動物のからだのしくみに関する質問コ−ナ−

 しばらく都合により本ページをお休みしておりました。ただ、この間もメールによるご質問などにつきましては、できうる限りご返信しておりましたが、遅延やお答えできなかった件も多々ございます。なにぶん、本人が最近執筆活動など、大変多忙に付きご迷惑をお掛けしております。また、できうる限りお答えできる様に努力してまいる所存でおりますのでこれからもよろしくお願いいたします。
 なお、これまでにたくさんのお答えしたQ&Aのデータがございますが、現在そんなわけで整理中につき掲載につきましては、しばらくお待ちください。

動物のからだのしくみに関する質問コ−ナ−が登場!獣医解剖学はもちろん、からだのしくみに関しての質問に日本獣医畜産大学獣医解剖学教室の尼崎肇助教授が毎日わかりやすく、個々にお答えしています。一般の方から、学生、専門職の方までお気軽に質問してください。一部の質問および回答は随時編集、掲載しています。

質問のメ−ルの宛先は、尼崎 肇(獣医解剖学教室助教授)まで。

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動物のからだのしくにみついてのQ&A

(日付順、犬猫家畜鯨類を含む)

38. M.A.さん

Q :ご多忙とは思いながら質問します。中殿筋を前部と後部に分けた場合、後部の方が大きいのはなぜなんですか?後部は股関節伸展に作用するんですよね?同じように大殿筋も、上方の股関節外転に作用する繊維群の方が大きいのはなぜなんですか?二足歩行の人間には当然のことと聞いたんですが、理解できなくて・・・おしえてください?

A:四肢で歩行する動物の筋と二足歩行するヒトの筋を比較するとヒトでは(右の図)中殿筋は、前部(青の部分)は、後部(緑の部分)よりよく発達しています。また、大殿筋(赤の部分)は、犬(左の図)などの四つ足の動物の浅殿筋(赤の部分)と呼ばれる筋に相当しますが、この筋は四肢動物ではそれほど大きくは発達していません。この理由は、これらの筋が二足歩行するための起立位をとるために常に骨盤の背上縁と大腿骨上端の外側縁を繋いで引き上げておくために(右の図の下では、大殿筋や中殿筋が骨盤の骨と大腿骨間でどの様に付着しているかを示しています)、ヒトでは赤い大殿筋がよく発達していると考えられます。すなわち、骨格系や筋肉系の器官は、加重の加わる応力に応じて発達しますから、大殿筋や上方の股関節の外転に作用する筋線維群の方が発達している理由も、前述の姿勢を維持するために常に働く側がよく発達するようになっているからであると考えられます。

犬の殿筋ヒトの殿筋

37. N.F.さん

Q :以前からずっと疑問に思っていたのですが、なぜ牛肉は生で食べても良くて、豚肉はいけないのですか?豚にだけ寄生虫がつくのですか?

A:牛肉でも危険なこともあるのですが、実はこれまでの雑食性の豚の飼育環境に問題が合ったために、豚にはトキソプラズマと呼ばれる寄生性の原虫が感染している可能性が高かったのです。この原虫はヒトに感染すると大変危険で時に失明したり、奇形児が生まれたり、流産したりすることもあります。そこで、豚肉は必ず加熱してから食べるようにしていたのです。しかし、最近は、SPF豚と呼ばれる非常にきれいな環境で飼育された豚が市販されるようになりました。これは、清潔な環境で帝王切開で生まれた子豚をさらに清潔な環境で育成するのです。このようにして飼育された豚では牛と同じ様にレアでも食べることができます。しかし、SPF豚とお肉屋さんで表示があっても本当に信用のおける大きな肉屋さんで購入しないと行けないと思います。表示や肉の処理過程も十分に注意しなければいけないからです。一方、牛でも無頭条虫と呼ばれる大変危険な寄生虫が感染することがあります。あまり、そのようなことは多くはないのですが、この種の条虫が流行している地区からの牛の生食は、とくに注意しなければいけません。とくに海外では牛も注意しなければいけないでしょう。

36. M.H.さん

Q : 舌根沈下についてのお答え、本当にありがとうございます。犬には舌根沈下があると聞いていたことが、本当はないということを知り、自分の知識のなさを知りました。短頭種、特にパグの喉頭について教えてください。よく聞くのが軟口蓋が過長のため 麻酔をかけるときには必ず気管チューブを入れることと聞いています。この軟口蓋がどのようになるために呼吸ができなくなるのでしょうか。またテレビで肺の中に腫瘍ができてしまったパグが呼吸困難になってしまい救急で運ばれたとき、鼻から細いチューブをいれて酸素テント(正確にどういう名称なのかわかりません。酸素ボックスのようにした入院室)にいれていたのですが、鼻からの細いチューブが気道確保の 意味をはたすのでしょうか。鼻からチューブをいれた場合、食道のほうにチューブは 入ってしまうと思うのですが。猫において経腸栄養補給が必要なとき鼻から食道にチューブを入れます。鼻からチューブをいれて確実に気道に入れることは可能なのでしょうか。先生の意見を聞かせてください。よろしくおねがいします。

A:舌根沈下についてですが、先日のメールに書きましたようにヒトとイヌやネコの咽喉頭付近の構造の違いから、基本的には麻酔時など意識を喪失した状態でヒトでは、舌根部から喉頭の筋が弛緩し、このため気道がほとんど閉鎖してしまうのです。しかし、イヌやネコはヒトに比べると喉頭蓋や軟口蓋の構造に差があり、これらの点でヒトほど大きな影響を受けにくいのです。しかし、前回も書きましたように基本的には、気管チューブの確保は、長期の麻酔時など行うべきです。また、一般に軟口蓋と喉頭蓋の相互関係が気管の入り口の弁としての機能を持っていますが、短頭種ではご指摘のように、気道を確保するための軟口蓋の後縁が、気道を閉鎖しやすい構造を造っている様です。このようなことから、これらの犬種では必ず、気管チューブの確保が必要です。また、呼吸性疾患も多いようです。また、一般に気管チューブの挿入にも技術が必要で、きちんと気管に入ったかどうかの確認を必ずおこないます。空気を送り込んだとき失敗すると胃が膨らんくるので直ぐにわかると思います。また、反対に食道チューブと言って胃へ直接チューブを挿入する事がありますが、このときは口腔から挿入するとこれを噛み切ってしまうことがあるので、外鼻孔からチューブを挿入し、その後食道へ導き入れます。これは、気管チューブより注意を要します。なぜなら、間違って気管へ挿入し、そこへ食物や水を流し込めば必ず肺炎を引き起こすことになるからです。ご指摘の様に鼻からのチューブの挿入は多くの場合、食道チューブとして用いられることが多いかと思います。しかし、長期にわたって肺へ直接酸素ガスを送り込んだりするためには、鼻から小さな管を気管へ挿入して使うこともあるかと思います。もちろん、この挿管は難しいかと思いますが、できないことはないと思います。

35. M.H.さん

Q : 舌根沈下(漢字が誤っていれば訂正おねがいします)について教えてください。麻酔中に気管チュウブを入れる理由の1つとして舌根沈下が起こって呼吸ができなくなることがあるためだと聞きました。また猫には舌根沈下はないとも聞きました。これはどういうことなのでしょうか。できれば犬と猫の比較で説明していただければ助かり ます。

A:呼吸をするときは、空気は気管へまた、食物を食べるときには食物は食道へ向かうような構造が、ヒトとイヌやネコでは異なっています。このための構造は咽頭と呼ばれる部分にあります。また、気管の入り口は喉頭と呼ばれています。喉頭はいくつかの軟骨からできていて、いつも入り口が閉鎖しないように広がった状態を確保しています。そのうち、甲状軟骨と呼ばれるものはヒトでは男性でよく発達しており、これが喉仏に相当します。さらに、この喉頭の最上部に喉頭に蓋をするような構造の部分があります。これを喉頭蓋と呼んでいます。これは普段開いていて気管へ空気が流れやすくなっていますが、食物を食べるときは閉じて気管に蓋をするような働きをしているのです。さらに、口腔と鼻腔が会合する部分には軟口蓋が両者の境をしていますが、この後縁の先端にヒトでは喉チンコと呼んでいる口蓋垂があり、その後端はそれほど長くはありません。一方、イヌやネコではこの部分は比較的長く、先ほどの喉頭蓋と重なり合うようになっています。すなわち、この軟口蓋の後端と喉頭蓋が組合わさって呼吸時と食物の嚥下時の調節を行っています。しかし、ヒトでは起立姿勢のためこのような軟口蓋と喉頭蓋の組み合わさった様な仕組みでは十分に機能が果たせないのです。そこで、嚥下時には、喉頭を下方に引き下げ、そのときに先ほどの喉頭蓋が喉頭の入り口を閉鎖し、喉頭の後方にある食道へ食物を送るようになっているのです。鏡の前で何かを飲み込んで喉仏の動きを見てみてください。理解できると思います。さて、イヌやネコではそうではなく軟口蓋の後縁と喉頭蓋が組み合わさって機能しているので、ヒトの嚥下時に舌根部が下がる舌根沈下を言う状態にはならないのです。この舌根沈下は麻酔時などにも生じます。このような違いでヒトの場合、気管チューブが必要となるのでしょう。また、ヒトではこのようなときは頭を後ろに引き、顎を引き上げるような姿勢で寝かせますが、これも気道を確保するために必要な姿勢になっていると考えられます。では、イヌやネコでは気管チューブは不要かと言うとそうではありません。実際に麻酔時などではこれら喉頭付近の調節が、行えなくなっているので気管チューブは常に使用するよう心がけるべきだと思います。

