爆弾仕掛けたよ

(前頁より)



憶良氏は若手邦人行員と現地人を連れ外へ出た。警官たちがあちこ
ちに立って警戒している。一同はビルの陰に集まって、XXビルが何時
ドカンと爆発するかどうか固唾を飲んで見守っていた。

しかし、爆発はなかった。警察から避難解除令が出た。

憶良氏たちはぞろぞろとオフイスへ立ち戻った。何とも間が抜けた避難
であった。
支店長はジロッと軽蔑の眼で憶良氏を見た。流石に支店長の判断は
正しかった。
爆発があった方がよかったのか、なかった方がよかったのか、こういう
時には居心地が悪い。

(IRAさん、イタズラ電話さん、いいかげんにしといてや。これであっしら
の命がパーになったり、仕事を寸断させられちゃかないまへんで)
と言いたいところである。




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