6BQ5三結シングルアンプの
   直流磁化打消し実験レポート







  前に思い付いたフローティング電源による

 シングルアンプの直流磁化打消しの試作して

 みたところ、意外と良い結果が得られたので

 レポートします。

  一応、バラックセットの写真です。こんな

 ものを見せても仕方ないですが、実際にセッ

 トを組んで見たんだよー、という証拠写真で

 すね。



 まず回路は、プライマリーが6BQ5の三結で、動作点はEb300V(Ebb310V)、Ib30mA、

RL6k、Rk390Ωでノンクリップ1.8Wを得ています。

セカンダリーはバイポーラのダーリントンで定電流回路を組んでいますが、エミッタ抵抗を100Ω

としたので案外安定しているようです。



なお当初はセカンダリーの電源電圧を低く抑えて効率を上げようと思ったのですが、めのさんの

シミュレーションでも頭が切れてしまったように、 実際もシミュの通り低電圧では片側だけ

頭が切れてしまいました。

そこでセカンダリーの電源電圧を上げていったら160Vで綺麗な波形になりました。



 この状態で各周波数の歪み率を見ると、カーブの上昇の仕方はシングルアンプのカーブ

そのものですが、100Hzのカーブも良く揃っていてPPアンプのような特徴も見せています。



そこで上記の100Hzのカーブに重ねて、打ち消し無しの場合の特性を採り、さらに周波数を

下げて50Hzのカーブも描いて見ましたが、打ち消し無しの場合は歪みが大きくて

比較になりませんでした。



この様子を50Hz/1Wの場合ですが、波形を並べてみたものです。

波形が崩れて正弦波の形をなしていないのが判ります。



 それなら、どこまで頑張れるのかと周波数を下げていったところ、20Hz/1Wまでは

正弦波の形を保っていました。



このOPTはPP用でインダクタンスは大きいと思ったのですが、山水の最廉価シリーズの

トランスなので、ここらが限界のようです。

それは周波数特性にも表れていて、高域端に山谷が出来ていました。が、値段からして

整列巻ではないと思うので仕方ありません。

方形波応答でも不安定にはならなかったので気にしない事にします。



当初はプライマリーの半分以下の消費電力で打消しを掛けるという狙いだったので、

このセットでは150V以下にしたかったのですが、そうは都合良くいきませんでした。

惜しい処ではありましたけど・・

次は電流を絞ってみて、半分以下の消費電力を目指そうと思います。

このOPTは廉価版なので、PP用ですが定インダクタンス型だと思われ、多少のアンバラ電流にも

耐えられるのではないかと思いますから、波形が崩れない範囲で電流を絞ってみようと思います。

電流を絞った時の低域特性について表に纏めてみました。

概ね2割くらい絞る程度なら、大きく崩れる事はないようです。

それでも当初目標の半分以下の消費電力にはなるのですが・・・




ただ、せっかくバランスさせる事が出来るのに、アンバランス動作に固定してしまうのは

抵抗があるので、「ジャズロック」は2割絞った省エネ動作で倍音を楽しみ、「ボーカル、

ストリングス」は広帯域にして素直な音を楽しむ、というようにソースによって切り替えて

使えるようにしたら面白いのではないかと考えています。


* * * * *

このレポートはめのさんの掲示板に書き込んだ事柄を備忘録として纏めたもので、

高域端のアバレの原因とか今読めば見当外れな事もありますが、そのまま残しました。




OPTを東栄のT-1200と 
 蟻印特製OPTに載せ替えて実験

シングルアンプの直流磁化
打消し実験レポート U



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6L6GC三結シングル
広帯域アンプ




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