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『宇宙には意志がある』
　　桜井邦明　著
　　　　　　株式会社ザ・マサダ

　　著者は高エネルギー宇宙物理学の世界的な権威。この著書は宇宙の「人間原理」に至る道筋を確認するものである。この人間原理とは、この宇宙は人間を作り出すためにある、という仮説である。知的存在が出現したのは、必然のことであり、宇宙が欲するのは、己を知覚してくれる存在であり、宇宙は無目的に、ただ単に偶然に作られたのではない、とする考えである。この本は、宇宙の歴史を科学的にたどることによって、人間原理にたどり着くという、きわめて魅力的な本なのである。「ミクロの世界が時間を作る」「偶然が必然を生み出す」など、小見出しを見ただけでも、読みたくなる本である。

『僕らは星のかけら　　　　　　　　　　　
　・・原子をつくった魔法の炉を探して』
　　　　　　　　マーカス・チャウン　著　　
　　　　　　　　　　ソフトバンクバブリッシング

まずは帯文の紹介・・・「古代ギリシャの原子仮説から現代宇宙論までの系譜がわかる! ＳＦを凌ぐ面白さの科学者列伝」「本書はまさにこの本のタイトルとなっているように、『僕らは星のかけら』であることを、どのように科学者が模索して明らかにしてきたのか、そのダイナミックな研究の歴史を、実にリアルに描いた本である。」〈解説より抜粋〉

人間原理・・・・宇宙がある状態になっている理由は、そうなっていなければ、その事実に気付く人間が存在しないからであるとする考え方

この『人間原理』という考え方には、びっくりぎょうてんしたですね。
ちょっと展開を見てみましょう。

①ホイルは、特定の状態が存在しないとすれば、人間を始めとする炭素を基盤とする生物は存在できない、したがってその状態は存在するはずだという、いわゆる人間原理的な議論を展開することによって、炭素12の7.65MeVのエネルギー状態を予測した。
⇒ケロッグ放射線研究所で証明される

②生命にとって不可欠な二十数種類の重い元素は、驚くべき偶然の積み重ねがなければ、存在しないことがはっきりした。その偶然の連鎖には、少なくとも３種類の原子核の特性の「微調整」が関係している。

③生命は、自然が三つの異なる原子核(ヘリウム8、炭素12、酸素16)の特性を微調整してくれたおかげで存在していた。

④この事実を目の当たりにしたホイルは、宇宙が、生命を持つ有機体の出現を予測して準備をしていたと確信するようになった。それは、生命が、何兆億分の一という偶然の産物でたまたま地球に誕生したのではなく、生命そのものが本当に宇宙的な現象だから誕生したとい
う確信だった。

⑤思考し、推論し、自分が住む世界に関する理論を立て、その世界に自分が住むようになった経緯を問いかける生き物が誕生した。大昔にビックバンの火の玉でつくり出され、銀河全体にわたって存在する無数の星で組みたてられた原子が、人間の中に取り込まれた。
そのとき、原子は、好奇心を持った原子になった。

④宇宙はなぜ、原子が自分自身に興味を抱く能力を獲得するような構造になっているのだろうか。

この本は、とてもわかりやすい、しかもレベルの高い、科学に関する解説書です。

科学者たちがそれをどのようにして解明していったか、

古代キ゜リシャから始まって現代に至るまでのたくさんの科学者

の歩みがわかりやすく語られています。

いっぱい勉強になりました。

原子と宇宙は一つ、空間と時間は一つ、質量とエネルギーは一つ。

ニュートンとアインシュタイン、この二人の偉大さもよくわかります。

　物質はすべて原子で成り立っている。人間もその例外ではない。
　私たちの血液には鉄の原子が含まれ、骨はカルシウムででき、呼吸することによって酸素を体内に取り込みながら、私たちは生きている。
　だが、このような原子はいったいどのようにして生まれたのだろう。
　科学者たちは、これらの原子が星の内部の炉でつくりだされたことを、驚くべき方法で解明した。
　つまり、私たちは、比喩ではなく、文字どおり「星のかけら」であった。
　私たちの身体は、ビックバンから超新星の爆発にいたる宇宙の出来事と直接関わっていたのだ。　　　　　　　　　　　　　　　解説より