瞼のマレークラブ
(前頁より)


どういう経緯であったのか、憶良氏は信用ある英国人メンバーのカウ
ンター・サイン(副署)がとれたとみえて、この有名クラブのメンバーに
なっていた。

とある古ぼけたビルの入り口で、ガードマンにメンバー・カードを示し、
地下への階段を降りると薄暗い小さな広間に出る。
三人マージャンをする雀卓のように、ステージを囲んで三方に紳士た
ちが座る席が配置されている。そのテーブルは階段教室のように傾斜
がつけられた床に置かれている。
ステージの天井からは照明ランプがぶら下がっている。
何もご存じなければ、殺風景なアングラ小劇場とかスタジオと間違えら
れるであろう。

テーブルについて、仲間とスコッチ・ウイスキーをちびちび飲み始める
と、照明が暗くなる。
楽団の演奏とともに、スポットライトを浴びて次々とセミ・ヌードの踊り子
たちが登場する。
皆、若くて綺麗である。
透けるように白く美しい肌にプリンプリンした形よいオッパイ。申し訳程
度に着けた三角形の前隠し。舞台と客席は離れていないから、上品な
お色気は堅物の憶良氏にもビンビン伝わってくる。




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