0−V−2 短波受信機





 回路的には前章の並三ラジオに毛の生えたような物で、

一般的な0−V−2の回路なのですが、調整次第では遠距

離受信にも実用になるほどの感度が得られます。

 その為には

1.機械的にガッシリとしたシャーシに組む。

2.バリコン、コイル等の部品はしっかり取り付ける。

3.信号の流れに沿った部品配置にする。

 あとは組上がってからのアンテナコイルの調整や、異常

発振の防止を根気よくやる事で性能が決まります。





調整のポイント

1.同調コイルはカソードタップの調整でおよその感度が決まります。ボリュームをいっぱいに

 上げたときにV1の増幅度が最大になるので、その少し手前で発振するようにします。調整は

 そのバンドの低い側で行ってください。高い方より低いほうが再生が掛かり難いので、バンド

 のまん中などで調整すると低い側では再生が掛からない事もあるからです。その為にもバンド

 の幅はあまり広げないで、せいぜい二倍程度の可変範囲にしておくと良いでしょう。

2.異常発振は高周波信号が配線に回り込んでいるからで、これを止めるのは 0.001ぐらいのC

 を数本用意して、V2以降の信号ラインと電源ラインの要所要所を、そのCでアースに落とし

 ます。発振が止まったら余分なCを取り外します。

※.アースは増幅段ごとにまとめて、最短距離でシャーシに落とします。一点アースなどと言っ

 て、アースラインを引き回すと異常発振が乗りやすくなります。ノイズ対策も重要ですが、ま

 ずは発振対策優先です。次に低周波増幅段の500Kのボリュームと次のカソード抵抗の2K

 は同一ポイントでアースに落として下さい。また電源トランスの230V巻き線と隣の平滑ケ

 ミコンのアースも同一ポイントに落として下さい。この2点を注意すればハム音はそう気にな

 らないと思います。


現在入手困難な部品はバリコンですが

1.バリコンはポリバリコンでは機械強度に不安があるのでエアバリコンを使いたいものです。

 タイト製のミゼットバリコン等でもいいのですが、出来れば波長直線型のバリコンの方が、周

 波数バンドの上の方で使いやすいです。2連バリコンなら今でも時々出物があるようです。本

 機も大型の2連バリコンを使用しています。


その他

1.低周波増幅や出力管には、手持ちの球を生かして組めばいいと思いますが、6AR5は低感

 度なので本機のように利得の欲しい場合は避けた方が良いです。

2.検波管V1には、手持ちの都合で6BA6を使いましたが、出来れば6AU6等のシャープ

 カットオフ管の方が高感度になります。またV1の第三グリッドは必ずアースに接続して下さ

 い。当初は私も何の考えもなく慣例のようにカソードに繋いだのですが、あるホームページに

 詳細な解説が載っていて、検波管としての動作時に第三グリッドがアースから浮いていると、

 ボディエフェクト現象(セットに手を近づけると同調がずれる)を起こしやすくなる、との事

 でしたのでアースに落とすように手直しをしました。

※.そのホームページとは、”手作り真空管アンプのページ ”の中の ”宇多さんのページ ”

 です。このページはオーディオをメインとした構成なので、ラジオのファンには見過ごされが

 ちなのですが、ラジオのコーナーも大変内容が濃く、並三ラジオや五球スーパーなどの歴史的

 背景から動作原理、製作上の細かいノウハウまで(コレが意外と重要)幅広く解説されていて、

 とても参考になるページです。





検波管の定電圧化について

 ハムバンドを受信する場合に、検波管の第二グリッド電圧を定電圧化することは非常に有効で

す。当機のような再生ラジオでは、SSBも電信も再生を強めにするだけで復調できますが、S

SBを受信する場合は電源電圧が変動すると復調ピッチが変化して非常に聴き取り難いのです。

さらに混信の中では、声のピッチがフラフラしていると、目的の信号が判別し難くなってしまい

ます。すなわち、電源電圧の変動→再生強弱の変化→SSB復調ピッチの変化→近隣混信局との

判別困難、となってしまうのです。

 その定電圧化も、昔は定電圧放電管などを投入していたのですが、今はツェナーダイオードと

いう便利な物がありますので、これを使わない手はありません。当初はデスクリートの定電圧電

源を作ろうかとも思ったのですが、検波管の第二グリッド電圧だけなら電流も1mA以下ですの

で、ツェナーと抵抗だけで間に合います。


 このツェナーは0.1W型の安いもので、

ブリーダー電流も2mAぐらいしか流せず

安定度に不安があったのですが、電源投入

直後の電圧変動にも(球がヒートアップし

てプレート電流が流れるまでは電源電圧が

高くなる。)安定して動作しています。




なかなか便利な使い方

 これは他所のHPに載っていた方法なのですが、なかなか便利なようなので本章でも紹介した

いと思います。

 当機は再生ラジオですから再生を強めれば発振機にもなります。そこで周波数カウンターに発

振周波数を読み取らせれば、周波数直読式の受信機になります。目的の周波数になったら再生を

弱めて発振を止めれば、目指す放送が一発で聞こえて来るという訳です。

 私のカウンターは他章で紹介のとおり秋月電子のキットですが、さっそく実験してみたところ

10メガのJJYに同調した状態での発振周波数は 9.95メガとなり、コンマ数パーセントの

誤差があるようです。これはGDMの校正をした時も同様だったのですが、LC発振では発振の

強さで周波数が変動してしまうようです。発振信号は数100PFのCを介して受けるのが良い

ようで、またアンテナ線を外してから発振させないと不要電波を撒き散らしてしまいます。この

方法を常時やるのならば、スイッチで切り替えられるようにすると良いでしょう。




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