(前頁より)



車中で10分ほどのレッスンが終わると、再びジャック先生がハンドルを
握り、雑踏の中をスイスイと運転して、ドライビング・スクールという名の、
机一つのオフィスに帰る。

そこには、次の時間を予約しているキレイナ金髪のお嬢さんが、ベンチ
に腰掛けてジャック先生を待っている。

憶良氏はマネジャー氏に次回の日時を予約し、2ポンドを前払いして帰
宅する。
こうして練習を終えてみると、日本の箱庭式練習場の、何と優雅でせせ
こましいことか。




日本の自動車学校の先生は、こちらの先生より気楽な稼業にみえる。
ゴールダスグリーン・ドライビング・スクールは、まさにその名の通り、町
中がそのまま練習場であった。先生も生徒も必死だった。

机一つをなめてはならぬ。


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