34. M.K.さん

Q : ちょっと聞きたい事があります。私はよく、ハムスターの健康診断をするのですがしこりがあるか調べます。でも、ほう袋のはえさが入っているようなので、しこりがあるのかいつもわかりません。 今の所、元気な様子なので大丈夫だと思うのですが・・・・。前にもハムスターを飼っていて、そのハムスターは元気だな、と思っていた数日後死んでしまいました。その前の日、ほう袋をさわったら固くてこりこりしている物があったのですがそれをえさなのか、しこりなのかわからなかったためかわいそうなことをしてしまいました。 だから、今飼っているハムスターはもっと長生きさせたいんです・・・。 だから、ぜひほう袋の中にえさが入っているのか、しこりなのかを調べる方法があれば教えて下さい。今飼っているハムスターは・・・・ ジャンがリアンハムスター オス ケージに一匹飼っています 体重50g(58gまでいったこともあります。)

A:確かに、ハムスターの場合頬袋にしこりができることが、多くあるようです。これらのしこりは、指などで触って行う触診によってある程度の種類を診断することができます。まず、しこりの大きさ、しこりの堅さ、ついで、可動性などについて調べてみてください。傷などによってできる血腫や膿瘍は柔らかく、フニャフニャした感触があります。また、幾分口を開けて頬の粘膜を観察できれば、もし、外傷を伴っていればさらに血液の混じった唾液などを観察することができるかもしれません。これらの場合は、口内炎の治療に準ずる処置を行いますが、細菌の感染を押さえるために抗生剤を必要とします。ついで、堅いしこりの場合ですが、これはしこりどのくらいの速度で大きくなっているかについて観察してください。数日で見る見る大きくなるようなときは、大変危険です。外科的に切除しなければいけないでしょう。特に悪性の腫瘍の時はこのような場合が多いようです。このときは治療を行っても予後が悪い場合が、多いでしょう。しかし、可動性の場合は比較的切除しやすく、また、大きさが増加することなく、可動性の高い場合は、まれに食物などが溜まっておこる場合もあります。最後に、一般に2歳を越えて年を取ってくると、ハムスターなどは、次第に腫瘍はできやすくなります。さらに、特に角張った食物でなくても頬袋の内面に血腫や化膿による膿瘍もできやすくなります。そこで、ご相談の内容ですが、少し注意深く、前述の点などに注意をし、頬袋のしこりを調べてみてください。急激にしこりが大きくなるようであれば、特に危険ですから、病院で詳しく診断し、治療してもらうことをお勧めします。

33. M.H.さん

Q : 腹膜について教えてください。下腹部切開を行った後、整復するときに、かならず腹膜をひろって縫合すべきという人もいれば、下腹部 に関しては特に気をつかうことはないという人もいます。ただし、上腹部に関しては腹膜をかならずひろわなければならないそうです。解剖学的には腹膜はかならずひろうべきなんでしょうか。それとも必要ないのでしょうか。また殿筋膜のことを質問したときに、力学的に大きな力が加わる部分では筋膜を縫合すべきとありましたが、下 腹部の腹直筋膜の場合はどうなんでしょうか。教えてください。

A:腹膜について簡単にお話しします。ご存じのように、腹膜や胸膜と呼ばれる膜は、漿膜とも呼ばれ、体腔と呼ばれる臓器を納めている空間の内張りをしている膜であり、大変薄い1枚の扁平な細胞によって造られています。一方、これらの膜の内側には筋肉や他の臓器などが存在しています。しかし、直接それらの器官に接しているわけではなく、間に結合組織が存在しているのです。それは、たとえば筋肉であれば筋膜の一部であり、臓器であればその外膜もしくは被膜などがそれにあたります。さて、結合組織ですが、これは構成する細胞として主に線維芽細胞とこれらの細胞が分泌した細胞外基質(コラーゲン線維、大きな分子である多くの糖蛋白やプロテオグリカンなど)から造られています。また、線維芽細胞は非常に盛んに増殖や移動を行う性質があり、組織が損傷を受けると最初に活発に活動して欠損した部分を細胞外基質で充填します。この細胞外基質を足場にしてその後本来の組織を構成していた細胞が再生して器官を修復します。そこで、ご質問の腹膜の件ですが、腹壁を覆っている腹膜を傷つけたままにしておくことは、腹壁の内側の結合組織が露出した状態となっていることを意味します。この状態ではもし腹腔内の臓器の表面の腹膜も損傷していてその部の結合組織が露出していれば、腹膜と臓器は非常に癒着しやすい状態になってしまいます。すなわち、開腹手術の後の腹壁の縫合では、断端の腹膜をきちんと会わせて処理しておくことが、その後の腹腔内での癒着などを軽減するために必要なことであることが理解される思います。下腹部と上腹部での処置の違いの件ですが、これは下腹部が上腹部に比べて遊離して動きやすい範囲が比較的狭く、上腹部には胃腸管など非常に可動性のある器官が多くあるので注意すべきと考えられていることだと思われます。一方、下腹部ではその腔は骨盤腔と呼ばれ、骨盤内にある。膀胱、子宮などの生殖器、直腸などが内部に存在するだけです。しかし、子宮は妊娠すれば大きく可動する器官ですので、やはり、修復時には切開した腹壁の断端の処置は、きちんと行うべきかと思います。

32. M.H.さん

Q : 殿筋膜について教えてください.大腿骨骨頚切除手術のアプローチで最初、大腿二頭筋にそって殿筋膜を切りますが、整復するときにこの殿筋膜を縫合しなくても後肢の機能に差し支えなのでしょうか。また筋膜というのは筋肉の伸展、屈伸などに必ず必要なのでしょうか。また筋膜はかならす整復時によせておかなければ筋肉は接合しないのでしょうか。教えてくださいあるかないかなど。また採血しているときに血液がこなくなり怒張を止めると血液が出てくるときがあるのですが、その理由を教えてください。

A:筋膜について少し確認します。筋膜はいくつかの筋束を包む結合組織として筋束を包み、この構造によっていくつかの筋束が束になって大きな筋体が形成されています。殿筋膜も臀部周囲を主に覆っていますが、さらに浅殿筋、中殿筋、深殿筋などの筋体間にも入り込んでそれぞれの筋体を結合組織性の鞘状の構造として包み込み、それぞれの筋体が相互にずれることが可能な構造を造っています。そこでこれら筋間の結合組織は、複雑で激しい断裂を過剰に生じなければ、特に縫合する必要は無いと考えられます。むしろ、不用意な縫合はその後生じる結合組織の過剰形成を促しかねないのであまり望ましいこととは、考えられません。結合組織はもとも生体のなかで最も再生力の強い細胞である線維芽細胞から形成されるので結合組織からなる構造部位において傷ついた部分は、速やかに修復されます。しかし、このこのような筋膜の一部が、骨への付着部である腱あるいは幅広く筋の停止部として骨などと連結する場合、たとえば大腿四頭筋の外側広筋を覆う大腿筋膜張筋の筋膜などは、できるだけその損傷を小さくする必要があります。また、これを整復する必要があるときも考えられます。すなわち、筋の起始部や停止部に直接関連する様な力学的に大きな応力の加わる部分ではその修復は、必要かと考えられます。

31. M.H.さん

Q : 頚静脈からの採血について教えてください。仔猫や2kg以下の犬、低血圧の患者などの採血のときに橈骨皮静脈から採血していると、血液が途中で出てこなくなるときがあります。手技的な問題が大きな原因だと 思われますが、検査のために血液が必要です。そこで頚静脈から採血しようかと思う のですが、気をつける点などがあれば教えてください。例えば、解剖学的に頚動脈に針が入ってしまう可能性があるかないかなど。また採血しているときに血液がこなくなり怒張を止めると血液が出てくるときがあるのですが、その理由を教えてください。

A:では、はじめの問題ですが、小型の動物の場合頚静脈からの採血は、よい方法だと思います。そこで、採血上の注意点ですが、まず、ここで言う頚静脈は外頚静脈と呼ばれるもので上腕部からの上腕頭筋と胸骨前端部からの胸骨頭筋と呼ばれる筋肉の間の頚溝と呼ばれる部位の皮下を走行します。そこで、この頚溝を見つければ外頚静脈は簡単に見つける事が出来ます。次にこの外頚静脈の深層には総頚動脈が走行しますが、これは頚溝の上部1/3では若干気管の背側を走行しますので、頚溝に沿って静脈へ針を進めればまずは誤って動脈へ針を入れる心配はありません。つぎに、怒張を止めると血液が出てくるときがあるとのことですが、駆血して採血を行いますが時間が経つと針内の血液が少し凝固する事があります。こんなとき怒張を開くことによって血流が一時的に確保され、再び血液が針を介してポンプ内へ入ってくるからだと思います。

