ステージ・マザー
トム・フィッツジェラルド監督/2020年作品
 トム・フィッツジェラルド監督「ステージ・マザー」を観た。一言で表現するなら、"子を亡くした母親が、たくさんの子の母親になって再生する物語"。

自ら家を出て行ったまま疎遠になっていた息子の訃報を受けた母親のメイベリンは、夫の反対を押し切って、保守的なテキサスの田舎町から息子が暮らしていたサンフランシスコに向かう。

ところが、息子の葬儀はゲイやドラッグクイーンが集う華やかなミュージカル風なもので、敬虔なクリスチャンで教会の聖歌隊の一員でもある彼女には耐え難い。さらに、息子は"恋人"と共にゲイバーを経営していたことが判明し、その相続権は両親に残されていた。

途方に暮れるメイベリンだが、生前には理解しようとしなかった息子のことを少しでも知るために、経営的に危機的状態にあるゲイバーを自ら引き継ぐことを決意する。 最初は息子の仲間たちに"ゲイに理解のない母親"のイメージで疎まれるものの、メイベリンは様々な問題を抱える彼らに心を開き、彼らの苦悩をひとつずつ飲み込みながら、ゲイバーの再建に取り組み、それはやがて彼女自身の人生をも見直す機会になっていく。

映画全体に、ほとんど嫌なことが起きない、心温まるわかりやすい良作。疲れたとき、ちょっと癒されたい時に観るのに相応しい一作としてオススメします。凄い映画、必見の一作!って感じじゃないんだけど。音楽も良い。

あと、メイベリンを演じるジャッキー・ウィーヴァーがとってもチャーミングで、大好きになっちゃいます!
僕のお気に入り度
一度は見ても悪くない、わかりやすく心温まる作品です。



(C) Tadashi_Takezaki 2021