晴耕庵の談話室

NO.46



REPORT

2000/7/5
標題:ノルマンディー地方について(2)


ロンドン憶良様

第41回質問者のA.I.です。
翻訳、ゆっくりではありますが、進んでいます。そこで、中間報告
をさせて頂きます。


1、言葉

『フランス語の語尾、-tot(農家)、-thuit(開拓)-bec(小川)、
-dalle (谷)がつく単語や「hogue(小さな丘)」、「 londe(森)」 、
「 nez(岬)」などといった単語に、スカンジナヴィアの痕跡を見る
ことができる』、と書かれていますので、これらが「ノルマン・フレ
ンチ」である事がわかります。

また、男子の名前の「Angot」「 Anquetil」 「 Toustain」
「 Thouroude」などもノルド語(ノルディック)を起源とするそうです。

そして「場所」を表す語尾が「-ville」だそうです。
これは私の想像ですが例えば「Tourville」は、「塔がある場所」
もしくは「トゥールさんの土地」ということでしょう。


2、地名

コタンタン半島の地名にはおおざっぱに言って2つの語源があ
ります。

一つは北方民族入植前から住み着いていたケルト族ガリア地
方の時代の名前を起源とするもの、もう一つは北方民族が持ち
込んだ名前です。

前者はAvranchin(アヴランシャン)やEvreux(エヴルー)な
どです。
後者はHague、Greville、Branville、Ecullevilleなどです。
(ここからは私の調査結果でありまして、翻訳ではありません)

すごい地名はそのものずばり、Normanville(ノルマン人の土地)。
Eure(ウール)県にあり、現在の人口1、255人、面積914ヘク
タールだそうで、946年にはリシャール1世により教会が建てら
れたとの事です。

 そうそう、憶良さんがお乗りになった小型飛行機の名前
AURIGNYはALDERNEYのフランス名でした(ご存知のことと思
いますが)。

この島のホームページによると、「第二次世界大戦中、Nordeny
の収容所にはナチス親衛隊により管理がなされて、ロシア人・
スペイン人・ユダヤ人が収容されていた」との事です。

このように進んでいます。それでは、またお便りさせて頂きます。

                              A.I.


REGARDS

2000/7/7

 A.I. 様

メール拝見、
「ノルマン・フレンチ」について、いろいろとご報告ありがとう
ございます。私に欠けているフランス語を補っていただき、
感謝いたします。他の来訪者の方々にも参考になるでしょう。


英語との類似に驚きましたね。

フランス語の語尾「-dalle (谷)」,
英語では「dale」イングランド北部および詩語での「valley」
ですね。
丘越え谷越え over hill down daleと言いますから。

手許のオックスフォード英英辞書では、更に「dales-man」と
して「person who lives in the dales (in N England)とあります。
スカンジナヴィア・ヴァイキングはブリテンにも来ていますから、
当然と言えば当然ですが。

男子の名前では「 Toustain」 は「Tostig」(ゴッドウィン家の
ハロルド伯の弟)に似ていますね。

「場所」を表す語尾が「-ville」

これは英語のvillage(村)やvilla(町はずれの家)などと関係
ありそうですね。

Normanville(ノルマン人の土地)には脱帽しました。
(第2次大戦中、日本がシンガポールを占領していた時に
昭南島とつけていたことを思い出しました)

私の乗った小型飛行機の名前AURIGNYはALDERNEYの
フランス名だったとは知りませんでした。「変わった名前だな」
という印象でしたが、ありがとうございました。


次のご報告を楽しみにしています。

                 ロンドン憶良


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