ホワイトアウト
若松節朗監督/2000年作品


あらすじ

日本最大の貯水量を誇るダムがテロリストグループに占拠される。リーダーの宇津木は、職員を人質に五十億円を要求。拒否すればダムを爆破すると脅迫する。しかし、かろうじて人質になることを免れたダム職員が一人いた。山に関しては豊富な経験を持つ富樫だ。しかし、富樫には悲しい過去があった。

主な出演者
織田裕二 / 松嶋奈々子 / 佐藤浩市 / 中村嘉葎雄


感想

  「ホワイトアウト」の原作は2年前に新潮文庫で出たんだけど、原作を読んだとき忘れられないほどの衝撃を受けた。だって、ハリウッドで映画化すれば「ダイ・ハード4」になるんじゃないかって思うくらい素晴らしいプロット&ストーリーだったから。 ただね……、原作が素晴らしすぎると映画って厳しいじゃないですか。しかも、邦画だし。 で、ありていですが感想は、「邦画にしてはなかなか良いかも? でもなぁ…」って感じなんですよ。絶賛できなくてとっても残念。仕方がないことなんですが、原作の方が100倍くらい面白いし、興奮する。この映画版じゃ、ハリウッッドでは闘えない……。(<誰も闘ってないって。予算も桁違いなんだろうしね。) 主演の織田裕二、確かにがんばってるし、カッコ良い。しかし、この物語の主人公が抱えている苦悩が感じられない。 主人公がどうしてあんなにがんばれるのか。それは、大切な親友を死なせてしまった深い心の傷があるからなんだよ。原作はそれを痛いほどに感じさせたけど、映画ではそれが”軽い”のだ。 それが映画版が弱くなった一番の要因じゃないのかなぁ? あと、全体にメロドラマっぽいシーンが冗長になってしまい、肝心のアクションや物語の展開の部分がうまくいかない。 「そこはもっとつまんでもいいんじゃない?」「もっと緊張感のある展開にできんじゃん!」なんて素人の僕が映画を観ながらずーっとツッコミ入れてるような映画鑑賞になってしまった……。 素人は映画監督じゃないんだから好きなこと言えるよね。 でも、映画をたくさん観てるけど、観てる最中にこんなに”映画の作り”のことをいろいろ考えちゃうような”余裕を観客に与える映画”もなかなかないと思うんだよなぁ……。 だから、過大な期待をせずに観たんだけどやはりガッカリしちゃうわけなのだ。でも、邦画にしちゃいい方かなぁなんて考えてしまうところがもう……。ああ、ダメだ〜。
僕のお気に入り度
観て良かったけど、再見はしないかな。少なくともDVDは買いません。



(C) Tadashi_Takezaki 2002