30. M.H.さん

Q : 肛門部の詳しい解剖を教えてください。直腸にポリープなどの病変があり、直腸を切除する必要がある場合に直腸引き抜き法という方法をとると教科書にあります。その説明の中にに以下の文章があります。肛門口を開いて肛門と直腸の接合部(肛門直腸線)の周囲に等間隔で4本の支持糸をかける。次に、これらの支持糸の周囲6−8mmのところで直腸を全層にわたり切断する。直腸と外肛門括約筋の内側面との間を注意しながら鈍性に剥離する。遊離した直腸と結腸を肛門輪を通して体外へ取り出す。この説明だと肛門部は整復時に残っていることになりますが、肛門と直腸は、結腸と直腸がつながっているようにつながっていると理解しています。つまりどうやって肛門を残しながら直腸を体外にだすことができるのかが理解できません。直腸脱のように粘膜が反転してしまい体外に出るのならわかりますが、つながっている管をどうやって分けてとりだすことが可能なのかわからないのです。また肛門括約筋などが残っていれば、肛門がなくても、たれ流しにならないのか教えてください。

A:説明のあった方法で肛門を残して直腸を摘出すると、肛門部についてはその開口部の皮膚のみ残しているようですが、内部の直腸などはすべて肛門側の皮膚の一部を切開して開いておく事によって直腸ごと引き出す事が可能です。この方法で引き出した直腸は、患部を切除した後、引きずり出した結腸の下部をこの残った肛門口付近に止める事によって修復可能です。そこで、この方法で行えば腹壁を開く事無く、肛門口から腸を引き出す事が可能だと思います。また、肛門括約筋が切除されてしまう事がありますが、周囲に残った尾骨周囲の筋肉や結腸後端部の筋肉によってある程度の代わりの役割は可能だと思います。実際にこのような手術の後、可能なようです。ただし、下腹部の他の部位に人工肛門を形成した場合はわかりません。

29. M.H.さん

Q : 犬、猫の出産(帝王切開)について教えてください。帝王切開において胎児を取り出したときの臍帯について教えてください。教科書などには、かならず切断した臍帯を糸で結さつするとあります。これは臍帯からの出血を考えてのことだと思うのですが、自然分娩においては臍帯を親が口でひきちぎって分娩でうまれた胎児の臍帯からの出血はどうなるのでしょうか。止血せずに死亡するときがあるのでしょうか。また帝王切開において、胎児の臍帯を結さつしなくても、ひきちぎれば問題ないような気がするのですが。このところを教えてください。もう一つお願いします。帝王切開で取り上げた胎児はどのくらいの時間、呼吸していなくても生命があるのか教えてください。よろしくお願いします。

A:はじめの臍帯の切断についてですが、そもそも胎児が分娩される時期ですが、一般にこれは胎児側の状態によって決定されています。この時、胎児側の成長は進んでおり、母体へ向かって胎児は副腎からのステロイドの分泌を増加します。このシグナルが母体への分娩を誘発しているようです。さて、この時臍帯では母体と胎児の間でアポトーシスを起こして自然に断裂する部位が決定しているのです。そこで、自然分娩では分娩後自然に臍帯は切断し、これに伴って血液は遮断されます。一方、胎児循環から肺を使った一般の体循環系が確立し、臍帯への血圧は減少するので出血はあまり無いのです。しかし、未熟な状態での早産などの場合や帝王切開を行った場合などでは、その準備が十分に出来ていないので、臍帯をきちんと結ぶことは重要です。また、正常分娩でも臍帯の断端から細菌などの感染の危険性があるので結んで消毒することはよい事でしょう。ついで、帝王切開で分娩した個体ですが、これは胎児の成長度合いによっても異なりますが、十分の成長しているものであれば、帝王切開で取り上げた後でも自発的な呼吸が、おぎゃーという泣き声とともに始まれば、始まるので心配有りませんが、そうでないときは、死亡する確立が高いかもしれません。

28. M.H.さん

Q : 迷走神経緊張について教えてください。麻酔導入のとき、喉頭反射が残っているときに無理に気管挿管すると迷走神経緊張(反射)のため心停止が起こるとあります。どうして喉頭を刺激することによりそのようなことになるのでしょうか。また他にどうのようなことに起因して迷走神経緊張(反射)が起こるのか教えてください。よろしくお願いします。

A:迷走神経と喉頭反射、およびそれに伴う心臓への影響に関する問題ですが、先ず、迷走神経ですが、これはご存知様に第10脳神経であり、総頚動脈と共に迷走交感神経幹として頚部を走行し、胸郭内へ入って迷走神経と交感神経は分かれ、途中心臓、肺など胸腔内の臓器へ枝を出し、その後横隔膜を貫通して腹腔内の臓器ですが、これは胸腔内へ入ってからは大動脈弓の付け根のところで1本大きな枝を出します。これは反回神経と呼ばれています。反回神経を出した後、残った迷走神経枝は、食道の背側で背枝を腹側で腹枝を出し、さらに、周辺の心臓や肺へ枝を出します。さて、この反回神経ですが、これは心臓の付け根で反転した後、頭部へ向かって逆走し、喉頭部に主に分布します。そして喉頭の運動などに関与します。そこで、ご質問の件ですが、気管挿管による過度の刺激は、経路としては大動脈の基部で反転するこの反回神経へ伝えられています。これらのことから、おそらく、大動脈弓の近隣に存在する心臓、肺などへの信号にもこの反回神経から影響が生じている可能性があるかと思います。しかし、残念なことには生理学的なデータを持っていませんのであくまでも形態学的な構造から推察されることです。また、この反回神経は喉頭部の他、喉頭部の近くの食道にも分布し、食道の運動制御にも影響していることは生理学的に確認されているようです。

27. M.H.さん

Q : いつもお世話になっています。亀頭球について教えてください。雑種の犬、14才で未去勢の患者。臨床症状から前立腺炎が疑われました。症状の一つに亀頭球の持続的腫大がありました。亀頭球は疼痛が原因で腫大することがあるのか教えてください。よろしくおねがいします。

A:前立腺炎と持続性勃起の関係ですが、基本的に勃起は骨盤神経が調節しています。この骨盤神経は前立腺の背側および直腸の外側に骨盤神経叢と呼ばれる神経節を持っています。また、この骨盤神経叢は後腸間膜神経叢から尾側へ向かう下腹神経を介する交感神経と第一、二、および三仙骨神経からの副交感神経を受けています。その結果、この神経叢から膀胱、前立腺、尿道骨盤部、直腸および陰茎へ神経枝が分布しています。そこで、ご質問の件ですが14才で未去勢さらに前立腺炎とのことですので、年齢や未去勢から前立腺が少し腫大していてもおかしくないところに来て前立腺炎とのことですから、その結果すぐ近隣にある前述の骨盤神経叢に異常な刺激が加わったことに起因する持続性勃起であると思われます。もともと、亀頭部の勃起は陰茎がある程度勃起して伸張し、その結果亀頭球へ向かう亀頭浅静脈が、反転しさらに亀頭球内へのうっ血状態が進行することによって増大されます。おそらく、今回の場合は陰茎静脈などを介する基本的な勃起も持続し、その結果亀頭球も一緒に勃起が持続したものと考えられます。もちろん一般的な勃起の持続には、亀頭部での皮膚の接触刺激なども必要ですが、今回は前立腺炎に付随する骨盤神経叢の異常刺激が原因であろうかと考えられます。なお、骨盤神経叢は前立腺の背側以外に直腸の外側部にもあるため、この領域の疾患も勃起を誘発する可能性があるかと思います。

26. M.H.さん

Q : いつもわかりやすい回答ありがとうございます。遊離骨片について教えてください。犬、猫が交通事故などで大腿骨骨折(多骨折片骨折)を起しているとします。その場合、遊離してしまった骨片には血液供給が途絶え骨は壊死していくことが予想されます。整形外科の教科書では、遊離骨片をもとにもどし整復するとあり、腐骨なら取り除くとあります。ではその判断、生きているのか、死んでいるのかどのように判断すればよいのでしょうか。また骨は血液供給がなくなってどのくらいで死んでいくのでしょうか。それと、手術中、遊離骨片をどのように保存しておけばよいのでしょうか。保存可能な時間、温度などがわかれば教えてください。おねがいします。

