ハイ・テーブル

(前頁より)



サマー・スクールでは、きちんとした晩餐会が何回かあった。
初日の夜とか、マンション・ハウス(ロンドン市長公邸)での歓迎会ある
いは最後の夜のフェアウエル・ディナーなどである。

なかでも圧巻だったのは、ロンドン市長公邸での晩餐会であった。
弦楽四重奏の演奏曲目までメニューに印刷されていた。ドクトル・ジバ
ゴやザ・キング・アンド・アイなどの曲目が、軽快優雅に奏でられるマン
ション・ハウスの晩餐会でのハイ・テーブルには、ロンドン市長メイス卿
とリチャード・ダイソン英国銀行協会会長を中心に、地元の銀行の頭取・
副頭取などお歴々の方々が左右に着席された。

英国の金融機関から出席している十数名のエリート銀行員たちは、い
つの日かI.B.S.S.の後輩を前に、このマンション・ハウスでのハイ・テー
ブルに座る日を、ちらと夢見たことであろう。

宴は華やかに進んだ。 ハイ・テーブルのザ・ロード・メイヤー、メイス卿が、
ワイングラスを持って立った。全員立ち上がり「女王に乾杯!」と杯を上
げた。





追記
現在もこのような制度がオックスフォードのカレッジや英国銀行協会に
残っているのかどうか知らないが、何人かのシティの知己を得、印象に
残ったセミナーであった。

英国の人材教育がそのまま日本の風土に合うとは思わない。しかし、
「ノーブレス・オブリージュ(高い地位に立つ者の負う重い責務)」という
精神を当然のことして身につけている英国エリートの教育風土は、参考
にしてもよいのではなかろうか。

日本では誰がどこで将来のエリートに、「ノーブレス・オブリージュ」を教
育するのだろうか?

観光では入れないが、クライスト・チャーチ・カレッジの食堂や学生寮に
は風格があった。
「ハイ・テーブル」の語源がカレッジの食堂からきていることやその雰囲
気を、参考になればと紹介した。



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