ダーク・スーツのいるゴルフ

(前頁より)


第2日はハイランドに入って、人跡まばらな高原や渓谷美を楽しみつつ、
グレンイーグルス・ホテルに着く。
いやはや、このホテルの威容と周囲の景観に圧倒される。

グレンとはスコットランドの古語で「谷」という意味である。だから、ここ
グレンイーグルは「鷲の谷」ということになる。
なだらかな裾から孤を描いて切りあがる谷の両側の山の形は、まさに
大きな鷲が羽ばたかんとする姿である。



ホテルというよりも、王侯貴族の館というほうが、読者諸氏にイメージ
を伝えやすいであろう。
外観といい、調度品といい、「まさに20世紀の人々のために造られた
現代のベルサイユ宮殿、ブレナム宮殿」という宣伝は誇大ではない。
ブレナム宮殿は、ロンドン郊外オックスフォード州にあるウインストン・
チャーチルの父の実家、マルボーロ公爵の広大な館である。

グレンイーグルス・ホテルにはキングとクイーンの2コース・36ホール
がある。
なにしろサミット・クラスの国際会議が開催できるホテルである。ゴル
フ・コースの他に、婦人子供用のパッティング・コースや釣り池、プー
ルやテニスコートは当然の設備として、日本にはないローン・ボーリン
グ用のグリーンもある。

旅装を解くと、すぐにキングズ・コースからスタートである。キングズ・
コースは、その名の通りダイナミックな設計である。
手入れのよく行き届いたフェアウェイで、なだらかな稜線の外輪山を
眺めつつ白球を打つのは気持ちがいい。
一行はセント・アンドルーズとはがらりと違ったハイ・クラスのゴルフを
十分に楽しんだ。


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