Sarah vaughn with Clifford Brown

     録    音 ; ’54 12月18日        ニュー・ヨークにて
     パーソネル ;  サラ・ボーン            ボーカル
               クリフォード・ブラウン     トランペット
               ポール・クイニシェット     テナーサックス
               ハービー・マン         フルート
               ジミー・ジョーンズ        ピアノ
               ジョー・ベンジャミン       ベース
               ロイ・ヘインズ          ドラムス

    サラ・ボーンといえばジャズシンガーの大御所であり、超ベテラン
    の貫禄が定着してしまった感があるが、これは彼女が30歳の時
    の吹き込みであり、歌手として成熟の度合を増しながらも、まだ
    ういういしさを失っていない。A 面 4曲目の “ジム” では恋心を
    切々と歌い上げており、クリフォード・ブラウンの歌心溢れるトラン
    ペットソロが雰囲気をさらに盛り上げている。


 クリフォード・ブラウンという人はやはりただ者ではない。バックにまわり、主役のサラを盛り立てながら、自己の感性を最大限に表現できるところなど、ただただ感嘆するのみである。



     Lady in Satin / Billie Holiday

    録    音 ; ’58 2月         ニュー・ヨークにて
    パーソネル ;  ビリー・ホリデイ      ボーカル
               メル・デイビス        トランペット
              マル・ウォルドロン     ピアノ
              オージー・ジョンソン    ドラムス
              ミルトン・ヒントン      ベース
                他

    “レディ・デイ”ことビリー・ホリデイの生涯のレコーディングの中で
    最後から2番目のアルバム。しわがれた声で、もはや往年の輝
    きはかけらもない。収録曲は全てラブソングであり、彼女の体験
    そのものなのだと思う。
    人種差別、麻薬とアルコールで精神、肉体ともにぼろぼろになり
    ながらも、恋の歌を一生歌い続けたいという執念が昇華した作品
    である。