みやぎの高校演劇20号
平成15年3月31日発行

高校演劇の魅力をもっと身近に 光井  正
平成14年度活動報告 安保  健
リーダー研修会を終えて 江村 重孝
充実した「第12回演劇総研」    斎藤 信夫
生徒実行委員長として 竹田さん
東北大会に出場して 澤野さん
ありがとうございました 高橋さん

 

    高校演劇の魅力をもっと身近に
              宮城県高等学校文化連盟演劇専門部長
              宮城県高等学校演劇協議会長
              宮城県第三女子高等学校長   光井 正
                        


 「演劇の素晴らしさ、魅力とは何か?」と問われると、わたくしは答えに窮してし
まいます。そのぐらい演劇音痴なわたくしが、今回はからずも演劇専門部にかか
わりを持つことになりました。

 この一年間、演劇専門部の全体像も理解できずに過ぎていったように思いま
す。でも、演劇部は歴史があり、組織がしっかりしており、何も心配することはな
いことがわかりました。いままで、ここまで培い、育ててきた素晴らしい先輩の顧
問の先生方、そしていまも絶えず愛して止まない現役の顧問の先生方のご努力
により、今も発展を続けているのだということを、この一年間を振り返り、つくづく
実感をしているところです。地区大会、県中央大会、東北大会、そして全国大会
と凌ぎを削って、顧問の先生の指導のもと、部員が一丸となって取り組む姿は、
野球の甲子園大会とダブってしまいました。

 それだけに各学校が演ずるものは、内容があり魅力あるものでした。専門家の
方からの講評も厳しいものがありましたが、それを受け止め次年度へ生かそうと
する姿勢が伺われ、すがすがしささえ感じました。やはり、一々の練習の苦労や
悩みながら如何に自分らしい表現をしていったらいいのかを追求しているからこ
そ、素直に助言を受け入れることが出来るのかなと感心しました。また、創作劇
の多いのにも驚かされました。顧問の先生と部員とで練り上げられたもの、仲間
で創作したものなど、本当に高校生の創造性の豊かさに素晴らしさと頼もしさを
感じました。

 演劇芸術の魅力なるものを、特に高校演劇の素晴らしさを味わわせて頂いた
一年間であったと思います。映画やテレビなどと違って、生身の人間が、生身の
観客を相手に肉体を媒介にして演ずる魅力が演劇の魅力ということなのでしょう
か。高校生の演ずる新鮮さ、ひたむきさをダイレクトに肌で感じることができまし
た。しかも、高校生の演ずる内容は、とてもバライティに富んでいて、今の世の中
が抱えている問題を浮き彫りにしていて、見ているものに考えさせるものを与え
てくれます。演劇芸術の社会的な使命ないしは機能は、文化国家が発展すれば
するほど、ますます強化されなくてならないともいわれます。その土台、底辺を支
え、広げていくのが高校生など若者であると思います。これからどんどん演劇人
口が増えていくことを願わずにはいれません。

 また、現代社会は、ストレスも多く、何かと心の豊かさや潤いが無くなってきて
います。このようなときにこそ、日常生活において心をなごませ、やわらげる潤滑
油の作用をなし、平和で幸福な、そして多彩な価値観を導くものとしての演劇の
価値が大きくクローズアッブされるべきではないでしょうかoそういった意味で、高
校の演劇は、こんなに瑞々しく魅力のあるものであり、もっともっと一般の方々に
鑑賞していただくことがとても大切なことてではないかと強く感じました。

 野球の甲子園大会のように、もっともっと身近になり、ふだん着で鑑賞できる環
境作りにつとめることはとても大切なことであると感じた次第であります。

 おわりに、高校演劇界の今後ますますの拡充発展をお祈りしますとともに、各校
の演劇の顧問の先生方、部員の方々のこの一年間の御労苦に敬意と感謝を申し
上げ、更には、来年度の活躍をご期待申し上げましてあいさつといたします。

                                                                                       

 

平成十四年度活動報告
                           宮城県高等学校文化連盟演劇専門部
              宮城県高等学校演劇協議会
                                事務局長 安保  健
                  


