Leaves of Talesの誕生

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Leaves of Tales

 Leaves of Tales誕生のお話しをしましょう。私にはふたごの子供たちがいます。あれは、えりこととおるが一歳になる少し前のことでした。晩ご飯のあとで、ディック・ブルーナの「たべもの」という絵本をカーペットの上で広げていたのです。ディックの絵はシンプルな線と色だけなのに、どうしてあんなにも暖かい感じがするのでしょう。とても不思議です。

 バナナだの、いちごだの、スープやたまごのページを指差しては、えりこととおるに話しかけていたときでした。突然、私のなかに言葉が涌き出てきたのです。




ディック・ブルーナの絵本「たべもの」に寄せて

「ばなな」

ばなな、ばなな、
おつきさまがふさになって、
なかはあまいぞ

「いちご」

あかいからだに
くろいぼたん
おまえはてんとうむしかい?

「ねぎ」

あおじろいかおに
あおいながいかみのけ
このさんにんぐみは
あやしいぞ

「すーぷ」

これはすーぷ
これはうさちゃん
すーぷはこっちだよ
すーぷにはみみは
ないからね

「きゃんでー」

あかいきゃんでー
きいろいきゃんでー
みどりのきゃんでー
むしたちの
こうしんだ

「たまご」

まあるいおおさま
まあるいおきさきさま
ぎょくざから
ころがりおちないで

 あわててメモ用紙に書きとめたのが「こどもたちに」の第二話「絵本」です。それまでは物を書くという経験はほとんど無かったのですが、次から次へと言葉が涌き出てきます。やっとのことで「たまご」までメモして目を上げると、えりこが「たべもの」の絵本をかじっているではありませんか。端っこがちぎれた絵本は今も大事にとってあります。

 Leaves of Talesはこうして生まれたのです。えりこととおるがいなかったら、私の小品たちは、この世に現れることはなかったでしょう。私自身も、物語を書くというわくわくと楽しい時間を持つことはなかったでしょう。ほんとうに、えりこととおるは私の宝物です。

NOV/2002