A:はじめに、骨のできかたについてお話します。骨が形成されるには骨芽細胞が盛んに増殖することが必要です。骨芽細胞はやがて成熟して骨基質を分泌して骨質を形成していきます。この骨芽細胞は一般に骨膜直下に存在するか、あるいは骨端部の成長線と呼ばれる部分に存在しています。そこで、骨折時などにはこの骨膜が残っているとこれを足場に周囲から骨芽細胞が移動してきて、盛んに増殖を始めやすくなるのです。ですから、骨折時の治療にはこの骨膜の保持は大切なことなのです。骨芽細胞は、他の結合組織の部位に存在する線維芽細胞と同じように非常に活発で増殖や再生あるいは移動を行う性質を備えていますが、骨細胞となって骨基質中に収まってしまうと骨芽細胞と違って増殖性は止まってしまいます。さて、骨基質ですがこれは骨細胞や骨芽細胞にとって生きてゆくために大切な足場となっています。主成分はご存知のようにカルシウムやリンなどの無機質が沈着した構造からなっています。さらに骨基質中には一般の結合組織中にも多く存在するタイプ1型コラーゲンと呼ばれる線維が沢山存在しております。このコラーゲンの線維に無機質が沈着して硬い骨質をつくっているのです。最近は人工的に骨基質によく似た物質がつくられ大きく損傷した骨格の一部を一時的に補い修復を速める処置も行われ始めている様です。また、さらに骨化を促進する因子も見つかってきており、これらを添加することなども治癒を速めるために考えられているのです。さて、そこで、ご質問の遊離骨片の件ですが、これらの構造物は障害を受けた部分にできるだけ残しておく方が前述の理由で修復が早いのです。しかし、患部が開放されていて汚染している場合などでは、それが、腐骨となったり、あるいはさらに周囲組織への感染の汚染源になることが予想されますので取り除かなければなりません。次に遊離骨片の保存法ですが、最近移植の分野では新鮮な骨片を極低温で冷凍保存し、移植に利用することが進んでいるようです。これらの骨片は組織培養や移植時と同様の注意と処置が必要となります。もちろん、できるだけ無菌的に摘出し、一時的であればリンゲルなどの等張液でもいいでしょうし、場合によっては無血清培地などで処置をすれば低温で数日間くらいは維持できるかと思います。

25. M.H.さん

Q : 爪がはがれたとき、「ね」が残っていれば、また爪は生えてくると聞きます。犬、猫の場合、その人でいう「ね」というのは解剖学的になんという組織なのでしょうか。またそれは末節骨に含まれているのでしょうか。「ね」が末節骨に含まれるなら、末節骨を切除しないかぎり、爪はかならず生えてくるのでしょうか。教えてください。よろしくお願いします。

A:ご質問の件ですが、ヒトの爪のことをイヌなどの動物では鈎爪(カギツメ)と呼んでいます。基本的には人のものも同じなのですが、これらは皮膚の一部からできています。この鈎爪は、爪鞘(ヒトでは爪壁)としてその芯にある指の骨を取り囲んでいるのです。さて、この爪鞘は皮膚とよく似たように、その表層の部分の爪表皮とその裏打ち部分にある爪真皮からできています。もちろん、この爪表皮では、重層する爪表皮組織の下層の細胞が増殖し、次第に角化した細胞が堆積層として爪をつくっています。さて、イヌなどの鈎爪は、キャップ状に鈎爪の芯にある骨をこの爪鞘が覆っています。さらにこのキャップの底縁には細胞増殖の最も盛んな爪母基と呼ばれる部分があります。この部位の細胞は盛んに増殖して鈎爪を伸ばしています。そこで、ご質問の「ね」はこの爪母基に相当するものです。ヒトでは爪の付け根の白い三日月状の部分の奥に爪母基があります。この部位が破壊されてしまうと爪はつくられなくなってしまいます。さて、前述のように鈎爪構造自体は骨組織とは同じものではありません。しかし、イヌではこの鈎爪の爪鞘が末節骨に密接してキャップ状に覆っていますので、あたかも一緒のもののように見えます。しかし、実際は異なったものです。また、イヌでも指骨ではなくて、この鈎爪の生え際の周囲を深く損傷すると前述の爪母基が損傷を受けることがあり、鈎爪の成長が影響を受けてしまいます。一方、イヌやネコは、深爪をすると出血しますが、これは爪真皮に近い部分に発達した血管網があるので、よく出血するのです。

24. M.H.さん

Q :さっそくですが、殿筋膜について教えてください.大腿骨骨頚切除手術のアプロー チで最初、大腿二頭筋にそって殿筋膜を切りますが、整復するときにこの殿筋膜を縫合しなくても後肢の機能に差し支えなのでしょうか。また筋膜というのは筋肉の伸展、屈伸などに必ず必要なのでしょうか。また筋膜はかならす整復時によせておかなければ筋肉は接合しないのでしょうか。教えてください、よろしくお願いします。

A:筋膜について少し確認します。筋膜はいくつかの筋束を包む結合組織として筋束を包み、この構造によっていくつかの筋束が束になって大きな筋体が形成されています。殿筋膜も臀部周囲を主に覆っていますが、さらに浅殿筋、中殿筋、深殿筋などの筋体間にも入り込んでそれぞれの筋体を結合組織性の鞘状の構造として包み込み、それぞれの筋体が相互にずれることが可能な構造を造っています。そこでこれら筋間の結合組織は、複雑で激しい断裂を過剰に生じなければ、特に縫合する必要は無いと考えられます。むしろ、不用意な縫合はその後生じる結合組織の過剰形成を促しかねないのであまり望ましいこととは、考えられません。結合組織はもとも生体のなかで最も再生力の強い細胞である線維芽細胞から形成されるので結合組織からなる構造部位において傷ついた部分は、速やかに修復されます。しかし、このこのような筋膜の一部が、骨への付着部である腱あるいは幅広く筋の停止部として骨などと連結する部位に相当する場合、たとえば大腿四頭筋の外側広筋を覆う大腿筋膜張筋の筋膜などは、できるだけその損傷を小さくする必要があります。また、これを整復する必要があるときも考えられます。すなわち、筋の起始部や停止部に直接関連する様な力学的に大きな応力の加わる部分ではその修復は、必要かと考えます。

23. P.さん

Q :いきなりですが、”猫にまたたび”って何か根拠があるんですか?ちなみに”mieにビール”はパワーの源なんですが・・、まじめにマタタビと猫との関係が知りたいです。

A:薬理学的には不十分な回答かと思いますが、猫科の動物はマタタビ科の植物の成分に対して特有の反応を示します。さらに、キウイなどのマタタビ科に属する植物にも同じ様な反応を示します。一方、ヒトはこのマタタビの実などをお酒に入れておき、これを飲むと疲れを忘れると言われています。いわゆる精力剤のような効用があり、旅人がこれをのむと”又旅が出来る”と言うことからこの名が付いたと言われています。

22. T.さん(愛知県)

Q : 猫や熊や人は木に登る事が出来るのに、どうして犬は木に登る事が出来ないのですか?やっぱり骨格とか筋肉の付き方が違うからでしょうか?それならどう違うのか、というのも教えて欲しいです。

A:猫と犬では骨格系と筋肉系に差があると考えられます。たとえば、鎖骨と呼ばれる骨ですが、この骨は人の場合、犬猫の前肢にあたる上肢と首の付け根に見られ上腕と体を結びつけているものです。この骨によって人は自由に上腕を動かすことができるのです。しかし、四つ足の動物では退化しているものが多いのです。犬では鎖骨はほとんど退化しています。しかし、猫では小さなものがたいてい残っています。また、犬の場合、もし見られる場合でも鎖骨は、特に大きな犬でのみで見られ、ほんとに小さなものだけが申し訳程度に確認できるだけなのです。これらのことからも、猫の方が犬よりも自由な前腕の動きを可能にしていることが想像されます。さらに腕橈骨筋と呼ばれる筋も犬ではほとんど退化的です。しかし、猫では必ず存在します。この筋の存在も前肢の動きの自由度を増加させている原因と考えられます。これらの傾向は前肢の運動が大変制限されている馬や牛などの骨格や筋の構造を犬や猫のものと比較することにより、よりはっきりします。熊の話は、ここではしませんが、同様の理由で前肢の動きが自由であると考えられます。これらの自由な前肢の運動は、木に登るときの複雑な運動には特に必要であると考えられるのです。

21. A.S.さん

Q : 「鯨はなぜ潮をふくか」、どうもすっきりしません。「飲み込んだ海水をふきだしているのか、呼吸と考えるのか」等、考えていますが、よろしければ教えていただければと思います?