1.「新しい試み」

 14年度の活動を振りかえってみると、前年度から引き続き、新しいことが幾つか
なされました。まず、14年度開催された第40回県中央大会が南部地区中心に名
取市文化会館で開催されたことです。平成12年度から県大会を仙台市だけでは
なく、仙台地区と他地区(北部、東部、南部)で一年ごとに順番に開催されること
になり、12年度の東部地区の多賀城市文化センターでの開催に続いて南部では
初めての県大会開催となりました。15年度は仙台地区の主管となり仙台市青年
文化センターで開催されますが、平成16年度は北部地区が中心に小牛田文化
センターで開催されることとなります。県大会が六地区で行われることは観客を
仙台市中心ではなく、いろいろな所から観劇に来て貰うことができ、特に、高校
で演劇をやろうとしている地元の小中校生には良い機会であったと思います。ま
た、生徒たちも南部地区の生徒中心に自発的に活躍してくれました。

 また、14年度から仙台地区では地区大会が、三地区に別れて分離開催されま
した。これも初めての試みでした。例年は一会場で三地区合同で行われていまし
たが、経費と規模の適正化から分離開催となりました。三地区合同でないので、
観客動員が少なかったように思えましたが、自分達の地区だけなので、自主独立
して行い、地区内の親睦が深まり、県大会へ出場できた学校は地区の代表である
という認識を強くしました。

 しかしながら運営面で、この分離開催によって課題が生じました。同じ日程で三
地区が行われたので、審査員になれる顧問にお願いすることが大変であり、中に
は部活の大会前の最後の貴重な土日に審査負になった方もいました。今後、外
部の方に審査員をお願いすることが多くなるかもしれません。

 全体を通して、今年も大きな事故もなく生徒の自主性に基づく大会が運営されま
した。生徒が自分たちのやらなければならない役割をしっかり自覚し、活発に活動
していたと思います。顧問の先生方のご指導の賜物だと思います。前年度の東北
大会での全顧問団と全生徒の一致が生かされていると思います。今後、これまで
築き上げられてきた成果を踏まえて努力していく必要があると思います。


2.「大会各種」

@地区大会(6地区合計参加45校)

 泉・宮城野(8)、青葉(9)、若林・太白(6)、北部(7)、南部(6)、東部(9)。

仙台地区は今年度より地区別3会場(青葉・広瀬文化センター、若林太白・若林
文化センター、泉官城野・仙台青年文化セン    ター)で分離開催されました。

A第40回県中央大会 

 11月下旬、名取市文化会館で開催。

 6地区代表各2校が出場。亘理、角田女子、多賀城、鼎が浦、古川女子、迫桜
仙台育英、仙台自百合、三女、仙台東、宮城広瀬、明成の12校が参加しました。
最優秀は古川女子高、優秀賞一席は明成高、優秀賞二席は仙台育英高、創作
脚本賞は古川女子高、審査委員特別賞は三女高、舞台美術賞は多賀城高が、
それぞれ受賞しました。

 仙台3地区と他の3地区との交五開催が定着し、今年度は名取市文化会館で
行われました。前年度の東北大会の運営が生かされました。また、生徒審査員
制度はしっかりとその定着を見たようです。しかしながら、県中央大会における
顧問審査員制度につきましては前年度から運営上の問題や方法等の問題が理
事会で検討されてきました。

B第35回東北大会、

 
12月 一関文化セン夕ー。

 各県代表2校、本県から古川女子高等学校と明成高等学校が出場し、古川女  
子高等学校が優秀賞を受賞する成果を上げました。次年度以降も宮城県の代
表校が活躍されることが期待されます。

C高文連県総合文化祭 

 10/18 県民会館

 14年度は代表として泉宮城野地区の仙台育英高等学校がパワーフルな劇を
上演し好評を博しました。

3.「研修会各種」(全県的事業) 

@第12回総合演劇研修会

 仙台市青年文化センター 7/24〜26

 のべ950名の参加申込みがあり、9割以上の生徒が意義深かかったと感想
をアンケートに記しています。

A第14回演劇リーダー研修会

 パィラ松島 7/21〜22

 23校74名の参加を見ました。今年も当日の取り消しがあり、係を慌てさせまし
た。内容については今年から新しく東放学園の5名の講師の方に指導をお願い
し、好評のうちに終えることかできました。

