新エクソシスト 死肉のダンス
マリオ・バーヴァ監督/1975年作品
1973年に公開されたウィリアム・フリードキン監督の「エクソシスト」が世の中を席捲する中、ここぞとばかりに似た映画が作られていた。

これに目をつけたプロデューサーのアルフレード・レオーネは、配給先が見つからずお蔵入りとなったマリオ・バーヴァ監督の「リサと悪魔」に悪魔憑き&悪魔祓いの場面を追加して新たな映画として売り出すことを思いつくも、バーヴァは拒否。仕方がないのでプロデューサー自らが追加撮影に臨み、映画を作り直してしまったのだそうです。

そして、「新エクソシスト」として公開したら大ヒット!? なんてこったー(°_°)

「リサと悪魔」の冒頭の骨董品屋をリサが出て行くところまではオリジナルのまま展開しますが、その後、禿頭の男がリサに似たマネキンの頭を殴ると、街を歩いていたリサが突然殴られたように倒れ、悪魔に憑かれた状態に!

そこに神父が現れて悪魔に憑かれて「私はエレナだ」と主張するリサと対峙し悪魔祓いを行うのですが、「オマエは誰だ!? どこから来たのだッ!!?」と問うとエレナが昔の話を語り始める… その回想シーンにオリジナルの映画を使うわけです。

いかにも「エクソシスト」をまんまなぞった安っぽい映像と、元は「リサと悪魔」だったバーヴァらしい凝った作りの映像が交互に展開するも、話の辻褄は合わないし(合わせる努力を放棄しているようだ)、切り刻まれた回想シーンで起きていることは訳がわからない。

それでも、全編「エクソシスト」風に無理やり押し切ってヒットさせたのだから、ビジネスとしてはプロデューサーの方が正しかったのでしょうか? ま、投資してたんだから取り返したいもんね…

監督名はミッキー・ライオンとクレジットされていますが、これは架空の監督名で、実際はマリオ・バーヴァ監督+ アルフレード・レオーネ監督ということで。

こうやって監督ごとに作品を振り返っていると、ビックリするような過去の出来事を学ぶことがあるのですねぇ…。マリオ・バーヴァ監督「リサと悪魔」は迷宮入りしたかと思いきや、全く別の映画となって公開され、ヒットしたのでした。
僕のお気に入り度
監督の全作品を回顧していると、こんな面白いものにもぶつかるんですね。これは一度でいいかな。



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