ロンドン憶良見聞録

長靴持って修学旅行



読者諸氏は、憶良氏のつけるタイトルに半ば呆れ、半ば驚きながらも、
結構マジな話に少しは興味を持たれて来たであろう。どうかこの話も
騙されたと思って、最後まで読んでほしい。


「お父さん、今度の修学旅行には長靴がいるのよ」
「えっ、何だって?長靴だって?」
憶良氏は一瞬わが耳を疑った。
「ミドリ、大人をからかっちゃいけないよ」
「あなた、翠ちゃんの言う通りよ。私も驚いたわよ」
美絵夫人が娘に助け舟を出した。

「お父さん、新聞紙と紙箱も持って行くのよ。何をするか分かる?
綾ちゃん、次郎ちゃん、お父さんに教えちゃ駄目よ」
「長靴だけだったら川とか池とかの水遊びと思ったけど、新聞紙と紙箱
というのは分からないな。降参降参」

「フォスルを掘りに行くのよ」
「えっ、フォスルって化石を?」
「そうなのよ、とっても楽しみよ、グレイト・ファンよ。他にもね、農家に行
って一日働く日もあるの」
「お姉ちゃん、いいなあ。私も早く修学旅行に行きたいなあ」
と、妹の綾ちゃんが羨ましがる。




次頁へ