A:クジラやイルカの鼻の穴(外鼻孔)は、図のように頭の上についています。また、この鼻の穴には弁がついていて水中へ潜るときは閉じて鼻の中に水が入らないようつくられてるのです。また、この鼻の穴の周りはわずかに凹んでいます。クジラやイルカは息をするときに水面からわずかに頭を出し、その瞬間に活きよいよく息を吐き出します。その後、直ちに息を吸い込み、次に、鼻の弁を閉じ水中へ潜ります。この息を活きよいよく吐き出すときに鼻の穴の上の水などをいっしょに吹き出します。これが潮吹きになるのです。すなわち、飲み込んだ水を鼻の穴から吹き出したりしているのではないのです。もし、水が鼻の穴に入ってしまうとイルカやクジラでも噎せて、呼吸ができなくなると思います。また、クジラやイルカの種類や大きさでこの吹き出す飛沫の形に特徴があります。そこで、遠くからでもこの飛沫の形を見てクジラやイルカの種類などを判定する目安にしています。

20. M.T.さん

Q : 1歳10ヶ月になるウェスティ(オス)が、今年の8月から突然癲癇症状を起こすようになりました。病院で検査の結果、右後頭部に水がたまっていることが判明しました。手術の比較的しやすい場所だったので、薬を飲みつづけることによる副作用を考えると、手術をしたほうがよいでしょうといわれました。ところが、別の動物病院の先生は、”手術をしたからといって、必ずしも発作が起きないとは言えないし、たまった水を逃がすためのチューブをうめこむこともある。”といわれました。幸いにも発作はここのところ一回も起こしておりません。薬は飲んでいますが、手術をすべきかどうかを非常に 悩んでおります。疑問に思っていることがいくつかあります。1)このままにしておくことによって、今後更に水がたまりつづけるのでしょうか? 2)現在服用している薬でも発作が起きたことがあるのですが(週に3回起きたことがあります)、現在発作が起きないのは必ずしも薬の効果だとは考えにくいと思えるのですが(薬は粉末で、癲癇には一番よく効くものだそうです)? 以上長々と書きましたが、手術をすることのメリットとデメリットなどアドバイスをいただければ幸いです。

A:1)このままおいておいた場合さらに水が溜まり続ける可能性が高いようです。頭の片側に出来るこのタイプでは、自然治癒することはまず無いようです。さらに困ったことに症例によって異なるようですが、必ず進行性に水は溜まっていくことが多いようです。また、ご相談のワンちゃんはまだ若いので今後のことを考えると手術をされた方が賢明かもしれません。ただし、手術が完全に成功するかどうかについては、常に保証することは出来ません。手術についてですが、頭蓋骨内から水を抜くパイプを埋め込みますが、このパイプは体の外に出すわけではなく、胸の中などにつないでやる方法がとられる様ですから、脳内の余剰な水は胸の中に排泄され自然に吸収される様になるようです。2)薬の件ですが、これについてはおそらく脳内の異常な水圧によって生じる興奮を抑えるためだけの薬だと思われますので、とりあえずの癲癇は押さえることが出来ると思いますが、脳内に溜まる水を減らしたり、除去するような薬ではないようなので、このままさらに脳内に水が溜まっていけばこの薬でも発作を押さえられなくなっていくと思います。最後に、私は基礎系の教員ですのであまり多くの臨床症例のことについて充分な知識がありません。そこで、ごく一般的なことだけしかお答えできませんので、現在かかられている先生に十分にわかるように説明をしていただき、今後の治療方針を決定されると良いと思います。

19. N.T.さん

Q : ウシの気管の大きさはどのくらいですか?

A:ウシの気管の大きさに関する数値データの記載は、あまり多くはありませんが、A Color Atlas of Bovine Visceral Anatomy, C.Pavauxら, Wolfe Medical Publications Ltd., 1983によれば気管の全長は、おおよそ60cmで約50の気管輪(内部の気管軟骨をもつ)を持っており、口径の平均はおよそ5cmと書かれています。

18. H.Y.さん

Q : こんにちは。家の9才になるトイプードルなのですが、8月に階段から落ちて下半身不随になってしまいました。家族が養護学校の教員なので、歩行器のような物を作って前足で歩かせたりしているのですが、薬の副作用で太ってきて、やる気がありません。その歩行器は、前足で動かすのでどうしても後ろの方向へ戻ってしまうのですが、前方へ行かせるようにさせてあげたいのです。何かよいアイディアは、ないでしょうか?また、障害犬用の自助具、補助具があったら教えてください。

A:ご用件の内容ですが、現在日本で市販されているものはおそらく高価であることと数が少ないかと思います。ご自分で歩行器のような物を作って前足で歩かせりしているのですそうですが、大変すばらしいことだと思います。おそらく一方にしか回らない車の部品が、すこし大きなホームセンターなどにあると思います。この様なものを作られた器具につけてやると前方にかなり自由に動き後ろへは戻らなくなると思います。現在、交通事故などで同じ様なイヌも多いので、安価で様々な大きさのイヌに簡単にとりつけられる構造の歩行器が出来れば大変すばらしいことです。是非、また様子をお教え下さい。なお、薬の副作用などで元気が無く肥満気味だそうですが、これは補助器具などによって散歩が可能になるとストレスが軽減され、かなり改善されると思います。

17. D.R.さん

Q : 1998年12月27日午前3時半から4時過ぎにかけて捨て犬で保護した♀犬が2匹の♂犬を出産しました。現在、尻尾を小さくちょろちょろ振って歩き回ります。1匹は乳牛のようなマダラ模様の犬。 他の1匹が、こげ茶色で足4本と尻尾の先が白色。ちなみに、子犬はどちらも母犬に似ていません。 母犬は、細いきつね顔で、どちらかというとシェパードに似た感じですが、体長は柴犬くらいです。猛スピードで走るので、猟犬タイプです。子犬の話に戻りますが、こげ茶の犬を見てみると、後ろ足の指が5本あるのです。(左右とも)で、マダラの方は、4本なのです。 奇形でしょうか?ありえることでしょうか?将来の歩行の障害にならないでしょうか?もし、歩行の障害の可能性があれば、 手術等で、処置できるのか? 回答いただければ幸せます。 お忙しいところ、よろしくお願いします。

A:ご質問の件ですが、イヌの親指に当たる第1番目の指は、前足では一般に退化して消えていることが多いのですが、後ろ足では副爪(遺残趾)として残ることがあります。大型のイヌに見られる傾向が多いようですが、私の経験では秋田犬など日本種の大きめの犬には多く見られた様に思えます。そこで、今回の例ですが、これを持っているからと言って特に異常ではありませんから気にすることはないと思います。ただし、この退化的な指でも骨格をもつのでこれを引っかけて骨折したりすればうまく歩けなくなったりします。そこで、日頃運動時など少しだけ注意すれば良いと思います。かわいい子犬のようなので大切に飼ってあげてください。

16. J.W.さん

Q : 犬の心臓の拡張時と収縮時の心室内の圧力はどのくらいですか?

A:まず、拡張期圧ですが、これは左側、右側ともに約3 mmHg位ですが、収縮期圧は異なっています。左心室が160〜180 mmHg位なのに対して右心室は40 mmHg位です。ご存じのように左側は全身に血液を送り出すために高い値になっており、右側は肺に排出するだけなので正常な状態ではずっと低く設定されています。また、このようなしくみのために心筋によって造られている心室壁の構造も左側の方がずっと強大に造られています。

15. あいさん

Q : 13〜14歳の猫なのですが、びっこを引いていたので獣医さんに連れていったらレントゲン撮影の結果、骨肉腫ではないかと言われました。高齢だと言うことで痛み止めのお薬を頂き、「1ヶ月後にまたレントゲンを撮りましょう」と言われました。

拾い猫だったのですが、これまで病気もしないでとても元気でした。今まで目やになど出したことがなかったのに、病院に連れってから、乳白色の目やにが出るようになってしまいました。 家での生活についての注意点があったら教えて下さい。

A:ご質問の件ですが、典型的な骨肉腫であればレントゲン像だけである程度骨肉腫は、診断可能です。骨肉腫であると残念ながら予後の完全な回復は難しいかと思います。また、一般的な治療として患部の切除が考えられます。しかし、どこの部分にできたかによってその処置は大変困難な場合もあります。今回は、高齢でもあることから、病気の進行度合いを考えながら人間の治療でのホスピスで療法のように、余命を悔いなく生きれるようにしてあげることが必要かと思います。また、目やにの件ですがこれは直接的には骨肉腫とは関係ないと思われます。

14. J.W.さん

Q : イヌの心臓の拍動の周期、一回の拍動での血液の質量中心はどれくらい動くのですか、また一回の拍動で押し出される血量は何gくらいですか?

A :一般の中型犬で一回の泊出量は7.4〜13ml/回くらいで、毎分1.32〜2.23リッターくらいの血液が心臓から送り出されます。心臓の質量中心の移動範囲はよく判りませんが、心臓の仕事量は毎分4.8〜3.5Jくらいです。

13. "ubukata"さん

Q:ジャンガリアンのメスで、今年の2月にペットショップにて購入。ケージには1匹だけで、嫌がるのでケー
ジの外にはあまり出しません。妊娠、流産の可能性もないと思われます。3日ほど前から膣のあたりから出血が
あり、近くの獣医さんに見てもらったところ、触った感じでは子宮は腫れていないようだと言います。外傷もな
いようですし、血もわりときれいで、膿のようなものも見られないので、子宮蓄膿症でもないようだということ
でした。先生にも原因がよくわからないようで、血液からばい菌に感染しないようにと、抗生物質と出血を止め
るための薬をいただいてきました。本人は元気で、食欲も落ちていないようです。本で読んだ子宮蓄膿症の症状
で、水分をよくとり、尿が頻繁にでる、ということもなさそうです。目も、手足の色も良いということで、毛艶
もわるくなっていません。3日たった今でも出血はつづいています。何が原因で出血しているかわかりますでし
ょうか。

A:最も可能性の高い原因からお答えします。第一に、このメスの年齢はご質問の内容からすでに2-3ヶ月齢以
上と思われます。この時期になるとメスは性周期が開始され、それに伴って膣内から周期的な正常出血が見られ
ることがあります。この様な出血は4日周期でありますから、これであれば心配は入りません。しかし、老齢な
メスだともう少し別の可能性もあります。この原因は尿路結石(血尿を伴います)および膀胱炎(急性)などが
挙げられます。もし、その時は尿の出具合を観察してみてください。ちょっと少ないなと思ったら、尿路系の疾
患を疑います。
12. 匿名希望

Q : 日大の農獣医の方は、牛とかの解剖の終わったあとに、 焼き肉パーティーがあると聞いたんですが、本当でしょうか?

