※最新の状態を表示するために再読込みして下さい。
←
セガスタ2月号

2001/2/5(月) ピンチをチャンスに!(第2弾)

セガガガ」が世間でもじわじわと話題になっている。
この前も書いたように、このソフトは宣伝費・営業費ゼロ、開発費も抑え気味にある種”同人雑誌的な”作りで開発して、欲しい人だけに買ってもらって、開発費が回収できればいいなぁ……っていうプロジェクトだ。

でも、世の中にまったく認知されずに売っても売れるわけがないので、ここは一発、宣伝費ゼロで露出を図る”パブリシティ”ってヤツでがんばるしかないのだ。

というわけで、「セガガガ」のパブリシティは、ヒットメーカー・笹原(ボーズ)君と僕が中心に動いていたのだが、もともと1月下旬のタイミングで「スポーツ報知」に記事を載せてもらって話題作りをやろうとしていたところ、今回のセガ騒動が相乗効果を生んで、取材要請がガンガン来た。

で、こうなったら、この流れを使わない手はない! ってことで、面白可笑しく「セガガガ」を売り込んで(でも、ネガティブな捉え方をされないよう気をつけてはいる)、話題が話題を生む流れを大きくしようとがんばっている。

宣伝じゃなしに取り上げてもらうためには”世の中の話題になっていて、その話題を扱うことがメディアにとって利益になること”が必要条件。
セガ報道で泣かされたりしながらも、それを逆手にとって「セガガガ」を売り込んでしまうくらいの「ピンチをチャンスに」な対応はやんなきゃだめなんだよね。

今のところ、TVにラジオに新聞にと、イメージ通りに「セガガガ」が拡がっていて、予約数は現在7000本程度。
限定版はもうすぐなくなっちゃうけど、通常版で3万本いかなきゃ。
まだまだ道のりは遠い……けど、いい感じだ!(笑)

2001/2/4(日) ペイ・フォワード!

約ひと月ぶりの休日!

とりあえずセガスタを書いたり、個人のHPを修正したりと、ここ1週間ほど身動きできなかった部分でたまっちゃった”やるべきこと”をやってみる。

午後には、リハビリのため(笑)、映画館へ。
ヘレン・ハント(僕の好きな女優さん)つながりで「ハート・オブ・ウーマン」「ペイ・フォワード」の2作を観た。

「ハート・オブ・ウーマン」は、いわゆるラブコメっぽい映画だが、意外なところで面白い部分があって、メル・ギブソンをミュージカルばりに踊らせたり、女装させたりしているのはなかなかやるなって(笑)。

「ペイ・フォワード」は、人に親切にしてもらったら3人の人に親切にしようっていう”ユートピア”的な思想の映画。
それはそれで素敵なんだけど、映画のトーンも音楽も全体的に暗くて、ちょっとしんどいかも。

ま、どっちにしてもいろいろなヘレン・ハントが見れたから、いいや!(笑)

2001/2/3(土) 変化に素早く対応すること

アメリカの大企業でも研修テキストとして使われているってふれこみで、最近日本でも結構売れている本「チーズはどこへ消えた?」(扶桑社・刊)を、ちょっと前に読んだ。

簡単に言えば、この物語は「広い迷路の中で、2匹のネズミと2人の小人がチーズをさがす」おはなしで、チーズを見つけるためのそれぞれの行動、チーズを見つけた後のそれぞれの行動、チーズを失った時のそれぞれの行動を描くことで、我々が人生に対してどのような行動をとるべきかを示唆する「寓話」になっている。

人生は、思い通りにまっすぐ進めるような単純なものではなく、気がつくと行き止まりだったり、道に迷ったりすることがある。
しかし、信念があれば必ず道は開け、その時は考えてもなかった道を進むうちに、やがてはその道を歩むことが良かったとわかることがある。

いつだって、変化は起きる。変化を認めないで閉じこもって生きるのも人生。何が起こっているのかを認識し、素早く変化に対応し、逆に変化を楽しむくらいの気持ちで新しい道を進むのも人生。それぞれの道は、それぞれが選べばよい。

ま、こんな本を読んだのもセガやゲーム業界が変わろうとしている中で、自分も立ち止まってる場合じゃないなぁ〜なんて自分なりに考え、「信念は忘れずに、変化に対応すること」が今最も必要なことなんだと結論づけたところでこの本を発見し、確認のために読んでみるかって思ったからなんだけど(笑)。

2001/2/2(金) いろいろな疑問に

この数日の発表やらなにやらで、いろいろな心配の声や いろいろな質問が来ているので、その一部にだけですが、 僕なりにお答えしようと思います。

まず、D-DIRECTについて。何故か今回の発表を受けて「D-DIRECTが終わってしまうのでは?」と、心配してくれた人がたくさんいたんだけど、全然そんなことはありません!
だって、これから先、もしもドリームキャストを扱わない店が出てきてしまったときに、必ず最後までみなさんにドリームキャストやそのソフトや周辺機器を提供できるのは、間違いなくD-DIRECTじゃないですか。

31日の発表でも「お客様に確実にソフトを届けるためのD-DIRECTの強化」というのは言われているし、発表会の質疑応答では香山さんから「D-DIRECTには重点的に予算を配分していく」なんて心強い言葉をいただいてるし(笑)。

それに、D-DIRECTってきちんと黒字を出しているお店なんですよ、みなさんも知っての通り。利益を出している店をセガが畳むわけないじゃないですか。っていうか、僕は絶対に畳ませないですよ(笑)。だから大丈夫! これからますますD-DIRECTは拡大路線で日本のEC(インターネット通販)業界をブッチギリたいと思ってます!

