これがほんまの運天(?)テスト


(前頁より)


美絵夫人の試験に憶良氏もついて行った。試験官は善人の相をして
いた。
「家内は日本の免許は持っているが、英語がまだ十分でないので、万
一に備え同乗したい」
と申し入れた。彼はいとも気軽に「どうぞ」と認めてくれた。
好人物の試験官は、きわめてゆっくり、かつ明瞭に、「そこを右に、そ
こを左に」
と指示をだす。

コースも易しいようだ。しかし、本当の路上で運転した経験の少ない
夫人は、ときどきもたつく。

「その度に、後部座席から身を乗り出すようにして、私の運転を見て
いる主人の心配顔がバック・ミラーに映って面白かった」と、美絵夫人
は後日某夫人に語っている。
ここにも見られる土壇場での女性のくそ度胸と、英国男性の女性優遇
にはいささか驚かざるをえない。

「マダムの運転は極めて安全で結構です」
よたよた運転も解釈次第で安全運転と見做される。かくして美絵夫人
は、いとも簡単に、憶良氏よりも一足先に英国の免許を取ってしまった。



「シマッタ!」と言っても、もう遅い。運は天にあるのだ!
憶良氏は、鼻高高の美絵夫人を同乗者として真面目に練習し、2回目
に無事パスして安堵した。


ちなみに英国ではペーパーテストはありません!
また少し追加料金を出すと70歳までの、書き換え無しの免許証もも
らえます。
日本に帰って、書き換え不用の英国の制度を懐かしく思っています。
(日本で一度期限切れになって、更新の手数がかかったので!)
さて皆さん、英国の運転免許取得の制度と、安全運転重視の姿勢を
どう感じましたか。


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