B第3回舞台技術研修会

 教員対象 仙台市広瀬文化センター 8/l

 青葉地区の先生方を中心に15名の教員の参加がありました。講師は鞄喧k
共立の田中氏。照明技術の実践を体験でき、有意義な研修でした。

4.「諸会議」

 
総会(1回)、理事会(7回)、全県顧間会(l回)、県大会実行委員会(2回)、他。

5.「その他」

 仙台市戦災復興展参加上演(7/12〜13)
 
二女高と明成高の2校が参加し、好評を得ました。
                                  文責・安保 健

                                                             

 

                 リーダー研修会を終えて
                                                 宮城県高校演劇リーダー研修会
                                      実行委員長   江村 重孝

  毎年夏休みに行われている高校演劇リーダー研修会。以前はニ泊三日で行
われていたが日程の見直し、内容の充実、生徒の経済的負担の関係から一泊
二日に変更になり久しい。しかし限られた時間を有効に使いたいという思いから
だろう、以前にも増し生徒達の奮闘ぶり、やる気が伝わってくる。泊を伴う指導
になると先生方も大変であるが、暑さをものともせず真剣な態度でワークショップ
に励んでいる生徒達を見ていると、我々の疲労も吹っ飛ぶのである。昨年度は86
名の生徒に13名の教員、計99名の参加があった。講師はその道で長年指導に
携わってきたプロ5名。例年どおり大成功に終ったのであるo以下にアンケートを
大ざっぱにではあるがまとのたものを紹介する。

★あなたの受けた講習は……?
 大変良い 46
 良い 28
 普通 8
 良くない 0

★講習の内容は……?
 難しい 23
 普通  54
 やさしい 6

★講習時間は……?
 長い  10
 丁度良い 62
 短い  22

★受講者の人数は……?
 多い  17
 丁度良い 75
 少ない 2

このようなアンケート結果を見ると、「今年もやるぞ!」と力が沸いてくるのである。

                                                                                        

 

             充実した「第12回演劇総研」
                                         宮城県高校演劇総合研修会
                            実行委員長  斎藤 信夫

 高校演劇において生徒・顧問にとって大変なことは、中学校における部活動に
演劇部が少なく、演劇の経験が少ない生徒が多いこと。顧問にとっても演劇の経
験がないまま、顧問になってしまうことが多いことです。しかし各校の演劇部は、
すばらしい演劇を作って後輩に引き継いでいます。演劇未経験の顧問の先生方
もがんばって生徒と共に演劇づくりをすすめています。少しでも演劇づくりの役に
立てるように、県全体の演劇の質の向上をめざして、宮城県ではすばらしい行事
を作ってきました。その一つが十二年前からはじまった演劇総合研修会です。

 本年度の第十二回宮城県高等学校演劇総合研修会は、平成十四年七月二四
日(水)から七月二六日(金)の三日間、仙台市青年文化センターを会場に実施さ
れました。舞台基礎知識(装置)(音響)(照明)、創作脚本講習A‐B、演技演出講
習、パフォーマンス入門、音響ブラン作成、照明プラン作成、身体訓練講習、メィ
クアップ講習、装置製作講習の十二種類の研修にのべ千五十名が参加し、熱心
に研修しました。大部分の人(九○%以上)は参加した甲斐があった、ある程度の
意義が認められるとアンケートで答えています。どの研修でも「楽しかった」「非常
にためになった」「今後の部活・コンクール・文化祭に生かしていきたい」と感想が
出されていました。

 この充実した総研は、演劇関係の専門の講師の先生方に、高校生の演劇の重
要性と特徴を理解していただき、非常に丁寧に指導していただいた賜物と思いま
す。そして小さな知識・技術も見逃さないと一生懸命研修した演劇部員諸君によっ
て作られたものでした。

 準備の過程で実行委員会の不手際により、講習ごとの定員調整のためいろいろ

ご迷惑をおかけしました。次年度へ生かしていただき、さらに充実した研修会を期
待いたします。
                                                                                  

 

