」と書きましたが、新型OPTを搭載
した今回のアンプをじっくり聴いていると、東栄のOPTを使った前章のアンプよりも音のレベル
が数段上がったように聴こえます。どちらのアンプも使用した真空管は能力的に大きな差はないの
で、やはりOPTの違いが大きいようです。
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