「雪風」のごとく

(前頁より)



駆逐艦は軽快な船足を出すため、薄い造りになっている。爆撃や魚雷を
食ったらひとたまりもない。
戦艦や空母の護衛、戦闘が済めば敵潜水艦を気にしながら、撃沈され
た僚艦の戦友の救助作業に従事している。
そしてガダルカナルへの夜間物資輸送や陸軍将兵撤退の困難な作業も
こなしている。最後は『大和』護衛と戦友の救助であった。

東奔西走、実によく働き、裏方に徹して見事にその職責を全うしている。
人々の目は、ついつい戦艦『大和』『武蔵』や空母などに集まるが、多くの
駆逐艦の地味な活動を見落としてはなるまい。

それは企業や公共的組織の中で、華やかなスターの立場の方々の活躍
だけに目を奪われずに、地味なバック・オフイスの役割を担う人々の支え
を見落としてはならないことを示唆している。



関西、関東、関西、関東、そして今海外へ出た憶良氏は、『雪風』こそ我
が身の生きざまになるかと、心に触れ合う何かを感じた。
転校につぐ転校をする一郎君や翠ちゃん、綾ちゃん、次郎君たちも、『雪
風』のごとく、逞しく強い運を持って生きて欲しいと、憶良氏は神に祈った。



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