女王の島
(前頁より)
チャネル・アイランドはリゾートの島、観光の島として有名である。
さらにもうひとつ、ビジネスの島としても、知る人にだけ知られている。
ビジネスといってもシティやウォール・ストリートのように、ビルディング
が立ち並び、ダーク・スーツに身を包んだビジネス・エリートやOLたち
が颯爽と歩いている姿は見かけない。

またまた憶良氏流の表現になったが、ここはタックス・ヘイブン(租税
回避地)の島であるから、ペーパー・カンパニーが多いという。
「という」というのはペーパー・カンパニーでは外からは全く分からない
からである。
港には外洋ヨットがずらりと係留されている。江の島や葉山の比では
ない。港そのものの設備が、ヨット専用にできているようである。
どうも英国やフランスのお金持ちがリゾートにきて、フリー・タックスの
品々を買い物して帰る。ひょっとしたら、その間に、ペーパー・カンパニ
ーの仕事をしているのかもしれない。
この島は英領であるが、正確には女王の個人所有の島である。
自治権を持ち議会もある。切手も発行しており、この島独自の記念切
手は世界のコレクターの興味を引いている。売上もかなりのものと聞
いている。
「憶良さん、どうもよく分からない。女王の島なら英領ではなく、英国
そのものではないの?」
と不思議に思う読者諸氏も多いことであろう。
そこで少し英国とフランスの中世の歴史を概説しよう。
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