A :この場合のご質問は日本大学のことに関するご質問と考えてよろしいのでしょうか?それとも我が母校、日本獣医畜産大学を日本大学と間違われてのことなのでしょうか?私は日大農獣医(現在は生物資源科学部と改称)では牛とかの解剖の終わった後に焼き肉パーティーがあるかどうかに関する事実については知りません。また、他校のことは全くといってわかりません。よく噂等で実習で使用した動物の肉を食するらしいと言うことがまことしやかな話として流布されることがあります。しかし、実際に実習を受けて見るとわかりますが、食すような肉は残りません。ホルマリン等で防腐処理をしている標本を使用したりしておりますので(解剖実習は長期にわたりじっくりと動物の体の構造を実習・勉強する大変な科目なんです)、そのような肉は食べることはできません。日本獣医畜産大学獣医解剖学教室では実習で使用した動物の肉を食べることは決してありません。しかし、スーパー等で買ってきた肉をみんなで食べたり、焼き肉食べ放題のお店に行ってたらふく食べることはします。そのような意味では、実習後の焼き肉パーティー(飲み会)はどの学校でもあると思われます。

 獣医学生以外の方からのメールは本当にうれしいのです。なかなか一般の方の感覚がつかみにくい(自分の世界のなかで麻痺してる?)ので、これからもどんどん獣医大学、獣医学生、あるいは獣医学全般に関してのご質問をお待ちいたしております。ではまた。

(文責:解剖学教室卒業生;堂口裕士 筑波大学大学院医学研究科生物系専攻 基礎医学系免疫学)

11. 東京都豊島区 R.Y.さん

うちには、ジャンガリアンが2匹います。買い始めて1年一ヶ月になるのですが、二匹一緒にすると喧嘩してしまうので、別々のゲージで飼っています。半月前くらいから、オスの(ちゅー太)のほうの手から血がでていました。日に日に血が出ている部分が化膿してふくれてしまい、いまでは手の原形をとどめていないような気がします。かわいそうだと、おもいながらもいつか直るかもしれないと思い、そのままにしておいたのですが、ますますひどくなる一方です。一度、獣医につれていったほうがいいのでしょうか?もし直るのであれば、対処のしかたなどを教えてください。ゲージが金網製だからそんなふうになってしまったのでしょうか?ちなみに、メスの(ちゅー子)のほうはほう袋にしこりみたいなものがあったのですが、3週間くらいで小さくなっていまでは影も形もなくなりました。それはいったいなんだったんでしょう?

A : まず、ジャンガリアン・ハムスターについてですが、ジャンガリアンはペアで生活する動物ですが、ペアの間にも相性があって、仲が悪く喧嘩をしてしまうものもいます。相性が合わない時は別々に飼うことをおすすめします。この様な場合、喧嘩によって怪我をすることがよくあります。また、ストレスによって自分自信で足をかじったりして怪我をすることも考えられます。ところで、ちゅ-太の手の出血は、いつ頃から始まりましたか?まだ、化膿が足先だけのようですが、細菌感染が広がり全身に広がると死んでしまうこともあります。傷口の消毒や化膿止めが必要でしょう。

ちゅ-子の方ですが、ハムスタ−は頬袋にものを貯めますが、頬袋の内面を傷つけて、血腫になることがよくあります。今回は、3週間でもとに戻っているので腫瘍ではなく血腫である可能性が高いようです。血腫はそのままにしておいても2-3週間以内で体内に吸収されてしまいます。このままでもたぶん大丈夫でしょう。

10. 福島県 Y.Sさん

Q: サメの消化器系についての解剖学的なもの(歯が生えているのですか?)につい

て教えていただけたらとおもいます。また、恐竜の消化器の解剖学的な特徴(胃の中に歯がはえているのですか?)変わった消化機能を持つ生物(胃の中には歯があったり)は、他にもいるのでしょうか?

A : サメにも歯は存在しています。また、その歯は象牙質を備えています。おそらく、南の島に観光に行くとサメの歯の付いた顎がおみやげで売られています。これを見ると鋭い刃を持っていることが一目瞭然です。次いで、胃の話ですが、サメの場合、アルファベットのJ字型をしており、食道の次に私たちの胃のように塩酸と蛋白質を分解するペプシノーゲンを分泌する働きを備えた部分として存在しています。また、胃と腸の始めの間には幽門腺部と呼ばれる部位も備えています。さて、ご質問の胃の中の歯ですが、胃の中には歯はありません。肉食のサメは、鋭い歯で獲物を食いちぎり、飲み込んで胃では消化酵素の作用で食物を分解しています。一方、恐竜ですが彼らは胃の中に石を飲み込んでいるものがいたようです。これらの恐竜ではほとんど丸飲みした食物を、鶏の砂肝(筋胃)での働きと同じように胃液と混和してさらに粉砕するために石を持っていました。この石は胃石と呼ばれ、恐竜の化石と同時に同じ場所で見つかっています。石は磨耗していずれも角がとれて丸くなっています。この様に石などを飲み込んで消化に役立てる仕組みを持っているものといしては、鳥類がよく知られています。鳥類も恐竜に近いところから進化したようですが、これらの胃の構造にも何らかかの関係があるのかもしれません。

9, 横浜, Y. Mさん

Q:2年ほど前に生後4〜5ヶ月はたっている(詳しくはわかりません。)ゴールデンハムスター(ブラックハムスター)オスをペットショップで購入し、現在に至ります。6/10頃からうんちの出が半分に減り、まったく出ない日もあり、目に見えてお腹が張れてきました。動物病院へ行き、お腹の中に腫瘍ができていると診断されました。現在も投薬など治療を受けていますが、腫瘍は少しづつ大きくなっているような気がします。現在のケージの中の小屋への出入りも、お腹が大きくなってしまって、つかえて困難な状況です。ケージではなくプラスチック容器に替えることも考えましたが環境が変わってストレスになってしまいそうで、そのままにしてあります。ここ2〜3日はペレットが食べられず、食欲はあるようなんですが、ヨーグルトや野菜をゆでて少しつぶしたものしか食べられません。こういう時のハムスターの食事内容と、手術して少しでも腫瘍を小さくした方が少しは楽なのか・・・高齢なので手術に絶えられるかはわかりませんが、苦しいのとどちらがいいのか・・・本人は痛かったり、苦しかったりしているのでしょうか?教えて下さい。治療法がないのなら、せめて少しでも居心地のいい環境で過ごしてもらいたいと思っています。

A:大変むずかしいご相談です。この様な腫瘍は確かに動物が年をとってくるとできてくる場合が大変に多いことは確かです。私も以前ラットを3年近く飼ったことがありますが、2歳半頃から、腫瘍が出来始め、その都度外科的に摘出をしていましたが、とって一時的に良くなるのですが、元気になりだすと、今度はまた別のところに腫瘍が出来、こんなことを繰り返して半年後ついに死んでしまいました。今回も、いくつかの治療方法がありますが、そのひとつは確かに外科的に手術によって取り除いてしまう方法です。あるいは今回のように薬物によって少しでも腫瘍の成長のスピードを押さえようとする方法などが考えられます。しかし、一般的には若いときのようにもう一度完全に直ることは難しいでしょう。むしろ、ゆっくりですが寿命の終わりに向かって行くと思います。そこで最前の道ですが、あなたが今やっているようにハムスター君が最も望む方法で心地よく過ごしてもらうことだと思います。また、苦痛の点ですが、これは激しいケイレンなどがなければたぶん私たちが感じるよりも痛さなどは感じていないかもしれません。むしろ、あなたがしてあげているように食べたいもの、すなわち食べてくれる食事を与え、暖かいストレスのない環境を保ってあげることが最前のことと考えられます。

 それから、最後に今回の腫瘍ですが、この腫瘍により急に命が失われる様な状態では無いようです。それはおなかの中で次第に大きくなる塊として腫瘍があるだけのようなので、悪性の腫瘍のように直接周囲の正常な組織を侵してはいないようです。ただし、腫瘍があまり大きくなると今回のように腸を塞いだり、周りの器官に悪影響を与えることがあります。この様な理由で、今回の治療はとりあえず最前の方法と考えられます。

8, Q: H.Sさん

 去年、家の前で、やせて死にそうになった子猫を拾いました。衰弱死寸前の状態でしたが、餌を与え、ミネラルを与え、看護したところ奇跡的に回復して元気になりました。ところが「餌にありつけなかった記憶」の後遺症でしょうか、食べても食べても満腹感が無く、ちゃんと餌を与えているのに、台所や食卓を荒らし、ゴミなども食べてしまうので、そのたびに下痢をしていました。今年の春には、寄生虫がいることが解ったので、虫下しをしてもらい、下痢も悪いものを食べたとき以外は無くなりましたが、「いやしさ」は相変わらずで、家族の外出中とか、ちょっと目を離したすきに台所を荒らします。セラピーとか、何かこの卑しさを無くす方法はないでしょうか?