次に、今日発表されたドリームキャスト本体の値下げについて。
3/1から本体が9900円に値下げされることを知った方から、早速いろんな声をいただいてます。

「9900円なんて、セガはもうドリームキャストがいらないってこと?」
違います。発表の通り、過去1年に売れた数とほぼ同数の本体在庫をセガは現在持っています。今後、ドリームキャストのソフトビジネスを続けていくためには、ソフトが売れ続けることが必要で、そのためには1台でも多くのハードがたくさんの人の手元に届いて、使ってもらえることが何より大切なのです。
だから、今までDCのソフトはやってみたいけど、2万円で本体を買うのはなぁ……って言ってた人に思い切ってもらうために、思い切った値段を提案してみようってことになったのです。

「19900円でも1万円赤字って言ってたんだから、こんな値段で売ったらさらに赤字が大きくなってセガが危なくなるんじゃないの?」
確かにDC本体を1台作るには2万ウン千円というお金がかかります。
しかし、31日の発表で、今後新規に本体を製造することはないと決まって(つまり、これ以上DC生産にお金が出ていくことはない)、製造済の本体の価値は現実的なレベルに見なおしてこれだけ赤字が出るって発表したわけですから、もうこれ以上赤字が拡がることはないのです。だから、逆に本体を売れば売っただけセガにはお金が入るわけですし、逆にこのまま残していても何の役にも立たないわけ。だから、9900円で買ってもらってもセガの経営が危なくなることはありません。逆に、今までDCを買ってくれなかった人には「このチャンスに!」と、ぜひオススメしてほしいくらいです(笑)。

「セガは商売が下手だ。あんな発表をする前に本体を9900円にして、ハードを普及させたら良かったのに!」
ここまでに書いているように、あんな発表があったから初めてこういった思い切った値段が設定できたわけです。これ以外の順序はありえなかったとご理解ください。

「セガが宣伝費をガンガン使わなかったからDCは売れなかった。それが一番の失敗なのでは?」
今回の発表があったので初めて言えますが(苦笑)、経営の状態がこんなでは宣伝費(=莫大な支出)は使えません……。DCを始めたときは、それでも莫大な宣伝予算を使ってましたが、その結果DC本体やソフトで収益が出なかったため、宣伝費は縮小せざるをえなくなっていきました。

「発表されたDCソフトは本当に出るの?」
これは香山さんも「絶対に出すと約束する」っておっしゃってますから、安心してください。その後も、ちゃんとDCソフトがきちんと売れてくれれば新作が作っていける環境は続きます。
過去の1年に日本で売れたDCソフトの本数は、本体の普及台数とほぼ同じで1台に対して1本しかソフトが売れていない計算になります。それだけソフトは買ってもらえていないのです。
DCを出した以上、セガにはDCのソフトをできるだけ開発し続ける義務があるのだと思いますが、全然買ってもらえなくなるなら、そりゃあやがてDCソフトは開発できなくなるでしょう。でも、それは過去のすべての家庭用ゲーム機と同じです。

つまり、ちゃんと買ってもらえるならDCソフトは出続けるわけです。
D-DIRECT専売ソフトなんて、なるべく少ない予算でみなさんに喜んでもらえるソフトを開発し、営業や宣伝の費用を使わずに欲しい人にだけ確実に買ってもらって採算をとろうとしているわけで、たとえ5年先になっても、このような状況が続くのであればDCソフトは作れるじゃないですか。だから、面白いと思うソフトはぜひ買って、遊んでください。

逆に、作る側は誰にも買ってもらえないソフトは作っちゃイカンってことですよね(笑)。買いたくないようなソフトなら出ても仕方がないですもんね?

今日のところは、こんなで許してください。
いろんな形でいただく質問に関しては、また週末辺りにとりまとめてセガ経営陣に聞いてきますから、「次回につづく」ってことで!

ちなみに「SEGAを応援してくださるみなさんへ」に対していただいた多くの方からのメールは、セガの社内LANですべて発表させていただいて、セガ社員はその厳しい叱責も、暖かい激励もすべてを読めるようにしています(個人情報はふせてありますのでご安心下さい)。当然、経営陣も見ています。これからも、みなさんの声をきちんと聞く会社にすべく、僕も微力ながらがんばっていきたいと思います。

2001/2/1(木) 涙があふれた日

昨日の発表を受けて、今朝、セガでは管理職以上を集めて朝8時から朝礼をおこない、そこでは、昨夜、東証やマスコミ・証券アナリスト向けに発表されたのと同じ内容が、社員に向けて説明された。

そんな中、大川会長とは30年来のつきあいの中村専務が、大川会長から個人の財産850億円をセガに贈与する旨の説明文を読んでいる途中で、思わず言葉につまり、男泣きした場面があった。

僕自身、昨日はじめてこの話を聞いたときには大きな衝撃を受け、その大川会長の想いに思わず涙がこぼれ、マスコミ向け発表会で中村専務がこの文面を読み上げる際にもまた泣いていたのだが(苦笑)、今朝の専務の気持ちは本当に痛いほど伝わって、また涙がボロボロ出てしまった……。

大川会長に関してはいろいろ言われる場面もあるが、昨年も個人の財産を500億円セガに提供し、今回また850億円を贈与した会長のセガに対する思い入れと愛情は半端なもんじゃない。

中村専務が「去年、500億もらったのに我々はそれをムダに遣ってしまった。だから、今回は絶対この850億には手をつけず、自分たちの手で必ずセガを立て直そう」とおっしゃったのだが、まさにその通り。大川会長の人並みはずれた大きな愛情を真摯に受け止め、僕たちはセガという会社を絶対に素晴らしい会社にしなければならない。それができないようじゃ、人間失格だ。

← セガスタTOPページへ