Logo TrainJR全線完乗記4

私のアッシーくん東海道山陽新幹線の光と影

 

 JR線の中で最も良く利用しているのは,通勤で使っている路線(横浜線)を除いては東海道山陽新幹線であろう。これまでおそらく延べ200回以上利用していると思う。私が乗りつぶし専業でなく,他の用事や観光もしながらJR全線の完乗ができたのは,ひとえに新幹線のスピードのおかげだろう。
 他の国の超高速特急(日本で言えば新幹線のようなもの)にもいくつか乗った。そのなかでフランスは速度では日本の新幹線を上回っている。でもダイヤの正確性,列車の頻度(日本では最大1時間あたり11本 他の国では多くとも1時間あたりせいぜい5本程度),技術力(例えばフランスやドイツは沿線人口が少なく,騒音対策の必要がない。地盤が安定していて地震もごく少ないため,その対策の必要もないなど)の総合力で考えると,私はJAPANESEシンカンセンに軍配をあげたい。現に新幹線はあれだけの速度・頻度で走っていながら列車側の責任による乗客への重大事故は1件もない。
 かようなことで,私は飛行機や自動車に乗るときは「もしかしたら死ぬかもしれない」と思って乗っているが,鉄道ましてや新幹線に乗るときはそんなこと考えたこともなかった。あの日までは…。

 平成7年1月17日戦後最大級の被害をもたらした阪神大震災が起こった。運命の時刻午前5時46分。私はその半日前の1月16日午後5時頃新神戸・新大阪間を通過していた。九州・山陽方面に旅行に行ったその帰路だった。
 途中名古屋で友人と会った後深夜帰宅し,バタンきゅうと眠った。そして翌日ねぼけまなこでラジオのスイッチを入れた途端「今朝関西地方で非常に大きな地震が起きました。詳細についてはまだ不明です…」のとアナウンス。職場へ行くと大騒ぎになっていた。時々刻々と悪い情報が入ってくる。大火,見る影もなく崩れた建物群,完全に横倒しになってしまった高速道路…。そして昼休み時のニュースで見た映像は信じたくなかった。私が昨日の夕方通ってきた新幹線の橋げたがあちこちで落橋し,レールが寸断されている。もしそこに270km/hで走る列車がつっこんだら…。
 時間差わずか14分の僥倖だった。新幹線の運転開始時刻は午前6時なのである。全く動いてない新幹線に人的被害は全くなかった。おそらくこのことで一番胸をなでおろしたのはJR西日本の幹部たちだっただろう。

 でも私はこのときから新幹線に格段の安全性を感じることができなくなってしまった。今でもその便利さから新幹線に乗ることは少なくない。ただし乗る時は,自動車や飛行機に乗るときと同じ気持ちで乗るようになった。

新幹線

 この3月(平成9年3月)から山陽新幹線でさらにスピードアップした列車(最高速度300km/h)が登場した。確かに便利になることはよいことであるが,“交通機関にはとって安全ということが最も重要である”ということが置き去りにされた便利さでは絶対にいけないと思う。

 本当に足元たる橋げたや線路を強化したのだろうか? 本当に今度は震度6程度で橋げたが落ちてしまわないのだろうか? 今一度問いかけたい。

 次の地震も新幹線が動いてない時刻に起こるとは限らないのだから…。


 

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