TeXはいかが?

作成日:2003/01/10


多くの人は何か印刷する文書を書くときは、いわゆるワープロを使っていることと思う。

ワープロは数ページの文書を書くには、WYSIWYG(What you see is what you get) で作れるため便利なのだが、 その反面、長文を書く場合に不便なことが多い。 たとえば長文だと部や章立てをして連番をつけたり、何ぺージを参照というような 相互参照をさせる必要がでてくる。また目次や索引も作る必要があるだろう。 ちょっと追記すればレイアウトが崩れるし、全体の順序を入れ替えたりすると かなり大変な作業になってしまう。

またワードで数百ページの本を書くことを考えてみると、ファイルを開くたびに かなりの時間待たされて、目的のページを探し当てるのにまた時間がかかることだろう。 パソコンがどれだけ高速になり便利になっても、人間の思考パタンとマッチ していなければ破綻するのは目に見えている。頭の中で全体がはじめから 把握できる人にとってはそれほど問題では無いかもしれないが。

これらを解決するため筆者はTeXを利用している。TeXとはD.E.Knuth先生が 開発したドキュメントプロセッサ、組み版システムである。 TeXはワープロなどとは違い、テキストファイルで文書を作成し、 文書をコントロールするための命令をマークアップしていく。

ファイルはまとまりごとに分割しておき、メインのファイルから読み込む ようにする。このようにすると文書の論理構造通りに枝構造が出来ていく。 最後にはできあがったファイルをTeXで処理すればDVIファイルに変換され 印刷すればできあがりである。

このDVIファイルは出版物の版下として使えるし、PostScriptという 出版業界で標準的なフォーマットにも変換できるので、最終的に印刷物とするには 適した形といえる。

だがTeXの本領はこれだけではない。強力なマクロ機能があり自分の思い通りに 機能拡張ができるうえ、Knuth先生がTeXを作った本来の目的である数式の文字組に 非常に強い。そのためAMS(American Mathematical Society)などでも 投稿フォーマットとして採用されているくらいだ。

また日本ではASCIIが縦書きにも対応したpTeXを配布しており、日本特有の レイアウトにも対応している。

文書をマークアップしていくということが難しく感じるかもしれないが、 レイアウトはスタイルファイルに任せ、文書そのものは論理構造に従って マークアップするだけなので、基本のスタイルを使う限りは非常に簡単である。 TeXで処理することで、章や節、図表などの連番付けや目次作成などが すべて自動で行われる。

しかもTeXは基本的には無償で使えるのである。 はじめの敷居は高いかもしれないが長文を書いたり、美しい数式 の文字組が必要であったり、アラブ、タミル、デバーナガリ、サンスクリット、キリル、 ヘブライ、ハングルなどの文字を印刷してみたいなら一度検討してみてほしい。


前へ| 次へ
コンピュータの部屋
トップページ