A: 見た目に異常が認められず、飢餓が続く原因としてはいくつかのことが考えられます;1、本当に長い間、絶食が続き飢餓状態にあるもの。2、寄生虫症などによりおこるもの。3、糖尿病や甲状腺機能亢進症などの代謝性疾患に伴っておこるもの。4、特定の栄養素の不足によって生じるもの。5、その他の原因で生じるもの。などがあります。さて、今回のネコちゃんですが、はじめ捨てネコとして発見されかなりの衰弱があったようですが、その後回復し、それまでの飢餓状態から過食になったようです。その後身体の状態が安定するにつれて肥満は見られましたか?一般に、単純な飢餓からの過食であれば、一定期間を越えて過食が続くと肥満になります。しかし、寄生虫の罹患に伴う飢餓や代謝性疾患に伴う例では肥満にはならず、たくさん食べるのに太らない、あるいは毛並みが悪く、一般状態は悪いままであることがあります。今回のネコちゃんは今年になって寄生虫症に罹患していることがわかったとのことですが、捨てネコで生活環境が悪いと寄生虫の感染を伴っていることは、ごく一般的なことであります。ですから、今年の春まで過食を続けていたことも理解できることです。さて、今回の場合はさらに寄生虫の駆虫後も依然として過食が続いているようです。これは、餌に問題がある場合と、習慣的に行っている場合が考えられます。餌が、特定の市販食にとくに偏っている場合など、餌中に不足するものを取り入れるために、過食や異食を示すことがあります。このときは、餌を変えてみる必要があります。特にドライフードだけで飼育するときは注意が必要です。最後に習慣として身に付いている場合、これを矯正することはイヌよりもネコでは大変です。原則的には、ネコの届かないところへ食べ物などを隔離しておくことが必要になります。

 話はかわりますが、私も2匹のネコを飼っています。ジジと言う10歳ほどのネコとエバと言うまだ2歳ほどのネコです。ジジはかなり聞き分けも良くなって叱られる前に逃げたり、叱ればそれ以上悪いことをしないのですが、若いエバは何回でも懲りずに怒られても悪さをします。おたずねのネコも長い間、人に飼われておらず食事の習慣も習って来ていなかったのですから、それで悪戯のような行動をとることも考えられます。このときは、前述のように悪戯されないようなところに食べ物を置いたり、片づけておくことが必要です。しかし、その他の疾患によることも考えられますので、体重の減少が激しいとか、体調が芳しくないようであれば、獣医さんにつれていって検査してもらう必要があります。

7、千葉県、A.Mさん

Q:生後1ヶ月のジャンガリアンのことで教えて下さい。口の中に食べ物をためておく習性があるのは知っているんですが、ここ1週間くらいずーっと左側だけ入れたまま出さないようなんですが、あのまま腐ってしまうことはないのですか?

A:口の中は、舌も同じなのですが、比較的厚い内張りによって覆われて保護されています。この内張りは専門的には重層扁平上皮と呼ばれる構造で私たちの皮膚のように丈夫にできています。ですから、少しくらい硬いものが触れても傷つかないようになっているのです。さらに、ハムスターでは頬に伸縮性の袋を持っていてこの中に食べ物を入れ、巣に運んでから、食物を巣の中で吐き出し、貯めておく習性があることはよく知られています。ところで、1週間くらい同じ側の頬に食べ物を入れっぱなしでいるとのご質問ですが、この頬の膨らみがなんであるのか?確かめて下さい。もし、食物なら、指で触れると移動します。この時はほっておいても安心です。でも、内容物が移動しないでしこりのような感じあれば、少し考えなくてはいけません。もしかするとそこになにかデキモノができているかもしれません。触った感じがプヨプヨしていたら、血腫か膿瘍です。膿瘍であれば、膿を排出しなくてはいけません。血腫であれば、そのままでも1週間くらいで吸収されて消えてしまいますが、膿瘍らしいときは、一度獣医さんに診てもらってください。

6、京都市在住、E.Kさん

A:ハムスターが立て続けに2匹死んでしまいました。1頭は去年の11月頃近所のペットショップで購入したオスのジャンガリアン(ガリバーと名付けました)で、年齢はわかりません。見たところ病気をしているようでもなく夜な夜な元気に回転車で走っていました。ついで、今年の3月にガリバーとは別のペットショップでロボロフスキーのメス(パール、年齢不詳)を買い、ガリバーと同じケージに入れて飼っていました。パールはガリバーよりも体は小さいものの動きは速くいつもちょこちょこと走り回っていました。ところが、パールが来てから1ヶ月経つかたたないかで前日までは、元気に見えたガリバーが巣箱の前で丸くなって死んでしまったのです。ガリバーが死んだ原因もわからないまま、しばらくはパール1匹だったのですが先週の火曜日(5/19)にパールを買ったのと同じお店でロボロフスキーのオス(ロッキー、年齢不詳)を買い、再びパールと同じケージに入れて飼い始めました。ところが、今度はパールが今週の月曜日(5/25)に死んでしまったのです。ガリバーとパールについて私から見た様子ですが、ガリバーとパールは仲良くやっていた(そこそこ折り合いをつけていた)ように見えます。でもパールが来てから回転車をまわしてるのはいつもパールだし、ガリバーにはパールの存在がストレスだったのかしら、とも思います。パールとロッキーは、最初のうちは追いかけ合っていたが、そのうち同じ場所(巣箱の中でも外でも)で寝るようになり、パールが死んでしまう前日、特に様子がおかしいとは思わなかったがお尻を掻いていた(?噛んでいた、舐めていた?)らしいです。この3匹が住んでいるケージはプラスチック製で、底がだいたい45cm×30cmの楕円形、全体としてドーム型になっています。ケージ内の底には市販のペット用の消臭剤をまいた上に、市販の床材をひいてあります。トイレも市販のもので、なかにおしっこをすれば固まる砂をいれてあります。その他、ログハウス風の巣箱(中にハムスター用の綿)、回転車、ケージの外から差し込むタイプの水入れがあります。ガリバーとパールの死が、飼い方のせいによるものなのか、老衰によるものなのか、その他何らかの病気などによるものなのか、2匹が死んでしまった原因がなんだったのか、ご意見を伺いたいと思います。

A:ずいぶんと詳しく飼育の経過などを飼われていた様子がよく分かりました。さて、動物の飼い方で共通する一般的な注意事項についてお話します。第一に新しい動物を導入したときには、必ず、新しい環境への調整期間を持つことが必要です。この期間は検疫期間ともいいます。今回のハムスターもペットショップで購入されたようですが、どんなに健康そうな環境で健康そうに飼育されていたようであっても、すでに細菌やウイルス性の感染症などに罹っていることがあるのです。もし、感染症に罹っていると現在飼育している健康な動物がその感染症に罹ってしまう可能性があるのです。こんな時は、他のケージを用意して1から2週間隔離して飼育し、今の環境に適応し健康なことを確認してから、現在飼っている個体といっしょのケージに移すべきです。たいてい、飼育環境が変わりストレスか加わると動物は、抵抗力を失いいろいろな病気に罹りやすくなります。さらに、ハムスターの場合、同じケージで飼うことはお互いにかなりのストレスを受けます。仲がよさそうに見えても夜中に攻撃されたりしますから、いっしょにしたときはどちらかが死ぬ可能性は否めなめません。特に雌雄間では、相性のほかにメスが優位に立っていますから、すでにメスのいるケージにあとから突然オスを入れることは、オスにとっては大変な危険性を伴います。こんな時は、徐々に巣のにおいなどをつけるとか工夫しながら一緒にする注意が必要です。

   最後に飼育環境の問題ですが、ハムスターは本来土の中や穴の中で生活する動物ですから、かわいらしいおもちゃのようなケージ、巣箱、トイレなどは全く必要有りません。プラスチックケースにチップなどを半分くらい敷き詰めて飼うと、ハムスターはその中にトイレ、寝床、餌場を決めて生活します。人間が使って欲しいと思っていろいろなものを入れたり、飾ったりしてもハムスターにはかえってストレスとなります。さて、結論ですがもう既に死んでしまってその死体を調べていないので、はっきりしたことはいえませんが、新しいハムスターを購入してすぐに現在飼っている個体の中に安易にいっしょにしたことがもっとも問題のある原因です。これは、熱帯魚や他のペットを飼育するときにも十分に注意しなければいけないことなのです。良心的なペットショップではおそらくそのような注意を初めての人には特に丁寧に話してもらえるはずですが、今後は注意してみて下さい。

