サイダーハウス・ルール
ラッセ・ハルストレム監督/1999年作品


あらすじ

主人公ホーマーは産婦人科医であるウィルバー・ラーチ院長の孤児院で育てられ、院長のお気に入りとして跡継ぎとしての教育を受けていた。ホーマーも、そんな院長を尊敬していたのだが、大学に進むと、堕胎反対の意識が芽生え、尊敬する院長との対立の末、彼は孤児院を出てしまう。世間のことをあまり知らないホーマーは、初めての外の世界でさまざまな経験をする。

主な出演者
トビー・マグワイア / シャーリーズ・セロン / デルロイ・リンド / マイケル・ケイン


感想

  ラッセ・ハルストレム監督といえば、何度観てもなんともいえない愛しい気持ちにさせてくれる名作「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」が絶対に忘れられないが、ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが競演した「ギルバート・グレイプ」もなかなか素敵な映画だった(この2作は絶対のオススメ!)。 そんな監督が新たに挑んだ作品は、「ガープの世界」や「ホテル・ニューハンプシャー」で有名な米現代文学の巨匠ジョン・アーヴィングが自分の小説を自ら脚色したという話題作「サイダーハウス・ルール」。今年のアカデミー賞でも7部門にノミネートされた評価の高い作品である。 当然、僕がこの映画を観る理由は、ジョン・アーヴィングがどうしたこうしたアカデミー賞がどうのこうのってことは一切関係なく、ただ単に監督がラッセ・ハルストレムだから。 さてこの「サイダーハウス・ルール」だが、主人公は孤児院で生れ、どこにももらわれないままに(正確には出戻り経験アリだが)思春期を迎えた青年ホーマー・ウェルズ。孤児院のラーチ院長は、ホーマーを跡継ぎにしようと医学の知識を教えているが、ホーマーは堕胎をめぐるラーチ院長との主義の相違もあって、ここでこのまま生きていくことに疑問を持つようになる。そして、ある出来事をきっかけに彼は孤児院を飛び出し、生れて初めて外の世界に出て、海を見たり、恋をしたり、新しい仕事を経験したりと次々と新しい世界を発見していく。やがて……。 映画は特にすごいとか盛り上がったりするわけではないが、この監督らしく静かにしみいるような展開で魅せる。中でも、冒頭の風景描写や、とても印象的な子供達の表情の撮り方は、とってもこの監督らしい。そして、映画が終わった後には、なんともいえず爽やかな印象が残る。 「サイダーハウス・ルール」というタイトルは、ホーマーが仕事をして住んでいたリンゴ収穫人宿舎”サイダーハウス”の”意味のない規則”を指しているが、それがタイトルに来ている”深さ”は、きっと原作小説では感じられるのだろうが、この映画を観ただけではあまり感じることはできない。 ただ、心地よい映画であることは事実。ちょっと心が厳しい時にぜひご覧いただければ(でも、先に述べた「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」の方が、さらに癒し系でお薦めなんですけどね!)。
僕のお気に入り度
ものすごく凄いってわけじゃないのですが、なぜか手元においておいてふと見たくなるような映画。よって、DVDは押さえで買っておきます。



(C) Tadashi_Takezaki 2002