        生徒実行委員長として
                  宮城県高校演劇中央大会
                        生徒実行委員長 竹田さん

 最近とても暖かくなってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私の学校
の演劇部の後輩たちは、大会用の台本を決め始めたようです。その様子を見て
いたら「今年も大会が来るんだな。」と思い、去年の事が色々と思い出されました。
私たちの学校の台本の案が出たのは去年の四月、ちょうど今頃で、演劇部の皆
でいつものようにエチュードしていたら、おもしろい作品が出たので、「これを台本
にしちゃおうよ。」と言う事で決まりました。それからずっと一つの作品を作り続け
てきて、一年生の地区大会直前に演劇部に入部した私には、皆で一つの作品を
作り上げるのは初めての体験でした。時には詰まってしまって「疲れたよ〜」とな
ったり、「あたしがこの役を演じてもいいのだろうか。」と弱気になったり。それでも、
いつも「早く放課後にならないかな〜。部活したいな〜。」と思っていました。

 私は演劇部に入って分かり合える仲間を得、舞台の楽しさを知り、本当にたくさ
んの事を受け取りました。リーダー研修、総合研修、大会では他校の演劇部の方
々と出会え、ライバル心を持ちつつ友達になり、たくさん刺激されました。今年は
部活を引退したので、どれもこれも見る側としてしか参加できなくて寂しいですが、
大会を見に行くのを楽しみにしています。

 高校演劇は高校のうちしかできません、高校生の皆さん、悔いのないように思い
っきりやっちゃって下さいっっ!! あ〜本当に大会見に行くの楽しみです

 ちなみに私は劇から抜け切れずに5/24に 10−BOX で公演します。劇団き
んぎょばちの第1回公演です。もし時間がありましたら見に来て下さい☆★

                                                                                  

 

東北大会に出場して
                          
                             明成高校  澤野さん  

 
 昨年の12月21日、岩手県一関市で行われた東北大会に明成高等学校演劇部は、23年振りに出場する事ができました。私達は今まで大きな大会を経験した事がなく、しかも他県での開催という事で細かい勝手が地区・県大会とは違い、はじめは緊張し自分達のぺ−スを掴めませんでした。けれどもリハーサルや打ち合わせ、会館での練習などをこなしていくうちにそれも無くなり、あっという間に本番当日となりました。そして上演6に「標〜しるべ〜」を上演しました。この劇は部員の創作劇で昨年の四月頃から本格的に作り始めてきたのですが、途中実に様々な事があり、私達は多くの事を学びました。創作だったからこそ、自分達の納得のゆくものを作ろうと意見の衝突があったり、進路や学業の事で人が揃わない日が続いたりもしました。しかしそれらを皆で乗り越え、とことん納得ゆくまで頑張った結果、東北大会まで進むことができたのです。

 今回東北大会まで進む事ができたのも、陰ながら応援して下さった先生方、部員の家族の皆様のおかげです。本当に有り難うございました。それに何より部員のみんなの頑張りがあったからこそだと思います。

 最後になりますが、私にとって演劇部は家族以上のものでした。不安だった時期や楽しかった思い出もみんなと一緒に過ごせた事、なによりひとつの舞台を共に作る事ができたのを私は誇りに思います。

                                                                                      

 

         ありがとうございました
                         
                              古川女子高  高橋さん


 私達古川女子高は、昨年十二月に岩手県で行われた東北大会に出場し優秀賞を受賞しました。そこに至るまで、文化祭に地区大会、そして県中央大会と、上演を重ねることができました。その中で一番忘れられないのは、県中央大会です。出場校もスタッフも実行委員も観客も一人ひとりが大きな意気込みを持っているのが感じられ、大会は活気溢れるものでした。まずはその雰囲気自体に感動を覚えました。それと同時に、そういう場にいる一人ということでますます気合いが入りました。

 私達の作品、創作劇「レストルーム」。地区大会で大きな反省が残った分、とにかく悔いのないよう全力で楽しんでやろうと努めました。その一時間はあっという間に過ぎていましたが、一番私達が覚えているものは劇中で客席から起こった大きな歓声と拍手です。この上なく嬉しく思います。私達にとって最高の上演が出来たのも、会場の雰囲気が良かったのが大きいと思います。

 そして東北大会でも、沢山の宮城の人に声をかけていただきました。それが大きな力になりました。宮城の高校演劇の絆を感じました。私達がここまで来られたのも、多くの方々の応援と支えがあったからこそです。本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。

                                                     

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