5、福岡、Tさん

Q:腎臓を後腹膜器官と呼ぶことがありますが、なぜですか?それから、腎臓の位置と保定(固定されてとまっている状態)を教えて下さい

A:腎臓は始め背骨である脊椎に沿ってある中胚葉と呼ばれる胎児期の組織から出き始めます。腹腔はその時この中胚葉と呼ばれる組織より内側に腹膜と呼ばれる薄い膜によって包まれ造られます。そこで、腎臓は成長した後でもその腹側面は腹膜に覆われますが。背側面は疎性結合組織によって直接、背側にある筋肉に付着しているのです。このように腎臓は他の腹腔内にある臓器とは異なって腹膜外に存在することから、後腹膜器官とも呼ぶことがあります。ついで、腎臓の保定ですが、腎臓は背側で疎性結合組織によって直接、背側にある筋肉に付着しているのですが、この時、腎臓自体は厚い線維膜と呼ばれる被膜で包まれ、さらにその表面を厚い脂肪によって包まれています。この脂肪で包まれた構造が背中側の筋肉によって結合組織によってとめられており、腹側では腹膜によって覆われているのです。そこで、腎臓内に水が溜まってしまう病気では、この腎臓表面を直接覆う被膜内に水が溜まった風船状の構造を造るのです。また、腎臓は血液中の老廃物をろ過排泄するために腎動脈が進入し、腎静脈が派出しています。また、作られた尿は尿管によって膀胱へ向かい派出しています。これらの管は、いずれも後腹膜性に位置していますが、これらの血管と尿管は腹膜ヒダ状の構造をとって膀胱や他の器官と連絡しています。

4:5/8/1998 鈴木 知

Q;私は、小学6年生のです。今ハムスターを9匹飼っています。そこで、質問があります。オスのハムスターのお腹に黄色い・うみ・みたいなものがあるんですけどなんですか?(オスだけで、赤ちゃんのときにはなくて、大きくなるとでてきます。)でも、元気です!  

回答:ハムスターのお腹とあるとのことですが、おそらくジャンガリアン・ハムスターのお腹のことだと思います。ジャンガリアン・ハムスターは、お腹の真ん中に皮脂腺という分泌腺の口があります(ゴールデン・ハムスターでは左右のわき腹にあります)。ここからでる分泌液は黄色い粘りっこいものです。成長するにつれて分泌が進み、大人になるとたくさんの分泌液を分泌します。この分泌物は、砂浴びなどをしたときなどに体によく付きます。オスの方がこの腺の分泌が盛んですので、よく発達して見えますが、メスにも同じ皮脂腺があり、分泌液を出しています。いずれも生理的なものですので心配入りません。

3:4/18/1998, H.D.さん(茨城県)

Q:地球外生命体は存在すると思いますか?またそれの調べかたは? 

A:地球外生命体の存在ですが、これに関する回答はこのHPでお答えできる内容では無いのですが、個人的な意見としてお答えするなら、その可能性は非常に高いと考えられます。その理由は第一になんらかかの時間的・空間的チャンスが重なって今の太陽系の地球と呼ばれる惑星上に生命が誕生し、人類が生まれる状態になっているのでしょう。それはおそらく、この宇宙は現在人間が知りうる有限の状態を遙かに越える。それも簡単には想像できうる以上の数の星が存在し、それらの星もまた地球が生まれうる条件とほぼ同じ様な条件を持つ確率で生命体を生む条件を持っている可能性があるからだと思います。現在我々が、知っているほとんどのものは、もちろん生命についてもいくつかの物質、さらに分子や原子の組み合わせによって作られていることが知られています。また、地球上に存在するほとんどの生き物はDNAとRNAを中心とする核酸とタンパク間の調節系を基に作られ、進化を進めています。

さて、光やエネルギー波、時間や空間といった数学的なあるいは物理的な基本性質はこの宇宙と呼ばれている存在のなかで共通する性質なのでしょうか?これらのことを考えていると、キリスト教などの宗教上での生命の誕生の話と比べると、よく似た発想上の共通点を感じるところがいくつかあります。物理学や数学といった実証論としての科学的証拠を基に人間が、頭脳と呼ばれる部位での化学反応からこれらの性質を理解しようとすることと宗教上の観点から心と呼ばれるやはり頭脳と呼ばれる部位での内面的な思考としての生命の存在の意味や価値を考えることも、すこし離れたところからみてみると非常に近い観点であるような感じはしませんか?

 私たちは、このHPにもあげていますが、今も生命がどのようにして作られているのか?その法則をさがし、その機構の一端がつかめないかと研究を続けています。これらのこともひょっとすると宇宙における共通の性質や法則を知ることの1部分かもしれません。たぶん、今の状態ですぐに地球外生命体をどうやって科学的に証明するのか?といわれても簡単にはできません。しかし、前述したような理由で地球外生命体が存在する可能性は十分にあると考えています。その答えは、みなさんがいつか見つける可能性があると思います。しかし、そのためには地球上に人類が残っていなければこれは可能にはなりません。生命が誕生する確率は、それもコミュニケーション可能な知的生命体の存在する確率は大変低いようです(その理由はわかりませんが?)。人類が少なくも維持されていなければ、これらのことを解決することできません。過去に恐竜は絶滅しましたが、人類も同じ道を歩かないように努力しなければなりません。

 しかし、ノアの箱船の話も一般の人たちは理解できず、ほとんどの人は死んでしまいましたが、本当のことを知ることはかなり困難である様でもあるようです。

2:4/15/1998,Uさん(東京都)

Q:ネコの耳介について?

A:動物の耳には頭部に開く外耳道の穴である外耳孔が存在しますが、この外側に耳介が存在しています。この耳介は種によってそれぞれ特徴的な構造を持っています。それは、イヌやネコにおいて耳介の短くいつも立っているものやまた長く垂れているものがあることからもその多様性があることは容易に理解されます。

 そこで、その耳介の構造ですが、耳介の芯には一般に耳介軟骨と呼ばれる弾性軟骨(先ほどは電話で間違えて線維軟骨と言いましたが弾性軟骨の誤りです)が存在し、一定の形状を維持できるように設計されています。このため耳介は一般に頭の外側部から立ち上がって外耳孔を広げることができるのです。

 さて、弾性軟骨は軟骨の中でも特にエラスチンと呼ばれる弾性線維とコラーゲンと呼ばれる線維成分に富んだ軟骨であり、弾性があり変形しても元に戻ることが可能な軟骨です。そこで、この弾性軟骨を芯に持っている耳介は、耳介を立てたり、また、折り曲げたりしても折れにくい構造を持っています。

 さらに、この耳介の周囲には多くの耳介筋と呼ばれる筋が存在しており、耳介自体を自由に動かすことが可能なように設計されています。そこで、ふだんから耳介の立っている個体とそうでなく垂れている個体がいますが、これらの違いがなぜ生じるかということになります。これは、おそらく、耳介自体の大きさとその芯にある耳介軟骨の大きさと構造によって決定していると考えられます。あまりにも大きな耳介と比較的小さな耳介軟骨を有する個体では耳は一般に垂れており、反対に小さな耳介と比較的大きな耳介軟骨を有する耳は、ふだんから立っているものが、多いと考えられます。さらに、耳介周囲に存在する耳介筋の緊張により、耳介自体は前後、左右に自由に動くことが可能であり、また、その緊張によりさらに耳介が立つと考えられます。しかし、これらの特徴は耳介全体の構造と耳介軟骨の構造によって影響を受けるために、種によって様々であると考えられます。

 ついで、この耳介筋は、手足にある筋肉と同じグループである骨格筋からなっています。もちろん、よく使って鍛錬すればよく発達します。こんな理由で、ご質問のネコは耳介筋の発達するような環境で飼うことにとって、そうでない個体に比べてよく耳が立つようになると考えられます。しかし、実際にそうであるのなら、この2種の個体の耳介筋の発達度合いなどを調べなけれいけませんが、残念ながらそのようなデータは持ち合わせておりません。

1:4/15/1998, Y.S (福島県喜多方市)

Q:鰭脚類の歯がいつ頃乳歯から永久歯へと生え変わるのですか?

A:これらの個体ではいずれも乳歯を持ち、原則的には異型歯(乳歯を持つ)であることがわかりました。これは一般の歯鯨のような同型歯を持つものとは異なっています。しかし、いずれの場合も哺乳類であり、哺乳と離乳という過程を必ず経ています。哺乳期間中には、母体の乳器を傷つけないようにするためにそれほど鋭くない乳歯を有します。たとえば、アシカの場合は動物園での飼育例から授乳期間はおよそ10カ月ほどと言われていますが、母体はおよそ2カ月齢を過ぎる頃から授乳を大変嫌がるようになるそうです。この時期が乳歯から永久歯へと移行を始める時期と考えられますが、完全な生え代わりは授乳期間の終わる10カ月齢以降と言うことになると考えられます
 
 

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